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 分子でできた世界最小の車による初の国際レース「ナノカーレース」が4月28、29両日、仏トゥールーズであった。日本の物質・材料研究機構のチームは、車を制御するコンピューターの不具合で途中棄権に終わった。優勝は米国とオーストリアの合同チームとスイスチームの2チーム。3位が別の米国チーム、4位が独チームで、仏チームも途中棄権した。

 同機構によると、車は全長数ナノメートル(ナノは10億分の1)で、特殊な針で電気刺激を与えて、金の板上の100ナノメートル(1万分の1ミリ)を走らせるのを、6チームが競った。日本チームはレース開始約15分後に、主催者側が用意したコンピューターソフトの不具合で車や針が壊れたが、懸命な復旧作業に「フェアプレー賞」を受けた。

 米・オーストリア合同チームが最初に走破したが、銀の板上だったため、金の板上を走った中で唯一完走したスイスチームとともに1位となった。

 日本チームのリーダーで、同機構の中西和嘉(わか)主任研究員(39)は「リタイアするまで、10分間に1ナノメートル移動という記録を残せた。各国の仲間とかえがたい経験ができた」とコメントした。(三嶋伸一)