買い物などで使ったお金が口座からすぐに引き落とされるデビットカードの利用動向が1日、まとまった。日銀が公表した初の動向調査によると、2016年度の決済件数は1億756万件と、14年度に比べて1.9倍に増えた。クレジットカード加盟店で利用できるデビットカードが増えている。決済総額は約8900億円で、4年連続で前年を上回った。
銀行がJCBやVISA、銀聯のクレジットカード決済システムを利用する「ブランドデビット」を相次ぎ発行し、決済件数が増えている。クレジットカードの加盟店ならどこでも使えるため、利用しやすい。海外の店舗やネット通販にも対応している。
ブランドデビットを発行する銀行数は17年3月末時点で31行と15年末の15行から倍増した。決済金額・件数とも比較可能な10年度以降増え続けている。
キャッシュカードに付帯するサービスである「Jデビット」は決済金額・件数とも5年連続で前年より減った。専用端末を置く加盟店が増えていない。16年度の決済件数ではJデビットが前年度比5%減ったのに対し、ブランドデビットが同45%増え全体の決済件数を押し上げた。
他のカード決済手段と比較するとデビットカードの市場規模はなお小さい。16年度のカード決済金額のうちクレジットカードが占める割合は89%、拡大が続く電子マネーは9%だ。デビットカードは2%程度にとどまる。
日銀はデビットカードの利用増加について、預金口座の残高内でしか利用できないため「口座をリアルタイムで管理したい層にニーズがある」(決済機構局)と見る。米国でも金融危機の前後に同じ理由でデビットカードの利用が増えたという。
小売店のレジでデビットカードを使って現金を引き出せる「キャッシュアウト」が来年から国内でも始まる予定だ。デビットカードの普及につながる可能性がある。