買い物などの代金を口座から即時に引き落とすデビットカードの利用が広がっている。日銀が1日にまとめた報告書によると、2016年度のデビットカードの決済件数は15年度比38%増の1億756万件と初めて1億件の大台を突破した。決済総額は同15%増の8921億円だった。VisaやJCBといったクレジットカードの国際ブランドと提携して発行する「ブランドデビット」カードの発行増が利用拡大につながっている。
金融機関のキャッシュカードをそのままデビットカードとして使う「Jデビット」と、ブランドデビットの決済実績を合算した。決済件数ではJデビットが16年度に同5%減少したのに対して、ブランドデビットが同45%増加したことで全体の決済件数を押し上げた。
ブランドデビットカードはクレジットカードのサービス導入店舗で使用できる。決済による店舗からの手数料収入を見込んで、国内金融機関が国際ブランドと提携したカードの発行を増やしているもようだ。ブランドデビットカードを発行する銀行数は16年末で28行と15年末(15行)から倍増している。
ただデビットカードでの決済総額は電子マネーの5分の1、クレジットカードの10分の1程度にとどまり、市場規模は依然小さいのが実情だ。デビットカードは利用者の預金口座の残高の範囲内しか利用できないため、「お金を使いすぎずに買い物ができる利点からさらに普及する余地はある」(日銀決済機構局の小早川周司参事役)という。〔日経QUICKニュース(NQN)〕