西洋音楽史(’13)

主任講師: 岡田 暁生

西洋音楽がもつアクチュアリティーおよび本質を、様々な音楽に実際に触れつつ理解する。音楽を単に感覚的な印象や好き嫌いで論じるのではなく、その仕組みを客観的に理解したうえで、その背景となる精神構造や社会などをそこに読み取ることが、本授業の目的である。 検討中リストに追加

各回のテーマと放送内容

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第1回 西洋音楽の歴史を学ぶ意味 
西洋音楽とはいわゆるクラシックとほぼ同義だと考えてよいが、それを二一世紀の日本において学ぶことにどのようなアクチュアリティーがあるのかについて、考える。
担当講師: 岡田 暁生 (京都大学教授)
第2回 古楽・クラシック・現代音楽-西洋音楽史の三つのエポックについて 
西洋音楽の大きな本質の一つが楽譜である。音の長さと高さを正確かつ科学的に記す楽譜システムを例に、西洋音楽を特徴づける合理主義について論じる
担当講師: 岡田 暁生 (京都大学教授)
第3回 多声的音楽の始まり -西洋音楽の夜明け
西洋音楽は中世のグレゴリオ聖歌とともに始まり、そこからポリフォニー音楽(多声的音楽)が生まれることによって爆発的な発展を遂げた。論じるのはおよそ8世紀から11世紀。
担当講師: 岡田 暁生 (京都大学教授)
第4回 中世音楽の黄金時代と黄昏 
中世音楽の黄金時代は、いわゆるノートルダム楽派であり、これは12世紀から13世紀にかけての十字軍の時代に重なる。それに続くのが、ある種マニエリスムの時代とも言うべき、14世紀のアルス・ノヴァと呼ばれる様式である。
担当講師: 岡田 暁生 (京都大学教授)
第5回 ルネサンス前期と無伴奏合唱
音楽のルネサンスは15世紀に始まる。その中心は、今のフランス北部からベルギーに至るフランドル地方。オケゲムやジョスカンといったこの時代の作曲家の中心ジャンルは、無伴奏宗教合唱曲であった。
担当講師: 岡田 暁生 (京都大学教授)
第6回 ルネサンス後期と劇化する音楽 
新大陸が発見され、多くの科学発明が成される16世紀のルネサンス後半は、西洋音楽が爆発的な発展を遂げる時代であった。ジャンル的にも世俗音楽や器楽曲などが飛躍的に増加し、音楽の中心もイタリアに移る。
担当講師: 岡田 暁生 (京都大学教授)
第7回 バロック音楽と絶対王政の時代
17世紀に始まるバロック時代は、政治的にはいわゆる絶対王政の成立とほぼ軌を一にしている。それは通奏低音とコンチェルトの原理、そしてオペラの誕生によって特徴づけられるエポックであった。
担当講師: 岡田 暁生 (京都大学教授)
第8回 「音楽の父」としてのバッハ 
バロック音楽の最も偉大な作曲家であるバッハは、必ずしもバロックを典型的な形で代表する作曲家ではなかった。バロックは音楽が宮廷における瀟洒な娯楽としてどんどん世俗化していった時代であるが、むしろバッハはそのような時代潮流に背を向けるように、中世的な「神に捧げる音楽」の理念を追求した人だったといえる。
担当講師: 岡田 暁生 (京都大学教授)
第9回 ウィーン古典派と近代市民音楽の始まり
市民階級が台頭し始める18世紀後半、彼らによって支えられる、バロックとは別のタイプの音楽が生まれる。それがウィーン古典派と呼ばれる時代であり、ハイドン・モーツァルト・ベートーヴェンがその代表である。ソナタ形式、交響曲、弦楽四重奏、リートなどは、この時代になって初めて生まれてきた。
担当講師: 岡田 暁生 (京都大学教授)
第10回 ベートーヴェンの偉大さ
ベートーヴェンは18世紀後半のウィーン古典派の時代と19世紀のロマン派の時代をつなぐ偉大な存在である。作曲家の独創性と主観の表出としての音楽は、彼によって創造されたといっても過言ではない。また市民の集う新しい共同体としての「コンサート」という制度が生まれたのも彼の時代であり、ベートーヴェンはそのシンボルとしての交響曲のジャンルを確立した。
担当講師: 岡田 暁生 (京都大学教授)
第11回 ロマン派音楽の制度と美学
19世紀のロマン派音楽は、私たちが「クラシック音楽」としてなじんでいるジャンルの中心をなす。音楽学校やコンサート・マネージメントや音楽批評といった、今なお私たちの音楽生活を規定している諸制度は、すべてこの時代に創出された。また感情表出(とりわけ苦悩のそれ)や独創性を重視するクラシックの美学もまた、19世紀に確立されたものである。
担当講師: 岡田 暁生 (京都大学教授)
第12回 ロマン派と芸術宗教 
ニーチェいうところの「神が死んだ」19世紀において、音楽はいわば擬似宗教的な機能を果たし始める。コンサートやオペラが、一種のミサ体験のような性格を帯びてくるのである。こうした19世紀ロマン派の芸術宗教を最も端的な形で実現したのが、ワーグナーである。彼はバイロイトに自分の作品だけを上演する劇場を建てたが、これは聴衆に一種の巡礼を要求する、新しい宗教の創成であったといえる。
担当講師: 岡田 暁生 (京都大学教授)
第13回 前衛への越境 
第一次世界大戦の直前、一九〇〇年代はロマン派爛熟の時代であると同時に、クラシック音楽の伝統の崩壊の予兆が見え始めた時代でもあった。そこからシェーンベルクやストラヴィンスキーといった作曲家は、もはや市民社会の娯楽であることを拒絶するような、実験的な音楽を作り出した。いわゆる前衛音楽は、この時代に始まる。
担当講師: 岡田 暁生 (京都大学教授)
第14回 第一次世界大戦の後 
第一次世界大戦が終わった一九二〇年代、クラシック音楽はモダニズムとアヴァンギャルドへと、決定的に越境する。シェーンベルクらは調性を用いる音楽を拒絶し、またストラヴィンスキーは歴史上のスタイルのパロディのみで作品をつくる、いわゆる新古典主義を開始する。それはまた、コンサートのレパートリーが過去の名作のみに次第に固定されていく「クラシックのクラシック化」のプロセスでもあった。
担当講師: 岡田 暁生 (京都大学教授)
第15回 クラシックと現代音楽とポピュラーと 
20世紀音楽史は、第一次大戦の直前に始まった前衛音楽、第一次大戦後からラジオやレコードといったメディアによって世界中に伝播するようになったアメリカ・ポピュラー音楽、そして同じくラジオやレコードによって世界に広まる「大演奏家」による「クラシック音楽」へと、従来のクラシックが三分した時代と見ることが出来る。そのなかにあって、第二次大戦後のモダン・ジャズは、ポピュラー音楽の中から生まれてきた、極めて高度の作曲技法を駆使する一種の芸術音楽として注目される。
担当講師: 岡田 暁生 (京都大学教授)

放送メディア:

ラジオ

放送時間:


2017年度 [第1学期] (水曜)
13時00分〜13時45分

単位認定試験 試験日・時限:

2017年度 [第1学期]
2017年7月25日 (火曜)
5時限 (14時25分~15時15分)

開設年度:

2013年度

科目区分:

専門科目

科目コード:

1554646

単位数:

2単位
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