不老伝説で知られる女性「八百比丘尼(はっぴゃくびくに)」の木造坐像(ざぞう)が21日まで、福井県小浜市の県立若狭歴史博物館で公開されている。同市青井の神明神社に安置されているもので、一般公開は極めて珍しいという。
八百比丘尼をめぐっては、人魚の肉を食べて不老となり全国を巡って人々を助けたという伝説が全国各地に残る。故郷の若狭に戻って800歳近くまで生きたとされ、神明神社境内の八百姫宮には、室町時代と江戸時代(17世紀後半)に造られたとされる2体の像がまつられている。
今回はそのうち、江戸時代に造られた1体(高さ約50センチ)を期間限定で展示した。右手に願いをかなえる宝珠、左手には白玉ツバキの枝を持ち、目には玉眼(水晶)が施されている。ほほ笑みかけるような柔和な表情は若々しく、神秘的な雰囲気を醸し出している。
神式風の衣装には小浜藩主・酒井家の家紋があしらわれているほか、制作当時のままとみられる金箔(きんぱく)で彩られた唐草紋も残る。有馬香織学芸員は「精巧な造りで、装飾からも地元の信仰深さがよく分かる。通常は非公開の像を市内外の多くの人に見てもらいたい」と話している。
展示は午前9時〜午後5時。期間中の8日は休館。一般・大学生300円、高校生以下と70歳以上は無料。問い合わせは同博物館=電話0770(56)0525。