ゲノム編集 ヒト受精卵に使う研究認めるか考えるシンポジウム

ゲノム編集 ヒト受精卵に使う研究認めるか考えるシンポジウム
k10010967111_201704301809_201704301825.mp4
生命の設計図にあたる遺伝情報を自在に書き換える「ゲノム編集」と呼ばれる技術を、ヒトの受精卵に使う研究を認めるべきかを考えるシンポジウムが開かれました。
このシンポジウムは、世界中で急速に研究が進んでいる「ゲノム編集」の技術を使ってヒトの受精卵の遺伝情報を操作する研究を認めるべきか、広く考えてもらおうと、日本学術会議が開きました。

シンポジウムでは国立成育医療研究センターの阿久津英憲部長がゲノム編集について、ヒトの遺伝病の治療や遺伝子の働きの解明につながる可能性がある画期的な技術である一方で、全身の細胞に影響を与え、次の世代にも受け継がれるため、倫理的な問題があると指摘しました。そのうえで国の指針がないなど、研究を十分に規制できないことが課題だと述べました。

北海道大学の石井哲也教授は、中国ではゲノム編集によって子どもが遺伝病を発症するのを予防できないか、ヒトの受精卵を使った基礎的な研究が行われていると説明したうえで、誤って新たな遺伝子の変異が引き起こされ、生まれてきた子が想定外の病気にかかる可能性があるなど、医学的な課題があると指摘しました。

ゲノム編集の技術を使ってヒトの受精卵の遺伝情報を操作する研究をめぐっては、去年4月に国の生命倫理専門調査会が、遺伝情報を操作した受精卵を母体に戻すことは認めないとする見解を示しています。

その一方で、受精卵の遺伝情報を書き換えること自体は難病の治療などに役立つ可能性があるため、認められる場合があるとする見解も示していて、生命倫理専門調査会は認める研究の条件などを協議しています。