「賃貸」か「購入」かどちらがお得?
記事「20代から10年で5,000万円貯めるには⁉️④ 〜支出を減らす〜」では、支出の減らし方についての概要を記載した。今回は「食費」とともにインパクトの大きい「住居費」の減らし方について述べたいと思う。まず、住居について、迷うのは「賃貸」か「購入」かどちかが金銭的に得か?という点である。一般的には、下記表のように、いずれもメリット・デメリットがある…
お金を貯めるという視点で、私なりの意見を言うと、
と考える。20代だからといって、購入に対して抵抗感を持っていると、「賃貸」し不用意に多額の住居費がかかることを認識してほしい。以下、私の例で恐縮であるが、実例を述べたいと思う。
住居費を減らす実例
実際に私が行った実例にて、住居費の減らし方、もっと言うとお金の儲け方を説明したい。概略的に言うと、私が行った住居費の減らし方はこうだ…⬇️
- 諸経費含め4000万円で、駅近徒歩2分の物件を購入する。。
- 頭金に2000万円入れ、残り2000万円を35年の住宅ローンで組む。
- 住宅ローンは、月々約5万円を返済する。
- 金利は低金利のため、年利0.7%だが、ほぼ住宅ローン控除で返金される。
- 4年住み、売却査定をすると5000万円がつき、諸経費200万円かかった。
こうした場合に、住居費はいくら減っただろうか?
まず、同じ物件を賃貸で借りた場合、査定をすると家賃16万円ほどだ。4年間でかかる費用は以下の通りとなる。
- 家賃 :16万円×12ヶ月×4年=768万円
- 敷金 :家賃16万円×2ヶ月分=32万円
- 更新費 :家賃16万円×2年ごと2回更新=32万円
合計で、832万円かかる計算だ。
では、私の実例のように、購入・売却した場合はどうだろうか?
- 支払額 :頭金2000万円+住宅ローン月々5万円×12ヶ月×4年=2240万円
- 収入額 :売却額5000万円-諸経費200万円=4800万円
差し引きすると、
収入額4800万円-支払額2240万円-住宅ローンの残額1760万円=800万円
となり、ローン完済した状態で800万円が手元に入ることになる。
賃貸なら832万円のお金がかかるところが、購入・売却することにより800万円手に入ったことになり、実質の儲けとしては、1632万円となるのだ。
住居費の減らし方
実際にこんなことが可能なのだろうか?と不信に思われた方も多いかもしれない。だがこれは実際私が行った住居費の減らし方(というよりも儲け方)である。ポイントは、以下3つである。
一つ一つ解説していきたい。
住宅ローンが低金利である…
ご存知の方も多いとは思うが、今は空前の低金利時代である。多くの銀行では預金金利が年利0.001%まで下がっており、1970年代(バブル期)が年利6%あったことを考えると、超・超・超・超低金利時代なのである。(それにしてもバブル期はバブル期ですごい…)なので、今や銀行に預金したところで、なんの利息もつかないと思った方がいい。むしろ物価は少なからずも上昇している(つまりはお金の価値は下がっている)為、実際はお金を寝かせておくと損な時代なのである。
だが低金利はマイナス面ばかりではない。この影響を受け、住宅ローンなどのいわゆる「借金」も、低金利でお金が借りられるのだ。日本人は「借金」を悪とみなす傾向が強いが、この低金利時代に借金をしないのはむしろ大損だと考えた方がいい。借金をタイムマシンのように捉え、この低金利の恩恵を享受したほうがいいのだ。例えばだが、年200万円お金を貯めたとしても、4000万円のマンションをキャッシュで購入できるのは20年後のことだ。それが借金をすることにより今すぐそのマンションに住め、実質支払額が変わらないとしたら、どちらが得だろうか。そのマンションに20年も早く住めたと考えるのが賢明なのだ。これは、利息がほぼかからない低金利時代だからこそ言えることなのである。住宅ローンも空前の低金利時代を迎えており、今や年利0.5%を下回るローンプランもネット銀行では出ており、これもバブル期は年利8%だったことを考えると、超・超・超・低金利なのだ。
住宅ローン控除により還付される…
これも関心の高い方は既にご存知のことと思う。正式名称は「住宅借入金等特別控除」といいます。しかし、住宅借入金等特別控除だと舌を噛みそうなので一般的には「住宅ローン控除」と呼ばれています。借り入れした住宅ローンの年末時点の残高の1%分(最大は50万円まで)、その年払った所得税の還付を受けられたり、次の年に支払う住民税が減ったりする制度であり、最長10年間その恩恵を受けられます。なので、わかりやすく言うと住宅ローンを払い始めてから10年間は所得税や住民税が安くなる制度だと覚えておけばいいでしょう。この住宅ローン控除を受けるためにも条件がありますが、それは以下の通りであり、けして資格要件が高いわけでもありません。
でも、20代の自分に住宅ローンなんて借りれるのか?と心配の方もいらっしゃるかもしれません。結論から言うと、借りれます。あなたが、一部上場企業に正社員で勤め、他借金の返済を滞らせていなければ…。金融機関にとっても、住宅ローンはさしてリスクの高い商品ではありません。今や団体生命保険もあるため、もし万が一死亡時も保険がおりるため、金融機関が返済を得られないリスクはないのです。金融機関がリスクとして捉えるのは、
- 会社が倒産しないか?
- リストラにあわないか?
- すぐに退職しないか?
- 返済を滞らせないか?
といった、収入が突然途絶える懸念と、個人への懸念です。
そのため、金融機関は、
- 勤務先規模
- 雇用形態(正社員か?)
- 勤続年数
- 滞納履歴
を重視し、ローン審査を行っています。以前にも記事「20代から10年で5,000万円貯めるには⁉️② 〜収入を増やす〜」でもお伝えしました通り、一部上場企業で正社員でいることが、お金を貯める上では、絶好の近道なのです。収入面ではもしかするとベンチャー企業で勤めた方がいいかもしれませんが、金融機関からの信用が全く違うのです。
そして、滞納履歴については、過去はもうどうしようもありません。金融機関同士では滞納者などいわゆるブラックリストを共有しているため、全く他の金融機関であっても滞納履歴は確認されてしまいます。これからローンを組む人は、絶対滞納をしないことを心がけることが、絶対に大切なのです。
そして、雇用形態です。私個人的には、働き方には自由度があって、様々な雇用形態があること自体には大いに賛成なのですが、こと住宅ローンについては、まだまだ金融機関はその柔軟性を持ち得ていないというのが実態です。正社員雇用もなかなか難しくなる時代ではありますが、その点は以下の記事も参照頂ければと思います。⬇️
購入額より売却額を大きくする…
最後のポイントは、いかにして購入額より売却額を大きくするかである。これを理解するには、不動産会社がどのようにして売却額の査定をするかの仕組みを知ったほうがいい。複数の不動産会社に確認したが、概ね仕組みは一緒であり、以下の公式で査定額を算出している。
売却査定額 = 物件価値ポイント比 × 近隣物件㎡単価 × 売却物件㎡数
もちろん、あくまで不動産会社の出す査定額であり、実際は買主がいくらで買いたいという需要の強さによって、高くも低くもなるが、専門家である不動産会社の査定額が買主にとっても目安になるのだ。
まず物件価値ポイント比についてだが、不動産会社は物件の査定をする際、以下の項目をポイント化し、近隣の類似物件のポイントと比較する。
- 築年数 …築浅ほど高い。
- 販売会社 …大手販売会社ほど高い。
- 施工会社 …大手施工会社ほど高い。
- 管理会社 …大手管理会社ほど高い
- 駅からの距離 …駅近ほど高い。(戸建の場合は、徒歩5分程が一番高い)
- 開口方位 …南>東>西>北の順に高い。角地はさらに加点。
- 管理人有無 …有りの方が高い。
- 駐車場数 …戸数に対して余裕があるほど高い。
- 駐輪場数 …戸数に対して余裕があるほど高い。
- …etc
逆に言えば、住居を購入の際は、上記の項目を重視し物件を探すのがいいということだ。どちらかというと間取りを気にし、施工会社や管理会社を軽視しがちだが、いざ売却という際には影響が大きい為、重点的に見たほうがいい。
次に、近隣物件㎡単価についてである。これは地価に紐つく。そして、単純に地価の値段を見るのではなく、地価の上昇度合いを見たほうがいい。このあたりはやはり不動産会社が専門家であり情報が集まる為、素直に聞くのが望ましい。
不動産会社に聞くのは、
- ◯◯線沿線で一番地価が上がっているのはどこか?
- ◯◯線沿線で乗降数が上がっているのはどこか?
- ◯◯線沿線で、これから再開発の予定があるところはどこか?
など、現状だけではなく、これからの見込みを聞くのが、有益である。今高くても、売却時に下がるのでは意味がないからだ。
特に人口が増えている地域は、商業施設等も増え、さらに人口が増える傾向があるので、地価が上がりやすい傾向にあるので、その点を抑えるだけでも、地価の傾向が見えてくると思われる。今現在は、日本全体で2%強、東京都では5%強地価は上昇している。様々な推察意見もあり、東京オリンピック後には地価は下がる人もいれば、日本には空き家が多いので地価は下がるという人もいる。
私の見解を述べるならば、土地の値動きは需要と供給のバランスのため、需要が大きければ、土地値段は上がると見ている。そのため地域をきちんと選べば10年20年といった短期的には地価が上がる地域はあり、その推察はたやすいと考える。一方日本全体でみると確かに地価は下がるという意見も分かるのだが、もし仮に中国人富裕層などが日本の土地を買っていくのであれば、まだまだ需要が強いと考える。それほど日本は経済成長率が低迷している(ほぼ横ばい)一方で、中国、インド、アジア諸国の経済成長率(7%〜10%)は日本の比にならないほど、伸びているのだ。(あくまで私見です…)
他にも、地価の値動きを公開しているサイトもあるので、参考にするといい⬇️。
こうして、例えばだが、
- 売却物件のポイントが120点
- 近隣物件のポイントが100点
- 近隣物件の販売価格(㎡単価)が100万円
- 売却物件の広さが50㎡
だった場合、120/100 ×100万円 × 50㎡ =6000万円 といった風に査定額が算出される。
更に言うならば、首都圏の場合、マンションであれば3000万円〜6000万円が、戸建であれば4000万円〜7000万円が、高値かつ売れ筋の価格帯である。それ以上であれば、早々に購入できる人が見つかり難く、逆にそれ以下であっても、疑心もあり売れ難くなる。この点も、購入する時から売却することを考えて、押さえておくといい。
売却時期をどう考えるか?
もう一点注意いただきたいのが、売却時期である。上記のように築年数はポイント換算の中でも一番重視される項目であり、売却時期を見定めておく必要がある。一般的には、マンションは15年で、戸建は20年で建物価値はほぼなくなると言われている。売却したとしても土地分の価格にしかほぼならないのだ。
で、売却時期を考える上では、買い手の気持ちに立つとわかりやすいかと思う。人気があるのは、やはり築浅物件であり、築5年、築10年といった広告がよく出ていることからも、買い手はその二つの築年数で検討することが多い。実際に上記のようなポイント算出時にも、5年、10年を超えるとポイントがガクンと下がる査定をしている不動産会社もある。となると、売り手としては、築4年〜5年、築9年〜10年という時期に売るのが望ましい。こうすることで、冒頭に「賃貸」のメリットや「購入」のデメリットであげられるような、住み替えの楽さを享受しながら、生活に合わせた住居選びが可能になるのだ。購入を大袈裟に捉えすぎずに、計画的に住み替えすることで、お金を貯めると同時に、その時々にあった生活スタイル=住居を選んでいくことをおススメしたい。
以上が、住居費を減らす方法です。私の例で言うと、4年に一度住み替えをし、10年間で3264万円が貯まる計算になります。これはかなり得な事例ではありますが、購入額と売却額が同額になるよう目指すだけでも、その間かかった家賃分はタダになりますので、住居費がタダになるわけです。是非一度お試しください。
次回は、少し脱線し「税金の減らし方」について触れたいと思います…
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著者名:浅井 佐知子