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青函フェリー利用増、うれしい誤算 新幹線で函館人気

2017/5/1 0:25
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 北海道新幹線が開業した昨年3月以降、青森県と北海道函館市を結ぶフェリーの利用客が増加している。開業効果で函館が観光客の人気を集める中、料金の安さと津軽海峡の眺望が再評価されているためだ。新幹線に客を奪われると懸念していた運航会社にとっては、うれしい誤算。今後も新幹線との共存共栄を図ろうとしている。

 今年3月下旬、青森港(青森市)のフェリー乗り場では、未明にもかかわらず20人ほどが午前2時40分発の函館行きの乗船を待っていた。「海鮮も夜景も楽しみ」と笑顔で話したのは青森県弘前市の会社員、伊藤博昭さん(49)。家族5人で旅行するため、安価なフェリーを選んだ。

 青森港―函館港の航路は「津軽海峡フェリー」と「青函フェリー」の2系統があり、それぞれ1日8往復。新幹線に在来線を乗り継いで青森駅から函館駅まで行くと大人1人で片道7690円かかるのに対し、フェリーなら最も安いクラスは1600~3190円(シーズン別)で済む。

 青森―函館のフェリーは近年、客足の低迷が続いていた。国土交通省北海道運輸局によると、1988年に青函トンネルが開通し、青森と北海道が在来線で結ばれたのが要因。91年度には92万5千人だったのが、2015年度は55万8千人まで落ち込んだ。

 ところが2016年度は57万6千人に回復した。新幹線開業に伴い、函館への観光客は16年度上期だけで45万4千人増加。青函トンネルの在来線廃止でフェリーと鉄道の価格差が広がり、移動手段として「若い客を中心に船が見直されている」(津軽海峡フェリーの松田光伸生青森支店長)。

 同社は全船に上級の客室や座席を設置。貨物や車両輸送がメインで乗り心地は二の次というイメージを変えたのも、効果を上げているという。

 新幹線とフェリーを組み合わせた周遊観光も好調だ。函館とは青森港だけでなく、青森県大間町と結ぶ便もある。本州から新幹線で函館へ行き、帰りはフェリーを利用。本州最北端の地で「大間マグロ」を堪能するルートが人気だ。この航路の16年度の乗客数も、前年度から13%増加した。

 新幹線開業効果が薄れる本年度は、客数を維持できるかの正念場だ。松田さんは「新幹線もフェリーも互いに良さがある。競うのではなく、共に青函地域の観光を盛り上げたい」と話している。〔共同〕

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