住友商事は2日、マダガスカルで手がけるニッケル開発プロジェクト「アンバトビー」の出資比率を引き上げると発表した。共同で事業を手がけるカナダの資源開発会社シェリットインターナショナルの一部持ち分を取得して、比率は32.5%から47.7%に上昇する。貸付金が権益に置き換わるため、新たな資金拠出はない。
シェリットは財務体質が悪化しており、住商が子会社を通じて資金を貸し付けている。その部分をシェリットの出資分と置き換える形で権益を取得する。シェリットは出資比率が40%から12%に低下する。住商と、同じく共同開発する韓国資源公社が比率を引き上げる見通し。
アンバトビーに対しては完工後に資金が必要になった場合に株主が拠出することになっていたが、シェリットは資金難で2015年末から拠出を停止して、住商や韓国資源公社が出していた。今回の合意で新たな出資比率に応じて、シェリットが過去に遡及して資金を拠出する。
07年から開発を始めたアンバトビーは立ち上げの遅れやニッケル価格の低迷によって16年3月期に770億円の減損損失を計上している。17年3月期はコスト削減効果で期初想定より縮小するが赤字が続く見通し。住商のアンバトビーへの出資比率は当初の27.5%から15年に32.5%に増加した。今回さらに上昇することで今後、住商の利益への影響は大きくなる。