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しいたげられたしいたけ

人権を守るには人権を守るしかない。人権以外の何かを守ることによって人権を守ろうとする試みは経験的に全て失敗している

ダブルミーニングについて

先日の夜中たわし(id:tawashix)さんのエントリーに投入した、自分のブックマークコメントがきっかけで、ちょっと書いてみたくなった。

『妻が椎茸だったころ』を読んだ嫁、謎の大号泣 - 夜中に前へ

確かにしいたけは私だ(ダブルミーニング

2017/04/28 21:09

b.hatena.ne.jp

これはいわゆる「うなぎ文」というやつで、いろんな人が考察している。私など足元にも及ばぬ言葉の収集家である井上ひさしが、日本語を扱ったエッセイのどれかで、次のようなことを書いていたはずだ。うどん屋で女性グループが、「私、たぬき」「私はきつねよ」「じゃ、私はおかめだわ」と口々に言うを聞いて笑いをこらえていたところへ、親子連れが入ってきて「親子」と言うに及んで、ついに耐え切れず吹き出したのこと。リベラルだったはずの井上は、女性に対してはPC的にどうかと思う発言が案外多かった。時代の制約からは誰も逃れることはできないということか…と語ることによって、何がおかしかったのかはお察しください。

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ところが実は、英語を勉強していて気づいたのだが、ダブルミーニングに対する英語国民の関心は、日本人の及びもつかぬところろがあるようだ。

弊ブログに以前に一度、こんなネタを書いた。

チョコレート工場の秘密 - Charlie and the ChocolateFactory【講談社英語文庫】

チョコレート工場の秘密 - Charlie and the ChocolateFactory【講談社英語文庫】

 

 ウォンカ社長のチョコレート工場には、"Square Candies That Looks Round" があるという。上掲書 P130 の挿絵によると、こんなやつらである。

f:id:watto:20170430201151j:plain

「四角いけど丸くないじゃないか」と思われることであろう。『チョコレート工場の秘密』の主人公チャーリーたちも、そう思ったのであった。するとウォンカ社長はポケットからカギを取り出し、キャンディたちのいる部屋の鍵を開いた。

果たしてキャンディたちは、誰が来たのかと思って “looked quickly round ” すなわち「すばやく見回した」のであった。“look round” が「丸く見える」とも「見回す」とも解釈できるというダブルミーニングである。

英語の原文はこちら。

"Oh, do shut up," said Mr.Wonka. "Now watch this!" He took a key from his pocket, and unlocked the door and flung it open...and suddenly...at the sound of the door opening, all the rows and rows of little square candies looked quickly round to see who was coming in. The tiny faces actually turned toward the door and stared at Mr.Wonka.
"There you are!" he cried triumphantly. "They're looking round! There's no argument about it! They are square candies that look round!"

(上掲書 P131~132)

「こんなもん食えるか?」という突っ込みは、さておく。日本にだってアンパンマンやだんご三兄弟がいるではないか。

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かつて、下手の横好きの一つでちっとも上達しない英語を勉強しつつ、この手のダブルミーニングを収集したことがあった。検索したら、恥ずかしながら2ちゃんねる英語板に立てたスレッドが出てきた! 今はログインしなくても読めるようになっているのだ。

ダブルミーニングdouble meaning

なんと14年も前のスレだよ。懐かしくて、いろいろと読みふけってしまった。

>>1 はこれ。

One hundred feet up in the air,
he was lying on his back. (彼は仰向けに寝ていた)
Who is he?(彼は誰?)

英語では有名な riddle (なぞなぞ)らしく、検索するとさまざまな表現が出てくる。私は Paul Sloane 氏主催の “Lateral thinking puzzles” サイトと Sterling 社から出ている書籍版経由で知った(つまり「ウミガメのスープ」の元ネタ)。

答えは「ムカデ(a centipede)」で、一行目の “One hundred feet up in the air” 「100本の脚を空に向けて」が「地上100フィートの空の上」とも解釈できるところがキモである。

「百足〔ムカデ〕」のことを英語でも「百本脚(cent = 百、pede = 足)」ということが、さらに興味をそそる。

これ、てっきりすでに弊ブログのネタに使ったものだと思っていたが、検索しても出てこなかったので、ならばとエントリーを起こす気になった。

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 >>3 も Sterling 社のどれかで読んで見事だと思った記憶が残っている。ただしいっぱい出ているシリーズのどれだったかまでは特定できない。

場所はカジノを想像するといいと思う。

Four men sat down to play. (4人の男が play した)
They played all night till break of day. (彼らは朝まで play した)
They played for gold and not for fun, (それはもっぱら金のため)
With separate scores for everyone. (score はみんな別々だ)
When they came to square accounts (いよいよ精算したところ)
They all made quite fair amounts. (彼らは全員儲けてた)
Can you this paradox explain? (誰も損せず儲かった)
If no noe lost,how could all gain?(なぜか説明できるかな?)

※square accounts = 精算する

 答えはフォントを白にして書きます。選択して反転させてください。「彼らは music band だった」。 “play” に「プレイする(遊ぶ)」と「演奏する」、“score” に「得点」と「楽譜」という意味があることがキモだ。

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日本語だけど、ちょっと懐かしかったのが>>21

「コロンビア、左翼に異変。シャトル運行は当面見合わせ」という新聞見出しを見 「またゲリラが暴れているのか?船便がなければ帰国できないじゃないか!」とつぶやく南米人、というのを英語にしようと思ったが、漏れの英語力では不可能だった。

14年前はまだスペースシャトルが現役運行されていて、コロンビア号と南米コロンビア共和国をかけたものである。シャトルにはもちろん定期便という意味がある。あの頃は、まさか後に NASA がスペースシャトルを放棄するとは予想だにしなかった。なおコロンビアでは昨年2016年に政府と左翼ゲリラの間に和平合意が成立し、数々の困難に直面しながらも内戦終結への途が模索されている。

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キリがないけど、あと一つ、これだけ。>>78

The boxer Joe left the ring after winning the world championship.

(ボクサーのジョーは、世界チャンピオンになってリングを後にした)
His trainer Danpei took all the money and Joe never got a cent.

(トレーナーのダンペイは賞金を全額受け取り、ジョーは一円も手にしなかった)
Why not?

(なぜ?)

Joe と Danpei という固有名詞は、私が勝手に付け加えた。答は易しいと思うけど “Joe was a dog and won a championship at a dog show.”(ジョーはボクサー犬で品評会の世界チャンピオンになった)。なおこの問題は、「でもジョーはトレーナーで飼い主のダンペイと仲良しなのさ」という蛇足を付け加えて、『推理クイズ道場 ウミガメのスープ』にパクらせてもらった(いいのか?

追記:

すみません、確認したら書籍には収録してなかったようです。2ちゃんねるのウミガメスレで出題しただけのようです。失礼しました。

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そんなこんなで、あれから十四年、そこそこ英語の勉強は続けているつもりなのに、いまだにろくに読めもしゃべれもしないのは、なぜだ?(泣

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