映画「アイアン・フィスト」を観ました。
もしもあなたがカンフー映画好きでヒップホップ好き、しかもウータン派であればこの作品をお勧めすることができます。
その条件はどちらか一方でもダメだし、どちらも好きではない場合は全くもって評価に値しないと感じるでしょう。
僕は前者だったのでこの作品がかっこいいと思えました。
映画の出来ではなく存在自体にです。
というのもこれは超個人的な趣味の世界を表現していると理解しているからです。
感想を簡潔に言えば This shit is real.
制作・主演はウータンクランのリーダー"RZA"
彼はカンフー映画オタクとしても有名です。
まず冒頭からかかる"Shame on a ni**a"でもそうなんですが、カンフー映画のセリフをサンプリングしたり東洋趣味的なトラックを作ったりするほど自己の世界観を構成しています。
そしてヒップホップの第一線で成功を収めただけではなく、カンフー映画を作るという夢まで叶えてしまったわけです。
その事実自体に意味がある作品だから僕はかっこいいと思う。
内容はよくある昔のカンフー映画やタランティーノ的なB級映画の寄せ集めですし、RZAの演技も下手です。
というかそこを自覚しているから主人公なのに出番も少ないし「演技しないように」すらしています。
その内容を差し引いても自分の愛と情熱、信念を形にしたということ自体に僕は感動しました。
というのもカンフー映画ファンは自分を日陰者と思っている節があるのです。(たぶん)
そんな中で商業的な成功が難しそうなカンフー映画を作るというのはかなり大それたことに思えます。
しかしRZAはそれをやってのけました。
そこに前述の通り愛と情熱を感じると共に、実現するための現実的な方法を取ったという事にも感銘を受けました。
タランティーノをクレジットに出したのもその作戦の内の一つでしょう。
ちなみにRZAが出演している他の映画は普通にオススメできます(笑)
全部ちょい役ですけどね。
「ゴースト・ドッグ」
「アフロ・サムライ」(音楽担当)