設計業者ら聴取 補助金不正受給疑い 大阪地検
学校法人「森友学園」(大阪市)による小学校建設問題で、籠池泰典前理事長(64)が国の補助金を不正受給した疑いがあるとして、大阪地検特捜部が工事に関わった京都市内の設計会社などの関係業者らから本格的に事情聴取を始めたことが分かった。学園は工事費の異なる3種類の契約書を国などに提出しており、特捜部は学園側が工事費を水増しした疑いがあるとみて、補助金適正化法違反での立件を視野に捜査を進めている模様だ。
大阪府豊中市の国有地売却をはじめとした学園を巡る一連の問題で、特捜部による聴取が明らかになるのは初めて。
補助金は、国土交通省が木材を生かした建築を対象に工事費などを補助する仕組み。学園側の応募手続きを担当した設計会社が、工事費を約23億円と見積もって申請し、2015年9月に補助対象に選ばれた。
学園はその後、大阪府内の建設会社と約15億円で契約を結んだが、国交省には最終的に工事費を約23億円とする契約書を作って16年3月に提出していた。同省は提出を受け、計約5600万円を学園に支給。問題発覚後の今年3月、学園は全額を返金した。
関係者によると、学園側は16年1~2月、建設会社や設計会社と協議し、工事費を約23億円とする契約書を国交省に提出することを決めたとみられる。籠池氏は取材に対し、「23億円は設計段階で決まっていた金額」と自身の関与を否定し、業者も不正の認識を否定している。
契約書は3通りあり、学園は小学校の設置を認可する大阪府に、工事費を約7億円とする契約書を提出していた。認可を得やすくするために資金面の負担を少なく装った疑いがある。15億円の契約書は別の助成金を支給する空港運営会社「関西エアポート」に提出された。日付は、いずれも15年12月3日付だった。【三上健太郎、岡村崇、遠藤浩二】