3億円以上かけた防災無線事業が頓挫 宮城 色麻町

宮城県色麻町は、災害情報などを町内の全世帯に一斉放送で伝えるシステムとして、国の補助金などおよそ3億7000万円をかけてデジタル無線網を整備しましたが、多くの家庭に電波が安定して届かず、事業が事実上頓挫していたことがわかりました。
宮城県色麻町は、町内のおよそ2000世帯すべてに防災情報などを一斉放送で伝えるシステムとして、平成23年度からデジタル無線網の整備を進めてきました。
町内の6か所に新たに造った高速無線通信の基地局から電波を発信し、各家庭に設置した端末で放送を受信するシステムで、おととし4月から運用する予定でした。

ところが、多くの家庭に電波が安定して届かず、放送を受信できない状態になっていることがわかりました。
町は、事業を請け負った業者などに改善を求めましたが、問題は解消されず、国の補助金など総額およそ3億7000万円をかけた事業は事実上頓挫してしまったということです。

これについて、町が設置した検証委員会は「現状の設備では300世帯程度しかカバーできず、全世帯への一斉放送は実現できない」と指摘しています。

色麻町の早坂利悦町長はNHKの取材に対し「このシステムに固執せず、別の方法を考えていきたい」と話しています。