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<響くつち音> (3)九頭竜川橋りょう(福井市)

建設中の九頭竜川橋りょう(後方は国道8号線の福井大橋)。左岸(右)側では橋桁を延ばす工事が進む=福井市で、本社ヘリ「まなづる」から

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 長さ四百十四メートル。県道と一体化した橋は、新幹線としては全国初になる。福井市の九頭竜川堤防に立つと、巨大な橋脚が連なって見えた。一つが幅三十五メートル、高さ十五メートル。建物なら五階建てビルに相当する。

 「通常の三、四倍でしょうか」。鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)福井鉄道建設所の玉本学也所長は、規模の大きさをこう説明する。

県道と一体化して造られる北陸新幹線九頭竜川橋りょうのイメージ

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 県道路建設課によると、当初は新幹線と県道をそれぞれ造る予定だった。しかし一体化することで三十億円のコスト削減が可能になることが分かり、計画を変更した。

 九頭竜川橋りょうは両岸の堤防に橋台が造られる。河川内には橋脚が六基。二〇一五年十月に工事が始まった。水の流れがない左岸側は橋台と橋脚三基が完成済み。

 現在は橋脚を起点に、移動式の作業台車を使って「やじろべえ」のようにバランスを取りながら左右へ橋桁を延ばしている。

 三〜四メートルのコンクリートを一ブロックずつ、十日前後を一サイクルとして張り出していく。現場責任者の遠藤文美男さんは「橋脚一基で八ブロックずつ張り出すため、作業は組み立てなどを含め百二十日に及ぶ」と話す。

 一方、右岸側は橋脚三基と橋台一基を施工中。九頭竜川はアユやサクラマスに加え、生息地が国の天然記念物になっているアラレガコが有名。河川内の橋脚工事では通常、川を埋め立てるが、仮設桟橋を設置することで生態系への影響を抑えている。

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 長さ百二十メートルの桟橋を進む。橋脚に近づくと、その大きさを実感できる。橋脚は、地上で構築しながら自らの重さで沈めていく工法を採用した。浸水を防ぐため、橋脚の下部には気圧を高めた空間をつくり、その中を重機で掘削。構築と掘削、沈下を繰り返す。現在は橋脚の基礎部分が全て完成した。遠藤さんは「マンションを造り、沈めていくようなもの」と例える。

 工事の天敵は天候だ。大雨になると、上流の鳴鹿大堰で放流が始まり、作業中断を余儀なくされる。「天変地異はどうしようもない。それでも一日の中断は、とてつもなく大きい」。作業員の一人はこう漏らす。

 河川内の工事が原則できない出水期(六月十六日〜十月十五日)まで一カ月余り。大型連休も関係なく、作業は急ピッチで進む。予定では一九年六月ごろ、橋桁が両岸をつなぐ。

 

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