街を走る交通手段も、旅の楽しみの一つでもあります。
大都市に行ったらまず必ずと言っていいくらい、地下鉄が走っています。
この地下鉄が、各都市によってけっこう個性があり、観察していると面白い。
世界の地下鉄の中でも、路線がややこしいのはニューヨーク、ロンドン、パリ、東京と言われています。
単純キロ数だけなら、東京は中国の上海はおろか、韓国のソウルより営業キロが短いのは意外かもしれません。あんなに路線があちこちにあるのに。
東京(東京メトロ+東京都営):304.1km
ソウル地下鉄(3社合わせて):313.9km
上海:330.0km
参考
ニューヨーク:374.0km
ロンドン:408.0km(世界最長)
パリ:201.8km
(日本地下鉄協会のHPより)
しかし、「ややこしさ」にかけてはおそらく東京は世界一。
何故かと言えば、ほとんどの路線でJRや私鉄との相互乗り入れを行っているから。
地下鉄と私鉄や国鉄の相互乗り入れって、海外にもあります。しかし、あっても「地下鉄+1社(路線)」だけ。
東京みたいに二つ以上の鉄道会社が複雑に相互乗り入れしているという話は、少なくても聞いたことがありません。埼玉県からなにげに電車に乗ってつい寝入ってしまい、気づいたら横浜市に着いていた・・・外国人どころか、大阪人でもなんでやねん!と思いますもん(笑
相互乗り入れを含めたネットワーク全体だと、東京が間違いなく世界一と言えるでしょう。
これは各私鉄のターミナル駅の許容量が飽和状態になり、乗り入れでもしないとパンクするって事情もあるのですが、乗り換えなしでいろんなとこへ行けるのは便利だし、東京を始めとする関東圏の鉄道網の個性と言えます。
まあ、便利すぎてうかうか寝ていると、どこに連れて行かれるかわからない不安もありますけどね(笑
個人的に、海外旅行に行く時はその都市の地下鉄に必ず乗ることにしています。
街の個性がいちばん現れるのは公共交通機関、それも大量輸送機関である地下鉄だと、客のマナー(国民性)なども観察できます。
その数ある世界の地下鉄の中でも、かなり強烈な個性があったのはロシアのモスクワの地下鉄でした。
営業キロ数は292.2kmと、東京より少し短いですね。路線図だけ見ると東京より長そうだったので、自分で調べてみて予想外でした。
ソ連時代に作られたこの地下鉄、なんか神秘のベールで包まれてウワサでしか聞いたことがない人もいると思いますが、モスクワの地下鉄の特徴は主に4つあります。
モスクワの地下鉄の特徴
1.とにかくホームまでが深い!!
モスクワの地下鉄、入り口からホームまでとにかく深い。
生半可な深さではありません。もう鬼畜、ルナティックです(笑
日本の常識では考えられない深さで、とてつもなく速いエスカレーターで下りても、深い駅だと4~5分乗りっぱなし。おまけにエレベーターもなし。バリアフリー何それおいしいの?
このエスカレーターの速さもすさまじく、日本のエスカレーターを早送りにしたくらいの速さです。これ、オーバーに言っているわけじゃありません。
改札からエスカレーターを下に見ても、もう先が全然見えないくらい深くて、
「一体このエスカレーターに終点はあるのだろうか?」
と不安になるほど。
『蒲田行進曲』のように、エスカレーターをそのまま転げ落ちて行ったら、一体どうなるんやろ?
もちろん深く掘ったら金がかかるのですが、なんでこんなに深く掘ったのか。
それにはちゃんと理由があります。
モスクワの地下鉄駅はいざという時の核シェルターも兼ねていて、いざ核戦争という時にそこに逃げ込める、という算段と言われています。
事実、中心部の駅にはもう使われることないと思う、これまたとんでもない厚さの鉄の扉がありました。
結局一回も使われることなく、私が行った時はすっかり錆び付いていましたが、これを見た瞬間、やっぱり核シェルターなんやなーと感じました。
実際にホームが深い場所にあるのは街の中心部の駅だけで、郊外の駅はそれほどでもなかったのですが、とんでもない速さのエスカレーターに乗りながら、
「ホームにいつ着くんやろ?そもそもこの先はホームなんやろか?」
と途方にくれるのも、モスクワ観光の醍醐味の一つかもしれません。
2.駅が美術館のようにきれい!!
当時のソ連の威信をかけて作られたモスクワの地下鉄。
これも町の中心部だけですが、駅のホームはもちろん、ホームに向かうエスカレーターの左右にもとにかく彫刻とか絵画とかが並んでいます。
ヘタな美術館よりすごいかもしれません。
「ここは宮殿か!?」
と勘違いするくらい大理石満載の駅やら、やたら細部まで細かい彫刻で埋め尽くされた駅やら、照明が全部シャンデリアの駅やら、見てて飽きさせません。
既にボロボロになった電車と全く逆で、それが余計に印象に残っています。
写真より、現物の方がはるかにきれいです。
その中でも、海外のサイトで「世界一美しい地下鉄駅」に選ばれたのが、
キエフスカヤ駅です。
この駅は、実際に見てみると言葉が出ないくらいきれいなのです。本当に駅が美術館になっているような、息を呑むような美しさと、絵と彫刻の細やかさです。
でも、ここの駅から他路線への乗り換えも、言葉が出ないほどややこしかったですが(笑
駅によって懲り方が違うので、駅のホームを巡ってみるのもモスクワ観光の一つ。鉄道ファンでなくても一見の価値ありです。
(あくまで個人的感想です)
3.英語表記が全然ない!!
ロシアの公用語はロシア語。これは誰でも知っていること。
ロシア語は、普段我々が接するアルファベット(ラテンアルファベット言います)とはちょっと違った、キリールアルファベット(キリール文字)を使っています。
Nが逆になったиとか、”p”なのに読み方はアールなрとか、風のウワサで聞いたことがあるかもしれません。
日常生活ではまずお目にかかることはないやろうこのキリール文字、ロシアに行くと満開に咲き誇っています。
モスクワの地下鉄の困ったことは、英語表記が一切ないのです。
地下鉄の出口案内です。
いちばん上のロシア語は、直訳すると「街への出口」(発音は「ヴィーハトゥ フ ゴーラド」)となるのですが、ホントにロシア語だけでしょ?
これくらいのロシア語はわかります。わかるようになりました。わからざるを得ません。
これくらいわからないと地下鉄に乗ったら最後、死ぬまで駅構内をさまようことになります(笑
しかし大丈夫!
モスクワに行ったらこれくらいのロシア語は、覚えたくなくても覚えるようになります、ホンマに。
乗り換え案内もこの調子なので、どっちの地下鉄に乗っていいのか、ロシア語、というかキリールアルファベットの読み方を覚えておかないと、全然わかりません。
モスクワの地下鉄には、市内中心部をぐるりと回る、山手線とか大阪環状線みたいな環状線があるのですが、キリール文字が読めずに逆の方向に乗ったらさあ大変。
隣の駅なら一駅で済むのに、何十駅も遠回りすることになる(笑
最近、日本の地下鉄も英語はもちろんハングルとか中国語表記が目立ってきましたが、モスクワに関してはナショナリズム丸出し。
「地下鉄に乗りたければロシア語くらい覚えておけ」
と超上から目線。
ロシアも最近は英語がかなり通用するようになったそうなのですが、地下鉄は今もこの調子だそうなので、ロシアに行く時はキリール文字くらいは覚えておいた方がいいです。マジです。
しかし、キリール文字は奇妙な形に見えても、所詮アルファベットなことはアルファベット。覚えるのは意外に簡単です。
4.ギロチンドア
まずは、黙ってこの動画をご覧下さい。
題名は「ギロチンドア」。またの名を「爆弾ドア」。
挟まったら骨折しそうな威力ですが、これに勝るギロチンが見れるのが、モスクワの地下鉄なのです。
百聞は一見に如かず。これをご覧下さい。
これ、リアルで体験したらその「ギロチン」ぶりは相当なもの。正直めちゃ怖い。
私が経験した「ギロチンドア」はこんな次元じゃなかったはずですが、どうやら車両によってかなり違いがあるようです。
この動画のお題が
brutal door Moscow Underground train stasion
”brutal"とは「残虐な」「荒々しい」という意味なので、動画のうP主風に表現すると、
「残虐ドア」
といったところでしょうか。
しかし、「ギロチンドア」「爆弾ドア」の方がインパクトが強いし、なんだか笑えるネーミングという意味ではピッタリ。
このギロチンドア、駆け込み乗車防止には良いかもしれません。
こんなドアに駆け込める勇者は、あまりいないでしょうから(笑
こんなん読んでると、乗りたくなってきた?
え?乗りたくもないって?まあそんなこと言わないで、一回体験してみて下さい。
この上の4つを体験するだけでも、ロシアに行く価値あると思いまっせ~。
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