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2017-05-02

最近のスニーカー文庫の異変

角川スニーカー文庫といえば、歴史あるライトノベルレーベルとして、長年多くの読者に親しまれてきたレーベルです。

そのスニーカー文庫に、最近とある異変が起きていることをご存じでしょうか?

それは、マニアックな作品が多く出ているということです。

この傾向はマニア人気が高くアニメ化に伴いラノベ殴り棒としても使われてしまった『終末なにしてますか?忙しいですか?救ってもらっていいですか?』、これまたマニア受けの良いリアル系恋愛小説の『されど僕らの幕は上がる。』、デビュー作がミステリ読者から注目されていた作者によるラノベミステリ愚者のジャンクション』などが刊行された2015年からぽつぽつと出始め、

清野静が長年の沈黙を破り刊行した青春SF『さよなら、サイキック』、電撃文庫の『ミミズクと夜の王』『雨の日のアイリス』のような感動系ファンタジーの『いつかの空、君との魔法』、ガガガ文庫で人気を博した作者の『サークルクラッシャーのあの娘、ぼくが既読スルー決めたらどんな顔するだろう』など2016年からは本格化。

今年に入ってからは、京大ミス研出身作家のコンゲームミステリうさぎ強盗には死んでもらう』、本物川先生の新青春エンタ『おにぎりスタッバー』、新人賞受賞作のダークファンタジー『まるで人だな、ルーシー』、カクヨムから書籍化された下ネタ連想ギャグ時代小説イックーさん』、同じくカクヨム発の百合バイク小説『スーパーカブ』など、本の王国浜松西店のラノベ担当・古山さんが絶賛するようなライトノベルとしてはかなり異色な作品が連発されています。

ガガガ文庫よりガガガ文庫している」とまでいわれています。

何故こんなことになっているのか。

これを調べるべくインターネットに飛んだ調査班は、驚愕の事実を発見する――

・『君の名は。』と『サクラダリセット』で手に入れた幅広い読者層

2016年スニーカー文庫で特筆すべきことといえば、君の名は。ノベライズの大ヒットでしょう。

これまでもスニーカー文庫はファミリー向け劇場アニメノベライズを出していましたが、それはあくまで角川文庫版と同じ内容の、映画をなぞったものでした。

しかし、『君の名は。』の場合は違いました。

本作は映画の登場人物にスポットライトを集めたオリジナルストーリーであり、映画鑑賞者も買ってより楽しめる内容でした。

このこともあり、一時期入手困難になるほどの人気を博しました。

また、2017年には『サクラダリセット』の映画化・アニメ化が展開されました。

これはスニーカー文庫から出たものを角川文庫に移したものですが、従来のキャラノベアニメとは違って、削除されがちだったラノベ版の要素を取り入れているという特徴があり、スニーカー版も絶版にはなっていません。

この2作でライトノベルをあまり読まない層を手に入れたことが、スニーカー文庫で『スーパーカブ』や『さよなら、サイキック』などの一般文芸色の強い作品を出す余地になったのではないでしょうか。

カクヨムとの連携

角川がはてなと共同で立ち上げた小説投稿サイトがカクヨムです。

カクヨムに投稿された作品は、むろん角川系列から書籍化されます。

ほぼ書籍化専用レーベルであるカドカワBOOKSも創設され、カドカワ系列のラノベレーベルが一つ増加しました。

スニーカー文庫もまた、カクヨムから書籍化を頻繁に行っています。

同じ角川書店ラノベレーベルということで、スニーカー文庫カドカワBOOKSは住み分けをせざるを得なくなりました。

カドカワBOOKSで書籍化される作品のほとんどは、いわゆる王道の「なろう系」が多いです。

このことがあって、スニーカー文庫から出るカクヨム作品は『おにぎりスタッバー』『イックーさん』『スーパーカブ』などマニアックなものが多くなっていると考えられます。

しかしなぜ、スニーカー文庫はこんなにもマニアな作品を拾い上げられるようになったのでしょうか?

それは、次に説明する要因が大きく関係しています。

ガガガ文庫の編集者が加入した

2016年の秋より、ガガガ文庫で長年活躍してきた編集者の具志堅(G)氏(江波光則などを担当)がカドカワスニーカー編集部に移籍し、『終末なにしてますか?忙しいですか?救ってもらっていいですか?』『サークルクラッシャーのあの娘、ぼくが既読スルー決めたらどんな顔するだろう』などを担当している模様です。

マニアックな作品の増加は、ガガガ文庫でとがった作品を多くプロデュースしてきた具志堅氏によるところが大きいのかもしれません。

実際、カクヨム系列のマニアック作品は具志堅氏の発掘によるところが大きいようです。

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