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現在位置トップページ > 総合メニュー > 市政情報 > 広聴・広報・情報公開 > オンライン広報 > ごろごろ、神戸2 > 第1回 ごろごろ、神戸へ


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第1回 ごろごろ、神戸へ

東京に15年ほど住んでいて、インターネット上で日記を書いていた私のもとに、ある時神戸の方から「あなたが好きそうな町並みがあるから案内したい」という内容のメールが届いた。関西には時々用事があったので何度かのやり取りの後、やがてその方とJR神戸駅で待ち合わせして案内してもらったのは、駅の南口を歩いて阪神高速道路を渡り西へ10分ほど歩いた先にあった稲荷市場、そこから北に歩いた場所にある新開地の商店街や歓楽街、さらにミナエンタウンを通って湊川商店街、ハートフルみなとがわ、湊川市場、東山商店街、マルシン市場へと続く、商店街や市場が迷路状に広がり数百の個人商店が軒を並べる神戸下町の特異な風景だった。

私は大げさではなくその日見たすべてに興奮して毛穴が開いてしまい、遊びに来るだけじゃなくこの場所に住みたいと思い始めた。それから何ヶ月かたった同じ年の秋に妻の妊娠というイベントがあって、どうせこのさき子供が生まれて生活が激変するのなら、環境ごとごっそり変えてやろう、今こそ神戸に引っ越すチャンスなのだと考えた。それからは妄想と現実が入り混じった高揚感の中で、夜中に缶チューハイを飲みながら子供の名前を考える作業と並行し、インターネットで夜な夜な兵庫県の賃貸情報を検索し続けた。

強い思い込みさえあれば環境を変える事はそれほど難しくはない。
なんとかなると思えばだいたいの事はなんとかなるものだ。
要は「どうなるかはわからないが細かい事は後から考えよう」というような理屈で妻を説得し、私たちは日帰りで新幹線に乗って新開地の不動産屋に飛び込み、その日のうちに物件を決めてしまった。

そこから、実際に神戸に引っ越して子供が生まれるまでの出来事を「REGAL2504」という文章に、子供が生まれてから1年間の、空想していたあこがれの神戸暮らしと引っ越してから始まった現実の生活とを「ごろごろ、神戸」という文章にそれぞれ書いた。そして今日からは、3年目に入った神戸生活を「ごろごろ、神戸2」としてこの場所で書いていきたい。

こちらに来てほどなくして生まれた子供は新開地の千鳥足のおやじ達や商店街の口うるさいおばあ達にかわいがられ、そろそろ2歳になる。最近は意に沿わない出来事があると「あかん!」という関西弁で拒否の意思を示すようになった。私はといえば毎日が子守りと家事雑事でバタバタと終わっていく事は変わらず、日に日に自由に動き、走り回るようになった子供を転ばないように、車道にとび出さないようにと中腰で追いかけている毎日だ。いつも一緒にいるので「こっちのほうが兄貴やな」とからかわれる犬は去年から変わらずベビーカーの下カゴを自分の居場所としてくつろいでいる。

すっかり自由のなくなった私の毎日は、子育ての忙しさの中で振り返る余裕もなく過ぎて行った。

 

この1年で変わった事もある。
さすがに毎日のように顔を合わせる商店街の人たちとは顔なじみになって、ベビーカーに子供と犬を乗せるというスタイルでそのまま行動出来る場所のリストがさらに増えた。東京にいた頃は一緒に行ける場所が公園くらいしかなく、犬には留守番をさせる事が多かったが、日用品のすべてを路上店舗の対面販売で買うようになった今は、どこへ行くにも子供と犬をセットで連れ歩けるようになった。犬連れでの生活のしやすさは台湾が有名だが、同じアジア都市である神戸だって負けていない。住めば住むほどそれを実感しているので、思い切ってこちらに引っ越してきて本当に良かったと思っている。

行く先々で重装備の私たちを優しくむかえてくれる人たちが出来た。
子育てがつらいつらいと嘆きながらも、現在の私たちを取り巻く恵まれた環境は、子供の存在がなければ、そしておそらくは神戸という街でなければ築く事が出来なかったものだ。子供は、私たちに苦労と同量の、あるいはそれ以上の、新しい発見と居場所を与えてくれている。

 

これからしばらくの間、写真と文章で私なりの神戸の姿を描いていく予定だ。
神戸とひと口に言っても西から東、南から北まで幅広く、その中で私の行動範囲などごく狭いものでしかない。しょせん暮らし始めて2年しかたっていない新参者なので大層な論を書けるはずもなく、ここは背伸びせず缶チューハイを片手にベビーカーをごろごろと押し歩き、出来る範囲でのささやかな地図を描いていこうと思う。

開港150周年のイベントが各地で開催されるめでたいこの街にあって、ここは地味で日の当たらない場所になるかもしれない。しかし足元にある生活をこつこつと見つめていく事で、華やかな神戸とはまた違った町の姿が立ち現れるのではないか。そのような小さな野望を抱きつつ、1人でも多くの人に「神戸ってなかなかおもしろいぞ」と感じてもらえるような連載にしたいと思う。大きな野望としては、私の文章を読んで実際に神戸に引っ越して来る人が1人でもいたらおもしろい。その時はいっしょに公園でたこ焼きでも食べましょう。

しばらくの間、インターネットの片隅でおつきあい下さい。


文と写真 平民金子

写真を撮ったり文章を書いたりしています。1975年生。東京か大阪かメキシコにいましたが、現在は神戸在住。


神戸市広報課より

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