(柳本 操 = フリーライター)
しつもんの効果を左右する「しつもんマインド」
前回は、しつもんがビジネスにおける新たな発想を促す突破口となること、また、しつもんといってもいろいろな種類があることをお伝えしました(相手のためになる良質な質問を、ほかの質問と区別するため、ひらがなで「しつもん」と表記しています)。
今回は、しつもんをビジネスの現場に取り入れる前に、必ず知っておいていただきたい「しつもんマインド」について話します。しつもんマインドとは、「しつもんする側が備えておくべき心構えやスタンス」のことです。
実は、しつもんの文言をマニュアルのように暗記するだけでは、しつもんが効果を発揮することはありません。同じ文言でも、どんなマインドを持った人がその言葉を発するかで、相手に与える効果はまったく異なるのです。
大事なのは「何を言うか」ではなく「どんなマインドで言うか」
例えば、上司が部下に「いま、できることがあるとしたら何?」というしつもんを投げかけたとします。新たな課題に取り組もうとしている部下の「最初の一歩」を見つけてあげたいというマインドを持つ上司が使えば、とても効果を発揮するはずです。
ところが、暇そうに見える部下に向かって、同じ文言を嫌みを込めて言うこともできます。前回の「質問の分類」で見ると、こちらは「しつもん」ではなく「尋問」になってしまいます。
しつもんで大切なのは、「何を言うか」よりも、「どのようなマインドでしつもんを発するか」ということなのです。同じアドバイスでも、自分が尊敬している人から言われると、より聞く耳を持ちますよね。それと同じです。
しつもんの力を最大限に活かすには、自分自身の人間性や「相手のため」という心のスタンス、つまり「しつもんマインド」を鍛えることが重要です。
しつもんの良さを最大限に活かすために身につけるべき「しつもんマインド」は7つあります。少し遠回りのようですが、しつもんの上達だけでなく、これから先、何が起こるか予測できない時代を生き抜くためのビジネスセンスを鍛えるうえで欠かせないものです。少しずつでかまいませんので、日常の中で意識してみてください。
では、1つずつ解説していきましょう。