無知と偏見で韓半島を危機に追い込んだ米国大統領は何人もいるが、中でも在韓米軍の撤収にまで踏み込もうとしたのがカーター大統領だ。ただ幸いなことに当時、米国には優れた識見を持つ軍関係者が数多くいた。中でも在韓米軍のシングローブ参謀総長(当時)は「政策の立案者は古い情報しか持ち合わせていない」として公の席でカーター大統領の方針を批判し「韓半島の事情を知らない」と指摘したのだ。カーター大統領は彼を解任した。しびれを切らした韓国の朴正熙(パク・チョンヒ)大統領(当時)は首脳会談の際、カーター大統領に安全保障の実情について一方的に講義を行った。カーター大統領は隣にいた国務長官に「この人間が2分以内に黙らなければ、この部屋から出て行く」というメモを渡したが、それでも朴正熙元大統領の講義は30分にわたり延々と続いたそうだ。
世界を相手にしている米国大統領が、韓半島と韓国についてよく知らないというケースはこのように非常に多かった。もちろんこれを米国大統領自身のせいにすることはできない。韓国ついて学んだこともないだろうし、教えた人間もいなかっただろう。6・25当時、韓国にやってきた米軍関係者たちは「人糞のにおいしかしないこんな場所をなぜ守らねばならないのか」と互いに語り合ったそうだ。このような現状では守ってほしい側が説得するしかないだろうし、それができなければ米国大統領の無知は偏見に変わり、それによって利益を得ようとする勢力が動き出してくる。旧韓末当時、その空白に日本が入り込んできた。では今のトランプ大統領の韓半島に関する知識のレベルはどの程度なのだろうか。彼を責める前に、我々は自分たち自身を振り返らねばならない。たとえば外交官の資質はどうか、あるいは米国における親韓的な識者の質や数はどうなっているかなど、考えるべきことはいくらでもある。しかし中でも最も重要なことが新しい大統領の力量であることは言うまでもない。