佐川急便を傘下に持つSGホールディングスは1日、2017年3月期の連結決算の発表会見で、宅配便の基本運賃について引き上げは検討していないことを明らかにした。先週、ヤマト運輸は運賃引き上げを表明。人手不足や荷物量の増加に悩む構図は同じだが、佐川は様子見を選んだ形。ただ、一般消費者向けではなく大口取引については「交渉を継続する」(中島俊一取締役)とし、値上げの方針だ。
17年3月期の連結決算は、純利益が前の期比16%減の284億円だった。前の期は不動産事業で物流施設の売却益が押し上げたが、前期は売却件数が少なかった。宅配便の取扱数は12億1821万個で同1.7%増えた。
売上高は9303億円で同1.4%減少した。このうち宅配便が含まれるデリバリー事業は同2%増の7381億円だった。宅配便の平均単価は511円で同2円上昇した。18年3月期は大口顧客との値上げ交渉を進め、7円高い518円に上げることを目指す。
トラック運転手らの人手不足を受けて19年3月期を最終年度とする中期経営計画を見直した。従来は連結営業利益の目標を620億円としていたが、565億円に下方修正した。インターネット通販の荷物の増加に伴う配送の外部委託費や人件費が膨らむとみる。
検討しているとされる新規株式公開(IPO)に関して中島氏は「資金調達はあらゆる可能性を検討しているが、決めていることはない」と述べるにとどめた。 (村松洋兵)