お金の購買力って何?
前回の記事では、お金のルールの中でも特に重要なフローとストックの種類について説明した。また、+のフローをもたらすストックを増やすことが大切だ、とも書いた。(前回の記事はこちら⇩)
今回からは、今までのお金のルールを理解した前提で、実際にどのようにお金が世の中を回っているのか、その仕組みについて書いていきたい。
そして今回は、仕組みの話に入る前にお金の購買力について書く。お金の購買力という考え方を理解していないと、お金そのものへの理解が浅くなってしまい、仕組みを理解しても「だから、何?」となってしまいかねないからだ。
お金の購買力を理解しやすいように、床屋さんについて考えていきたい。なお、お金の購買力とはお金の価値(物や商品を買う力)のことを指す。
昔の床屋さんと今の床屋さんの値段の違いは?
突然だが、昔の床屋さんの値段が分かる方はいるだろうか?高齢の方であれば、即答できるかもしれない。
1951年の床屋さんの1回の値段は95円だ。今ではとてもじゃないが考えられない。コンビニにあるポテトチップスでさえ100円前後なのに、それを下回る95円で髪を切れるなんてどういう時代だ?と思われた方は多いと思う。
一方、2017年の理髪店(美容院)の1回の値段はだいたい3000円くらいだ。もちろんピンキリであり、1000円カットもあれば、おしゃれな美容院だと5000円くらいのところもあるので、平均を取ってみた。
お金の購買力が低下している?
髪を切るというサービスを受けるのに必要なお金が、1951年は95円だったのに2017年は3000円ということは、1951年の95円と2017年の3000円は同じ購買力を持っていると言うことができる。
別の見方をすると、1951年の95円と2017年の95円を比較した時、2017年の95円の方が明らかに購買力が低下している、と言うこともできる。そう、このように物価が上昇すると、お金の購買力が低下してしまうのである。
将来のお金の購買力は?
現安倍政権が掲げている物価上昇率目標2%は、今よりも物価を引き上げて、日本銀行で増刷をし、日本全体で流通するお金の量を増加しようという政策だ。今後も物価の上昇が予想される中で、お金の購買力はどんどん低下していくと考えられる。
そうなると何が起こるだろうか?
例えば、現在100万円をタンスに入れて貯めている人をイメージしてみる。現時点で100万円の価値があるその1万円札100枚の束を、5年後に取り出したとしよう。さて、取り出した時点で100万円の価値があるその1万円札100枚の束は、5年前の100万円の価値と変わっていないだろうか?
否、5年前の100万円の価値よりも価値が確実に減っている。例えば、タンスに貯めていた5年間の間に物価が1%上昇したとすると、5年前には100万円で買えていたものが今は101万円を出さないと買えない、ということになる。タンス預金はお金の購買力が低下している現在、おすすめはしない。
まとめると、現在物価が上昇している中で、お金の購買力は低下している、ということだ。銀行の預金金利も0.01%くらいなので、物価が1%上昇したら、銀行に預けているお金の購買力は低下してしまう。
額面の値だけ見ていればいい時代ではなくなってきている。私もこの記事を書いていて、怖い時代に生きていることを実感し、背筋が寒くなっている。