映画『帝一の國』ネタバレ感想・評価
あらすじ:国内屈指の名門校である海帝高校で生徒会長の座に就いた人物には、将来の入閣が約束されていた。首席で入学を果たした新入生の赤場帝一(菅田将暉)には、いつか総理大臣になって己の国を作り上げるという大きな野望があった。彼は2年後に控えた生徒会長選を見据え、全国から集まったトップエリート800人の高校生相手に戦いを挑む。(シネマトゥデイ)
製作国:日本 上映時間:118分 製作年:2017年
監督:永井聡 脚本:古屋兎丸
キャスト:菅田将暉 / 野村周平 / 竹内涼真 / 間宮祥太朗 / 志尊淳 / 千葉雄大 / 永野芽郁 / 鈴木勝大 / 萩原利久 / 岡山天音 / 三河悠冴 / 井之脇海 / 木村了 / 榎木孝明 / 山路和弘 / 真飛聖 / 中村育二 / 吉田鋼太郎等
上映館:「帝一の國」の映画館(上映館)を検索 - 映画.com
どうもアバウト男です!
イマイチだった【無限の住人】とハシゴして来たのは、同じく漫画の実写化映画【帝一の國】。
こちらも原作は未読で、というか存在すら知らなくて普通にスルーつもりだったんだけど、公開初日の前日に予告編を観て「もしやこれは面白いヤツでは…?!」と妙な勘が働き、ポチッと予約して観て来ました。
主演は【溺れるナイフ】以来の菅田将暉。監督はCM業界をリアルと突飛さを織り交ぜコミカルに描いた【ジャッジ!】の永井聡。その後に撮った佐藤健&宮崎あおい主演の【世界から猫が消えたなら】は不評みたいで、実際僕も観てないんだけど、それもあってハードルは低めで挑んで来ました。
暴力のないエリート版『クローズZERO』的な映画!?
今回もラストのネタバレはしてませんが、中身には踏み込んでいます。率直は感想は、
思ったより断然面白かった!
この作品は『エリートによるバカみたいな熱い熱い奮闘劇』で清々しいほどどストレートな青春映画でした。
名家の出や官僚や社長の息子などのエリート達が国内屈指の名門校『海帝高校』の生徒会長を目指す物語。例えるなら暴力のない策略によるエリート版【クローズZERO】みたいな映画でしたね!
非現実的な学園世界で『生徒会長=テッペン』を取りに行くみたいな。どこか【クローズZERO】に通じる変な熱気を感じました。厳密に言うと暴力が無いわけでは無いんだけど。
主人公:赤場帝一(菅田将暉)は海帝高校の1年生。目標は将来『自分の国』を作るべく総理大臣になるために絶対的な通過点である『生徒会長』になること。その前にまずは生徒会長の一歩手前、2年の『生徒会長候補』の誰に付くかで今後人生が決まる。
子供の頃からの腐れ縁でコスい東郷菊馬(野村周平)や、生徒会長争いには興味が無さそうな根っからの好青年で人望の熱い大鷹弾が事実上のライバルとなる。
2年生で生徒会長候補有利者の氷室ローランドと森園億人の2人、そしてその2人のどちらに付いて神輿を担ぐのか、闘志を燃やす帝一/帝一の親友で補佐の光明/帝一には死んでも負けられない菊馬/フラットで読めない大鷹弾。このメイン6人が絡み合うコミカルな権力争いをめいいっぱい魅せてくれる。本人たちは至って真剣だからこそ笑える。
先輩へのごますり/異常な自己アピール/誰の元に着、靴まで舐める『犬』となるのか/親のコネ/蹴落し/買収/寝返りなど、醜くも笑わずにはいられないバカバカしいやり取りの数々。実は政治の世界も似たようなもんで、原作は政治家や官僚を目指す学生という立場を良いことに、揶揄や皮肉ってたりもするんだろうな。
原作未読でも楽しめる!
本作は導入部分から、菅田将暉演じる帝一のモノローグで懇切丁寧に物語の設定を説明してくれるので、原作を読んでいなくてもすんなりこの異常な世界観へと入って行ける。
そんな異常な世界に登場するメンツがなんとも濃い!ある種コント的にデフォルメされたキャラが非現実的な世界とマッチしていて、なんとも不思議なルックに。ミュージカルぽさも感じる。
そんな6人のキャラが話が進むごとにちゃんとそれぞれの個性が浮かび上がって過不足な描かれるのが良かったですね。時間を共にした分だけ観終わった後はもっと観ていたい気持ちにさせられるし軽く物悲しくなる。すこぶる楽しい!
メインの6人に限らず、ヒロインの美美子に吉田鋼太郎演じる帝一の親父、木村了演じる現生徒会長の堂山などのサブキャラもしっかりと存在感があって、キャストはみんなハマってましたね。
特に主演の菅田将暉は活き活きしてましたね!エリートであるクールな一面と、闘志を燃やす熱い一面とのギャップや、叫んだり変顔などリアクション芸・間の取り方なんかも秀逸。ホントに器用で、あれだけのキャラをメーター振り切るくらいマジに演じ切れるのは彼だけですね。
あとこの作品で初めて見た大鷹弾演じる竹内涼真の清々しいほどな好青年ぽさ。体格・顔・声のバランスといい、意外といない役者だなと。鈴木亮平の立ち位置でもっと若くてイケメンにしたような。
美美子を演じた永野芽郁ちゃんは可愛かったな!なんだこの純真さは!つぶらな瞳と落ち着いた声が良いですね。その内声優もやるんじゃないか?って調べたら【キング・オブ・エジプト】のヒロインの吹き替えをやってるみたいですね。可愛いエンドロールも見逃さずに!
良かったところ諸々
学生の頃からスキャンダルを気にして、盗聴の心配がない『糸電話』で会話する帝一と美美子のバカっぽいやり取りとかベタに好きですね。「もう最後の方は糸が弛んで素で話してるやん」って観客のツッコミ込みの演出もさり気ない。
他には、過去の大鷹弾のテストの点数に帝一が挑み、その勝敗の結果を父親と一緒に発表し合う場面も、作品一笑える場面ではあるだけど、子供の夢に父親の協力的な姿にグッと来てしまったり、原作からそうなのかも知れないけど、単にバカやってるだけじゃないってのが魅力だったな。
帝一には総理大臣になって自分の国を作る『ある決定的な理由』が実はあるんだけど、その目標に向けて逆算して、今やるべき事を着実に叶えて行く取り組み方も理に適ってるし、
夢や目標があるだけでこんなにも人はパワフルにれるかと思ったり、今自分が夢中で頑張ってる事の意味を立ち返ったり、頭を使わずに気楽に観れる作品ではあるんだけど、少なからずそれ以上の何かを感じ取れる作品なんじゃないでしょうか。
凝ったスタイリングや、アバンタイトルのドヤ感、『ラストには誰が笑うのか』な締め方もキレが良いし、2時間以内でちょうど良い二転三転するストーリーに、ダレる事なく濃厚にまとめ上げた良質な青春バカ映画だと思いました!
まとめ
評価:★★★★ 結構良かったぜ!
今年はあまり新作の邦画を観てないけど、これはかなり満足度高めでした!原作未読だしそこまでハードルも高くなかったのもあるんだろけど。
というかこの作品に関しては原作を読みたく無いくらい。自分にとっては【逃げ恥】のみくりと平匡はガッキーと星野源であるように、赤場帝一と言えば菅田将暉演じる帝一だし、実写版だけで満足です。
【百円の恋】の時とは違い今回主題歌を担当したクリープハイプの曲は凄くイイ余韻を残してくれて良かったと思います!
終盤で帝一が蚊帳の外な感じが勿体ないなとは思ったけど、「なんだかテイストが受け付けなさそうだな…」なんて食わず嫌いでスルーしようとしてる人にこそオススメです!
[ 予告編 ]
関連&オススメ作品!
ジャッジ!
【ジャッジ!】で惜しかったところが【帝一の國】では払拭され完成を迎えたような気がした。永井監督は『その業界やコミュニティのちょっと狂ったありさま』みたいな題材が合ってるんじゃないかな。
セトウツミ
また違った菅田将暉のコメディセンスが見れる作品はコチラ。好きさで言うと【セトウツミ】を超えたかも。
溺れるナイフ
こっちの菅田将暉主演作はダメダメだったなぁ。