見てるだけなら誰にでもできそうな気がするから不思議です。
インギー、ヴァイ、ヌーノ、ザックといったギタリストたちと共に、世界を巡回中の「Generation Axe」ツアーに参加している、アニマルズ・アズ・リーダーズのトシン・アバシ。先日は日本の3箇所を廻り、舞台上でヴァイとヌーノが「彼は次世代のギタリスト、未来のギタリストだ」と褒めちぎっていました。
トシンの楽曲は美しい旋律と重さのコントラスト、そして一見さんでは全くノれない変拍子の連続、さらにはとにかく音の数が多いのが特徴かと思います。
そこで今回は、TotalGuitarによるトシンのレッスン動画を6本ご覧いただき、彼のテクニックを学んでみましょう。
サンピング
スラップまたはチョッパーとも呼ばれるこの奏法は、親指を弦に叩きつけるベースの奏法。ですが彼はこれをギターに使います。親指のダウンとアップ・ストロークで続けて2音叩き、直後に左手のハンマリングを加え最大で3連符を生み出すのです。
もうひとつ、大いに参考になるのでMetalNick1の動画もぜひどうを。
スワイブリッド・ピッキング
ピックによるアルペジオ中に右手の中指で下方の弦を弾く、スウィープのハイブリッド系「スワイブリッド」奏法。これにより、ピッキングだけで高音弦と低音弦の間を行ったり来たりさせることなく、スムーズに任意の弦を弾けるようになります。なんだか琴やハープの演奏みたいです。
ハイブリッド・ピッキング
スワイブリッドでは右手の余った中指だけを使いましたが、こちらはピック弾きと併せて、余った右手の指3本でも弾きます。クラシックギターの弾き方に近いですね。こちらもピックが弦の間を往来させる手間を省きます。
タッピングによるコード弾き
左手で押さえたコードを、右手2本指のハンマリングで行なうライトハンド奏法です。2本指を同時に動かせば和音が奏でられ、交互に動かせば3連符に、さらにその指を隣のフレットにスライドさせる応用技も。
ピアノ・タッピング
右手人差し指と中指の2本はピアノのように一定のリズムで2本の弦をタッピングしつつ、左手でメロディーを、時にシンコペーションで食い気味にフレーズを弾いたりします。
ハンマリング・オン+ピッキング
アニマルズ・アズ・リーダーズの楽曲でもこの奏法は多用されていますね。左手でハンマリング・オンからの、右手ピッキングのダウン&アップ・ストロークで叩き出す3連符です。サンピング奏法が右手2連符からの左手1音だったのと逆で、こちらは左手1音からの右手2連符という逆の順序。簡単そうに聞こえますが、高速で弾くと大量のオタマジャクシが襲ってきます。
なるほど。これらの動画を見ると、ナゼこんなに彼の音数が多いのかが判ります。余った指を遊ばせないのと、ムダのない最小限の動きで最大限の速弾きを実現させるのがキモとでも言いましょうか。
ほかにも8弦だからこそできるのですが、同じスケールの運指で流れるように3オクターブのアルペジオを弾く技や、8弦すべて/中間を飛ばした任意の弦でのコード弾きという技法もこなします。
代表的なテクニックを惜しみなく伝授してくれるトシンですが、彼の次元に到達するには8弦ギターと各種エフェクターを使いこなし、複雑かつ美しいインスト曲が書けないといけません。ついでに言うと、生まれつき右手の親指が90度反り返っているとベターかも?
断片的にテクニックだけを見てきましたが、最後にSeymour Duncanより「NAMM 2016」でのトシンの生演奏を一曲通してご覧ください。
スーパーギタリストたちの教則ビデオでギターを勉強した彼は、反射的に指が憶えるまで何度も反復練習を繰り返し、さらにピッキングの速度を上げていったのが今に繋がっているという話です。
ギターキッズの皆さんも、これらをマスターすれば明日からアニマルズ・アズ・リーダーズになれますね!
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image: YouTube
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(岡本玄介)