兵庫県三木市吉川町稲田の吉川運輸グループがウナギの養殖に乗り出し、完成した近くの養殖場で30日、オープニングセレモニーが行われた。新たな特産品と雇用を生み出し、地元活性化を狙うユニークな試みで、関係者約100人が出席し新事業の成功を祈った。(井川朋宏)
トラック運送、バス、タクシー事業などを展開する同グループの武田篤美会長(70)が、成長分野としてウナギの養殖に着目。本社近くの浄水場跡地を活用しようと、3年前から土地取得や情報収集など準備を進め、グループ内に「関西養鰻部」を立ち上げた。
養殖場は鉄骨平屋の約330平方メートルで、水槽(直径約4・3メートル、水量約20トン)3基を設置。養殖施設の設計などを手掛けるジャパンマリンポニックス(岡山市)が開発した養殖システムを関西で初めて導入。サンゴの砂やバクテリアなどを生かし、3種類の装置を経由して水を浄化し循環させる仕組みで、屋内での養殖を実現する。
ウナギは、東南アジア産の「ビカーラ種」を仕入れる。10~20グラムの個体を最短半年で約200グラムの成魚に育てるといい、年間最大4万5千匹の出荷を目指す。
式典で、武田会長は「思い立ったが吉日-が私の経営姿勢。これまでと百八十度違うことをやるが、スタッフ一同で頑張っていく」とあいさつ。僧侶による祈願の後、武田会長や長男の武田弘志社長らが式典用のウナギを水槽に放つと、拍手が起こった。