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専門家に聞く!本当に効くダイエットの新原則トップ5

執筆者 : 武藤 順子さん

この記事では、ダイエットのパーソナルトレーナーも勤めている武藤さんにお聞きした、本当に痩せるために重要なダイエットの5つの原則をご紹介します。 いろいろなダイエット手法がありますが、その根幹になる原則、ぜひご一読ください!

 

ダイエットをネットで調べると玉石混交のたくさんの情報が出てきます。でも残念なことに、ほとんどの情報は、「間違ってはいないけれど大げさすぎる」ものや「出典が不明なもの」です。ダイエット情報にまつわる問題点の一つは、個人のバックグラウンドを考慮せずに特定の方法で痩せると断言するものが多いからです。

ダイエットは個人差が大きいため、ネット情報をうのみにできないのです。筋肉量や生活パターン、生まれ育った環境が違うのに、〇〇ダイエットというくくりでは対応できません。あの人はあんなにやせたのに、どうして自分はだめなのかな~と自信を無くした経験はありませんか?

自分にあったダイエット法を見つける方法はただ一つ。いろんな方法を自分で試して、自分の体調の変化や体重の増減をしっかりチェックすることなんです。最も重要なことは自分の「心と体」に目を向けること。

ダイエットのもう一つの問題は「専門家不在の領域」という点です。つまり、肥満に最も大きな影響を与えるのは「食事」ですが、そのほか運動や食欲に関する心理学や脳科学、テレビやネットの情報や美味しい食べ物の映像の誘惑、生まれ育った環境や文化など、実に様々な要素が肥満を加速させているのです。単純に「炭水化物を減らしましょう」と伝えて、全員が痩せるとは限らないわけですね。

このコラムでは、無駄なくダイエットに成功していただくために、ダイエット新原則のトップ5をお伝えします。まずはこの5項目を試してください。1週間に1つの項目を意識して生活をして、「体重・体調・気分」をしっかりメモすることをお勧めします。AさんやBさんが成功したダイエット法を試して一喜一憂する生活は今日で終わりです。自分に向いている方法に出会えるまで、気を落とさず前進していきましょう!

①血糖値のアップダウンを少なくする

糖質の量

血糖値を上げる唯一のもの、それが糖質です。炭水化物から食物繊維を除いたものが糖質ですが、炭水化物とほとんど同じと考えてOKです。炭水化物といってすぐに思い浮かぶ食品は、ご飯、パン、スパゲティ、ビーフン、うどん、そば、でしょうか。食べた時は糖なのに、エネルギーとして使いきれなかった分は、脂肪として体に蓄えられるからやっかいです。覚えていただきたいダイエットのポイントは「血糖値を上げない生活」。

蜂蜜やメープルシロップはヘルシーなイメージですが、意外にも上白糖よりも糖質が多いので気を付けましょう。黒糖の糖質量は上白糖と同じくらいです。だから、シリアルにメープルシロップをかけて食べると、おしゃれな見た目とは裏腹に糖質は多くなるので要注意。

肉、魚、卵は糖質がほとんど入っていないので、血糖値は上がりません。大豆製品も低糖質なので、私は、大豆一袋をいっきに煮て、少量ずつ冷凍し、サラダにかけて日常的に摂るようにしています。肉汁が美味しいステーキは、今やダイエットの味方ですね。タンパク質を多くとると満足度が上がるので、間食をしなくてすみます。

野菜の中には、ジャガイモなど確かに糖質の多い根菜類もありますが、それほど気にすることはないと思っています。まずやるべきことは、摂り過ぎていた糖質をやめることです。小腹が減った時に食べるおやつは、ほとんどが炭水化物ではないでしょうか?

食べる順番

美味しい糖質が食べられないのはちょっと悲しいですよね。でも、食べる順番でご飯もパンもある程度食べることができるのはご存知ですか?

まず、水溶性食物繊維の多い野菜を先に食べましょう。そうすると、その後に食べる糖質の吸収が遅くなり、血糖値が上がりにくくなります。アボカド、ゴボウ、オクラ、納豆、などは水溶性食物繊維が豊富でオススメです。

もう一つの方法は、ご飯より先に肉や魚などのたんぱく質を食べることです。血糖値が上がりにくいので、同じご飯量を食べても太りにくいのです。これはタンパク質によりインクレチンというホルモンが出て、食べたものの消化吸収が遅くなるからです。居酒屋でコース料理を頼むと、前菜が出て、お肉が出て、鍋になり、最後にご飯やうどんを投入!という流れが多いですが、これはダイエットの観点から見ると大正解です。

②かたい野菜を30回かむ

ぽっちゃり体型の人を観察していると、食べるのがとにかく速いことがよくわかります。一方、痩せ体質の人はよく噛んで食べています。なぜ噛むことが大切なのか。それは、よく噛むことで、脳内にヒスタミンが分泌され、食欲中枢を刺激して、「お腹一杯」という信号を出してくれるからです。だから、少量でも満足して食べ過ぎを防げるんですね。柔らかいものは、沢山食べてもなかなかお腹いっぱいにならなくて、気が付いたら食べ過ぎていたってことありませんか?

基本は、一口30回噛むこと。柔らかいものは噛まなくても飲み込めるので、できれば硬い食材を選びましょう。

たとえば、ニンジンの千切りサラダやキャベツのざく切りサラダはオススメです。これだけでもかたいのに、さらにナッツを加えると歯ごたえ十分。細かく切るよりは、スティックサラダにすると、作るのも簡単で、タッパーにいれて用意しておけば忙しい朝にも食べられます。人参は糖が多い根菜と言われますが、小サイズ1本食べても糖はわずか6g。牛乳の9.9gと比べても、気にする糖質量ではないでしょう。

また、噛むことで交感神経が活発になり、内臓脂肪が分解されやすくなります。食べているのに脂肪が分解されていくって面白いですよね。いつでもどこでも痩せられるこの方法は、シンプルだけど効果は抜群なのです。

③オメガ3のオイルをいつもテーブルに置く

糖質を減らした分、野菜や肉・魚、大豆製品などを増やしますが、満足度を高めるために良質のオイルを食卓において、色々なものにプラスしてください。実はダイエット中に気を付けるべきは、油の摂取量を減らさないことです。摂取が少なくなるとホルモンバランスが崩れることがあるので、良質な油を摂りましょう。細胞膜もホルモンも成分は油だからです。

積極的に摂りたい油は、ω(オメガ)3不飽和脂肪酸、つまり亜麻仁油やえごま油です。この油に含まれるαリノレン酸が、体内でEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)に代謝され、血中の中性脂肪を減らし、脳を活性化します。

それでは肉の脂身はどうでしょうか?結論から言うと、脂身の多いお肉を食べても問題はありません。それどころか、鉄分の補給という面からみても牛肉はたっぷり食べてもらいたいのです。ただ、コレステロール値を上げるとか、発がんリスクが高まるという研究結果もあるので、バランスのいい食事を心がけてください。

④運動よりも日常生活の中の動きにフォーカス

ダイエットを目的に好きでもない運動を始めるより、ずっと効果のある方法を知ってますか?それは、家事など日常での動きを増やすこと。そんなささいなことで痩せるんですか?と、よく言われるのですが、とても効果的なのです。

運動以外の体の動きによる熱産生をNEAT(non-exercise activity thermogenesis)といいます。働かないで家にいるニートさんとはちがいますよ。運動以外の体の動きとは、通勤通学、お掃除、買い物、ご飯作り、皿洗い、風呂洗いなどです。ちょこまか体を動かす人は、筋肉が落ちにくくエネルギーを消費しやすい体に自然となっていきます。考えてみてください。週に1回30分ジョギングしても、運動時間は1日当たりプラス4分です。通勤のエスカレーターを階段にしたり、外食を減らしてお料理時間を増やしたりすれば、もっと楽に1日の活動時間を10分プラスにできます。厚生労働省が「プラス・テン(+10)」という健康づくりの基準を打ち出して、1日10分身体活動を増やしましょうと呼びかけていますが、これはダイエットにもあてはまる大切なポイントなんです。

食べた後、すぐに横になったり、椅子に座ってテレビを見たりしてはいませんか?NEATが低いうえに、血糖値があがりやすくなるので要注意です。食後はすぐに皿を洗ったり、お風呂の掃除をしたりしましょう。血液が筋肉に行くので胃の血液は少なくなり、消化にかかる時間が長くなる、つまり太りにくくなるんです。

では、運動は必要ないのでしょうか?私は、運動はダイエット目的ではなく、楽しみでやっていただきたいと思います。本来、運動は自分らしく楽しむもの。痩せるために嫌々行うくらいなら、やらないほうがましです。それより、写真を撮るとか美術館を回るとか、体を動かしつつずっと楽しめる趣味を見つけることのほうが、実は本当に大切なことなのです。

⑤外食のルールを決める

お昼にコンビニでランチを買う人。まず、食品に含まれる糖質をチェックしてください。カロリーを気にする必要はありません。今まで買っていた菓子パンや総菜パンの糖質の量を見ると、おそらくビックリされると思います。まずは、パンコーナーには近づかないことです。

おにぎりとスープというパターンも女性には多いのですが、炭水化物はタンパク質と組み合わせましょう。たとえば半熟ゆで卵を先に食べてからおにぎりを食べると、血糖値の上昇が穏やかになります。タンパク質は、体重80kgの人なら80gを目標に食べるといいといわれています。これはおおまかな目安として覚えておいてください。

糖が少ないものをコンビニで買おうと思うと、実はおつまみコーナーがおすすめ!裂けるチーズは歯ごたえもあるので、噛む回数を増やす効果も期待できます。スモークタン、おでんの大根、フライドチキンなど低糖質おかずを探すのも楽しいかもしれません。

また、ランチに糖をたっぷりとってしまうと、午後ものすごーく眠くなります。これは血糖値が一気にあがるからです。ところが、糖質を控えると食後に全く眠くならないのです。ダイエットに成功して仕事の効率も上がる!ランチに糖質を摂らないのは、今やサラリーマンやOLの新常識になりつつあります。

By: sayot

そして、飲みに行くときは、ビールでなくハイボールや焼酎にしましょう。ウイスキー、ウォッカ、ジンなどの蒸留酒には糖質は含まれていません。ただし一つだけ注意してもらいたいことがあります。それは、低糖質のおつまみで糖質オフのアルコールを大量に飲む場合。肝臓はアルコール処理で大忙しになるため、糖を作る機能が後回しになり、血糖値が下がったままになる可能性があります。時々、低血糖で病院に運ばれる人がいるので、お酒を多めに飲んだ日には締めのご飯やアイスを少しいただくようにしましょう。

①~⑤を週に1つずつ意識して生活してみる

いきなり5つすべてに気を配るのは難しいので、まずは1つずつ意識してみましょう。完璧にできなくても大丈夫。とにかくまずは取り組んでみて、体調・体重・気持ちの変化をできる限り丁寧にメモしてください。「続ければ体重が落とせそう」「肌の調子がいい」「便通が良くなった」「ルールを守るのが難しかったり忘れたりしがち」「気にしすぎるとストレスがたまりそう」「痩せるというより健康になれそう」「体が軽くなった気がする」「間食が減った」「寝つきが良くなった」「ボディラインがきれいになった」などなど、自分の心と体に起きた変化を知ることが大切。それが、自分にぴったりのダイエット法に出会える確率をぐっと上げてくれますよ!

まとめ

ダイエットでまず挑戦すべき5つのポイントを、低糖質を中心にご紹介しました。基本の考え方は、血糖値のアップダウンを少なくすること、そのために、糖質の量を減らしつつ野菜やタンパク質を先に食べること。食の満足度を上げ健康維持のためにω3の油を摂取し、無理な運動を始めるよりも日常の動きをふやすこと。そして、外食では糖質量を意識すること。

これらを一つ一つ習慣化させていくと、1か月ほどで自然と体重が落ちてきます。是非1週間に1つの課題に取り組んで、体の変化に意識を向けてください。大切なことは、食や生活を変えて自分はどう変わったか、体の調子や気分はよくなったか?それをなるべく細かく手帳にメモすることです。

自分に合った方法でダイエットを行えば、スリムになったという見た目の満足度に加えて、体調や気分が軽くなり様々な不定愁訴(※1)が改善するおまけも期待できるかもしれません。

 

※1・・・不定愁訴(ふていしゅうそ)とは、「頭が重い」、「イライラする」、「疲労感が取れない」、「よく眠れない」などの、何となく体調が悪いという自覚症状を訴えるが、検査をしても原因となる病気が見つからない状態を指す

振り返り用チェックリスト

  • ①血糖値のアップダウンを少なくする
  • ②かたい野菜を30回かむ
  • ③オメガ3のオイルをいつもテーブルに置く
  • ④運動よりも日常生活の中の動きにフォーカス
  • ⑤外食のルールを決める

 

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薬剤師 武藤 順子さんプロフィール

経歴
横浜生まれ
東京理科大学薬学部卒業(薬剤師)
製薬会社などを経て医学翻訳会社を設立。
その後、日本体育大学大学院で、肥満、うつ、運動などを研究(体育科学博士号)
現在は、株式会社ビーフィジカル代表。ダイエット、メンタルタフネスを中心にサイエンスをわかりやすく伝える仕事を行っている。

自己紹介
薬剤師ではあるものの、薬が根本治療になることは少なく、健康体質になるためになにをすればいいのかずっと追及し続けています。あふれかえる健康ノウハウのベースにあるサイエンスの考え方をしっかり身に付けたいと思い、子供が小学生になってから大学院にはいりました。一番大きな学びは「どんな情報でも論文を自分で調べて真意を確認できる」ということです。
趣味はテニス、生け花、写真、旅行。アートの話を聞くのも好きです。

この仕事に就いた理由
医薬関係の仕事をしてきましたが、人の健康には意外にも間接的にしかかかわることができず、もっと直接的な仕事がしたいと思い、ダイエットというテーマを選びました。ダイエットはストレスと隣り合わせなので、大学院で学んだうつや運動についての知識も役に立つと思っています。

この仕事のやりがい
家族や友人の健康相談に乗れること。学んだことが人の役に立つこと。

今後の展望
未来健康の専門家として、日常生活で取り組めてお金のかからない予防医学を広めてきたいです。太り気味の人が今5キロ痩せることが、将来の幸せな日常にどれだけ寄与するのかを数値で説明できれば、健康的に痩せるモチベーションになるのではないでしょうか。また、ダイエットと深くかかわりがあるストレスについても扱っていきたいです。「ストレス回復力」を日常から高める方法を提案していければと思っています。

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