那覇中央郵便局の身体障がい者用駐車場に取り付けられたロック装置の突起が「バリア(障壁)」となり、車いすを横付けできず、ドライバーの乗り降りが困難な事態が発生している。2日、自らも車いすドライバーで、県脊髄損傷者協会の仲根建作理事長が現場を視察し、同郵便局に改善を申し入れた。県内で同様の身障者用駐車場は例がないという。日本郵便沖縄支社は、設置に至った経緯を確認中とし「対応を検討したい」と話している。(社会部・篠原知恵)

車止めぎりぎりまでバック駐車すると車いすが横付けできないため、駐車位置を調整する県脊髄損傷者協の仲根建作理事長=2日、那覇市壺川の那覇中央郵便局

車止めぎりぎりまでバック駐車すると車いすが横付けできないため、駐車位置を調整する県脊髄損傷者協の仲根建作理事長=2日、那覇市壺川の那覇中央郵便局

 同郵便局の駐車場は昨年3月からコインパーキングとなり、身障者用1台分を含めてロック装置が整備された。15分たつとロック板が上がり、課金される仕組みだ。

 「10分以上粘ったけれど無理だった」。半年前、普通乗用車の駐車を断念した車いすドライバーの女性(36)=那覇市=は言う。角度を変えて車の出し入れを繰り返したが、車いすの前後輪が突起に引っかかり安定しない。「転びそうで不安で、運転席から乗り換えられなかった」

 やむなく通路に停車して職員に事情を説明し、用事を済ませたという。意見箱に配慮を求める投書も出したが、改善されないままだ。同郵便局を頻繁に訪れていたが、今は行けずにいるという。

 通常、運転席から車いすを降ろし、乗り換える時にはドアを全開にしなければならず、1・4メートル以上の乗り降り用空間が必要となる。同郵便局にはこの空間が片側にしかなく、バック駐車だと突起が邪魔になる。前進駐車だと隣の車との間隔が狭く、車いすの乗り降りができない。

 2日、同郵便局の崎原秀雄総務部長ら立ち会いの下、駐車を試した仲根理事長も「突起があるのを見るだけで、多くの車いす利用者が怖くて止める気にならないだろう」と語り、物理的だけでなく心理的なバリアの存在も指摘した。

 ただ身障者用からロック装置を撤去するだけでは、そこに一般ドライバーが止める不適正利用につながりかねない。

 仲根理事長は、改善策として(1)乗り降り用の空間を両側に設置(2)身障者用駐車場のロック装置を撤去して青色に塗る-などを提案し「当事者目線に立って対策を練ってほしい」と求めている。

 県内大手銀行などのコインパーキングでは身障者用にロック装置はなく無料で、青色に塗って不適正利用をしにくくしている。県外では突起のないロック装置を設置するなど、工夫を凝らしている所もある。