深層学習でアルツハイマー病の発症を81%の精度で予測
韓国の研究者ふたりが深層学習で、軽度認知症からアルツハイマー病に進行する人を、81%の精度で予測できると発表した。アルツハイマー病は初期状態なら進行を遅くでき、医療費を抑制することにもつながる。 by Emerging Technology from the arXiv2017.05.01
進行性の神経変性疾患である「アルツハイマー病」は、現代社会に多く広がる病気だ。2015年には全世界で約3000万人がアルツハイマー病だと考えられている。アルツハイマー病の処置には非常に高額な費用がかかるため、世界中の医療制度の大きな負担になっている。
アルツハイマー病の進行を止める方法はわからないが、進行を遅くしたり、初期の状態に止めたりできる方法は証明されている。したがって、病気を発症する可能性が高い人を特定する信頼性の高い方法の発見は、医学の重要な目標だ。
4月28日、天安公衆衛生センター(韓国)のチョイ・ホンユン研究員とKAIST(韓国科学技術院)のジン・キョンワン研究員が、まさにその手法を深層学習で開発した、と発表した。ふたりによれば、検査により今後3年間にアルツハイマー病を発症する可能性の高い人を正確に識別できるという。
加齢により、認知機能の低下は避けられない。私たちは物忘れしやすくなり、頻繁に思考の脈絡を見失ったり、決断や仕事の遂行がだんだん困難になったりする。ほとんどの人は、年を取れば医師が「軽度認知障害」と呼ぶ状態になる。
軽度認知障害の何割かは、より深刻なアルツハイマー病に進行する。アルツハイマー病を発症すれば、語彙を失い、間違った言葉の置き換えが頻発するようになる。アルツハイマー病患者は近親者が識別できなくなり、基礎的な自己管理能力を失い、最後には完全に介護者に依存し、ほとんどの人は診断後数年以内に亡くなる。
だが奇妙なことに、軽度認知障害になったすべての人がこの道筋をたどるわけではない。一部の人は症状が悪化せ …