映画「コウノトリ大作戦!」を観た。あらすじをひとことで言うと、コウノトリが赤ちゃんを運ぶ話である。
子供向けのアニメ映画だが、不覚にも後半のワンシーンで号泣してしまった。子を持つ親であればきっとわかると思う。
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子供向け映画の製作者は、一緒に観ている親に向けてもメッセージを投げかけてくる。本作ではそれが顕著だった。「この映画を一緒にみているお父さんお母さん、ちゃんと自分のお子さんのことをみていますか?」そんなシーンが続き、ドキッとしてしまう。
そのような後ろめたさを観客に植え付け、後半で解消する構成。なかなかに涙腺を刺激してくる。子供と一緒に観ていたので、簡単に泣くわけにはいかない。涙を見せるとヤイノヤイノと騒ぎ立て、不愉快極まりないからだ。親としての沽券にかかわる。グッと堪え、なんとか回避した。
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しかし、クライマックスのワンシーンはどうしても耐えられなかった。涙を体内に留めておけなかった。それは、はじめて子を持った親が、生まれたばかりの赤ちゃんを見て一度は想像するであろうシーンだ。
子供が成長し、ハイハイし、歩き、遊び、学び、出会い、結婚するまでの半生。これから歩むであろう道のり。楽しいこと、辛いこと、嬉しいこと、悲しいことを経験する子供の未来の姿。
映画では一瞬だったが、生まれたばかりの赤ちゃんをみて脳内で再生したあのシーンが完全に再現されていた。
「これ!これこれ!!これとおんなじ!!」
そう思った瞬間、涙がとめどなく溢れてきた。前で見る子供に気づかれまいと、シャツの袖で涙を拭う。咳払いをして、天井を見上げる。「コウノトリ大作戦!」はこのシーンのために作られた、個人的にはそう思った。
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エンドロールが流れ始めても、「エンドロールの後に何かあるはずだ!見逃すな!」と言って最後まで画面をチェックさせた。その間に涙も乾き、いつもの父に戻った。エンドロールの後は結局何にもなかったが。
「最後に一工夫がないなんてまだまだだな」と捨てぜりふを吐いて、映画鑑賞会は終わった。
そして父は、左乳首のあたりを押しに外に出た。
まとめ
「コウノトリ大作戦」は期待しないで観ると楽しめると思う。できれば子を持つ親に観てほしい。忙しいと思うが、親子で是非!