定時退社は強制連行
こんばんは。ウェールズ歴史研究家、たなかあきらです。
毎週、水曜日は定時退社日である。
18時になると、帰宅を促す社内放送が流れる。
職場によっては見回りを行い、強制的に帰宅をさせられる。
会社によるかもしれないが、世の中大きく変わったものである。
ブラック企業
昔は、ブラック企業で働いているかのように、毎日夜遅くまで残業をした。
夜10時、11時まで働き、土日も最低片方は働いていた。
皆、当然のように残業をして、定時で帰ることが何か悪いことをしているようで、肩のが狭い思いをして、こそこそと帰ったものだ。
人より遅くまで残業をすることが、頑張って仕事をやっているなあと思われ、それがモチベーションになったり自分の中で美徳になったりしていた。
「定時退社」は、職場にとっては非常識でな非従業員的な言葉で、「遅くまで残業」が常識的な従業員の鏡であった気がする。
逆ブラック化??
時代は大きく変わった。
土日、祝日に働くことはなくなった。
日本の祝日が随分と増えた。
10時以降の深夜残業は禁止となった。
有給休暇の取得、定時退社を奨励されるようになった。
働き方が、2000年以降、とくに2010年以降大きく変わってきた。
ブラック企業に近い職場であったが、今では逆に強制的に家に帰らされるようになってきた。
仕事と生活の調和、いわゆるワーク・ライフ・バランスを政府が推し進めている
ことも変化の大きな理由であると思う。
仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章 | ワーク・ライフ・バランス| 内閣府男女共同参画局
仕事以外に力を入れる人は生活しやすくなったのか?
仕事に燃える人には仕事しにくくなったのか?
または、逆なのか?
職種や個人によって変わるかもしれないが、働く環境の選択肢は増えたのかな、と思う。
中世に定時退社??
「定時退社」をはるか昔の人に当てはめるとどうなるだろうか?
ここは、中世ののウェールズ。戦いに向かう軍隊がいた。
ここで働く人々は戦士であり、職場は戦場である。
戦士たちに「定時退社」はあるだろうか?
「夜の6時になったっすよ。一応定時っす。どうしましょうか?」
「今、一進一退の激しい攻防戦の最中だ。定時退社は難しいぞ」
「でも、腹減らないっすか? 朝から戦いっぱなしっすよ」
「オッ、危ない! 敵の矢だ!」
「話してばかりいないで、戦いに集中しろ! 定時退社どころか、永久にこの世から退社してしまうぞ」
「そうっすね。もうひと暴れして、早く終わらせちゃいましょう」
戦いの中にあっては、定時退社はない。個人的なフレックスタイムも存在しない。決して許されない行為である。
戦士たちは休むことができない、過酷な労働条件である。命の危機を除くと、今で言う超ブラック企業で働いているようなものだ。
「今から密集陣形を取るぞ!」
「全員集合して、盾を敵に向け攻撃を防ぎ、隙をみて槍で突進だ!」
「隊長。俺、フレックスタイムを使ってもいいですか?」
「チョット野暮用でして、えへへ」
「アホか。永久のフレックスタイムになりたいのか?」
戦い中に、個人個人が定時退社やフレックスタイムをやってしまったら、軍隊は総崩れだろう。それどころか、軍から離脱することは敵に見つかり攻撃されやすくなってしまう。
ところがだ。こんな話はあるかも知れない。
「隊長、優勢なはずの敵軍が一気に退却します」
「何、おかしいな。罠かもしれぬ。一旦我らも軍を引こう」
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「ははは、上手く「定時退社」できたっすね」
「合図と同時に、全軍一気に撤退だ。戦場での定時退社はこの手しかなかろう」
「敵もさぞかし驚いたでしょうね」
定時退軍?
実際に定時退社らしき事をやった例もあったのだ。7世紀のウェールズである。
当時の王は、農民王と呼ばれたカドファエルという人物だ。
カドファエルはマーシアと呼ばれる国と同盟を結び、イギリスの北部にあるベルナシアという国を攻め入った。
同盟軍とベルナシアがさあ、決戦を行おうというまさにその日、カドファエル率いるウェールズ軍は忽然と姿を消してしまった。
「いやあ、戦いが長引き過ぎだよ。これから決戦だけれど、ワシら国に帰らせてもらうよ」
カドファエルは農民王であった。
つまり、農作物を刈り取らねばならない時期であった。
「もうタイムアップだ。じゃ、お先に。お疲れ様」
農作物の収穫時期が来たので軍を退し、ウェールズに帰ってしまった。
「定時退社」のように、あえて言うなら「定期退軍」。
ウェールズ軍が帰ってしまったので、残された同盟軍は戦力が弱まり、敗北してしまった。
この時代、戦場において、「定時退社」は禁物のようだ。
非常識の行動であったに違いない。
ちょっと前の昔まで、定時退社すると周りから、「あいつ仕事やってるのか?」と白い目で見られたのと同じように、カドファエルも、多くの人から「戦争を台無しにした臆病者」と後世に及ぶまで、非難された。
「定時退社」も時代によって、状況によって、慎重に考えなければならない。
最後に
今の時代は、会社をあげて定時退社を推し進めている。
半ば強制的に定時退社を敢行する僕の職場では、その強制力に身を任せて、
堂々と足早に「定時退社」して、ブログ活動に精を出したいものである。
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最後まで読んでくださり有難うございました。