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大臣室=喫煙は可なり 人事院指針に逆行

中央省庁などの大臣執務室の喫煙の可否と建物内喫煙所数

閣僚執務室23カ所のうち10カ所は、大臣判断で喫煙可能に

 政府が2020年東京五輪・パラリンピックに向けた受動喫煙対策を進める中、毎日新聞が各省庁の庁舎内の対策を調べたところ、閣僚の執務室23カ所のうち10カ所は、大臣の判断で喫煙できるとする運用になっていた。人事院の指針は可能な限り庁舎内の全面禁煙を求めているが、「大臣ら特別職は対象外」との解釈で政務三役には対応を甘くしている実態が浮かぶ。【まとめ・山田泰蔵】

 安倍内閣の閣僚20人の執務室は、首相官邸を含む14の建物に23カ所ある。各省庁に聞いたところ、内閣府内の6担当相(7室)、財務相、経済産業相、国家公安委員長の執務室は、喫煙可か禁煙かを大臣が判断できるとの回答だった。副大臣、政務官の執務室も同様の扱いだった。実際に大臣が室内でたばこを吸っているかどうかはいずれの省庁も明らかにしなかった。

 それ以外の省庁の大臣執務室は、他の部屋と同様に禁煙としていた。国土交通省は「政務三役の1人に喫煙習慣があるが、共用の喫煙スペースで吸っている」(福利厚生課)。外務省は13年秋に執務室横に喫煙所を設けたが、今は使っていないという。

政務三役は特別扱い

 中央省庁の対策の基礎になっているのは、03年の健康増進法改正で公共の場での受動喫煙対策が明記されたのを受けて人事院が同年に策定した「職場における喫煙対策に関する指針」。基本的考え方には「庁舎内では、少なくとも空間分煙は確保されるよう具体策を講じ、可能な範囲で全面禁煙の方向で改善に努める」とある。

 だが、人事院は一般職国家公務員の人事管理を担当するとの位置付けなため、指針も政務三役を想定していない。「大臣執務室を禁煙にしなくても指針には反しない」というのが人事院の解釈だ。

 ただし、厚生労働省が今国会で成立を目指している健康増進法改正案は、官公庁は執務室も含め屋内全面禁煙で、喫煙所も屋外しか認めていない。これを現状でクリアしている省庁は同じ建物に入る厚労、環境両省だけで、法改正されれば早急な対策が求められる。日本禁煙学会の作田学理事長は「政務三役は省庁内で上司として率先して受動喫煙防止に取り組む必要があり、執務室を喫煙可にするなどもっての外だ。本人だけの問題ではなく、出入りする職員らが受動喫煙の被害にさらされる。たばこのない五輪を目指す姿勢を政府全体で示すべきだ」と指摘する。

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