女流棋士

里見香奈女流四冠が強すぎて強すぎる!

2016/10/31

今期の女流王将戦は、里見香奈女流王将が2連勝で防衛に成功しました。

同時に、自身3つ目のクイーン称号(棋士でいう永世称号)を獲得し、相変わらずの強さを見せつけています。

挑戦者の香川愛生女流三段は残念ながら力及ばず、師匠との妙なジンクスを断ち切るのはまたの機会に持ち越しとなりました。

休場明けから勝ちまくる

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(画像:女流名人戦中継ブログより)

今に始まったことではないのですが、里見香奈女流四冠が強すぎます。

2013年5月に女流棋界初の女流五冠を成し遂げてから紆余曲折あり、2015年1月に休場から復帰したときには女流名人のみとなっていました。

体調不良からの復帰明けで、どれだけ戦えるかと心配されていましたが、それは杞憂に終わりました。

2014年度末の女流名人防衛戦では清水市代女流六段を3連勝で一蹴すると、2015年度からはそれまでの鬱憤を晴らすかのように勝ちまくります。

女流王位、女流王将、倉敷藤花と3つの女流タイトルを奪取し、あっという間に女流四冠まで復帰します。

その最中で21連勝という途方もない記録をつくり、女流最多連勝記録を更新します。

女流王座戦とマイナビ女子オープンでは本戦の途中で敗退したものの、年度末の女流名人戦はフルセットの末に清水市代女流六段を下して7連覇。

2015年度の年間成績を、28戦24勝4敗(勝率:0.8571)というぶっちぎりの成績を残し、この勝率は歴代2位です。

加速する勢い

今思えば、女流五冠に至るまでも強かったですが、棋風を改造して戦法の幅を広げようと試行錯誤していた時期もあり、女流タイトルを獲得するペースは今よりも遅いものでした。

それよりも前は、「出雲のイナズマ」と称された終盤力とは裏腹に、序盤はあまり得意ではありませんでした。

それが奨励会を経て、休場から復帰した頃には「序盤・中盤・終盤隙のない」将棋になったうえに、曲線的な指し回しまで身につけて、抜群の安定感を誇るようになりました。

それだけの将棋を指せたら、あっという間に女流タイトルを掻っ攫うのは当然というもの。

2016年度に入ってからも、女流王位戦で岩根忍女流三段をまったく問題にせずストレート勝ちし、女流王座戦でも挑戦権を獲得。

そしてこの度、女流王将戦でも2連勝で防衛に成功しました。

しかもここまで負けなしで、その勢いは衰えるどころか、加速度的に勢いを増しています。

現実味のある「夢の女流六冠全制覇」

今期はあと、女流王座戦への挑戦と倉敷藤花と女流名人の防衛戦、そして第10期マイナビ女子オープンの本戦トーナメント(あと3回勝てば挑戦者)が残っています。

これらを全部勝てば、来期のマイナビ五番勝負の結果次第で、夢の女流六冠全制覇が成し遂げられます

「あと全部勝てば○○!」というフレーズは使い古されているうえに、実現性がないと相場が決まっています。

が、里見さんには十分現実味があるから末恐ろしい。

それが彼女の凄いところであり、同時にその他の女流棋士との実力差がかなりある証左。

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