お通夜やお葬式に、故人を悼んでお花を送ることを、供花といいます。
通夜や葬儀・告別式の際に、壁沿いに並んでいる花のことを思い浮かべる方も多いでしょう。
けれど供花にはいろいろな種類があり、それなりのマナーがあります。
冠婚葬祭のなかで、お葬式だけは、前もって準備ができないものです。
そのため故人の遺族は、なかなかに慌ただしい思いをするのが普通です。
送る側は、故人を見送る気持ちと、遺族の気持ちを思い合わせて、負担にならないようにお花を送らなければなりません。
この記事では、供花の種類や送る際のマナー、送られた際のマナーについて、それぞれの注意ポイントをまとめました。
--この記事の目次--
1.供花の意味
2.供花の種類
3.宗教による供花の違い
4.供花を送る側のマナー
5.供花を送られる側のマナー
6.葬儀後に供花を贈るなら
まとめ
1.供花の意味
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葬儀・告別式(以下葬儀とします)の際に、祭壇に飾られた花とは別に、たくさんの花輪やフラワースタンドが並んでいることがあります。
この並んでいる花を供花を言います。
どんな意味があり、どんな種類があるのでしょうか。
まずは供花の意味からご説明します。
1-1.お悔みの気持ちを供花で
葬儀の場で、弔意を表すにはいろいろなやり方がありますが、お花を手向けることもその1つです。故人へ生花を供えること、これを供花(きょうか)、もしくは(くげ)と言います。
「くげ」には供華の文字が当てられる場合もあります。
供花は誰でも送ることができます。
親戚であったり友人であったり会社関係であったり、その点には区別はありません。
あくまで故人に花をお供えし、葬儀を飾るのが目的です。
事情があって葬儀に参列できない場合など、供花だけを送ることもあります。
これも問題になることはありません。
祭壇に花を供えたり、故人の棺に手向けたりするのは、供花ではなく献花になります。
供花はあくまで独立して飾られるようになっているもので、1つを1基と言い、2基で1対と言います。
献花には名前は入りませんが、供花にはそれぞれ手向けた人や会社の名前が貼られます。
基本は2基1対を送るとされていますが、1基であっても問題はありません。
特に近年は1基のみの場合も増えています。
これは金銭的な問題とともに、置く場所の問題でもあります。
1-2.宗教で違う供花
供花は宗教や宗派によって、花の種類や色に微妙な違いがあります。どの宗教でも共通しているのは、基調は白だということです。
仏式や神式であれば、黄色が使われることもありますが、間違っても真っ赤な花は使いません。
仏式や神式は造花の花輪を飾ることもありますが、キリスト教式は生花しか使いません。
なおキリスト教式の葬儀では、供花には名前が貼られないのが一般的です。
詳しいことは葬儀を担当する葬儀社に訊ねるのが一番ですが、宗教によって飾る花は変わりますから、注文する前にきちんと確認しておきましょう。
1-3.地域による供花の違い
宗教によって葬儀のやり方は違いますが、地方によっても違いがあります。たとえば一昔前は供花=造花の花輪でしたが、現在は生花が主流になっています。
それでもやはり、供花=造花の花輪というのが残っている地域もあるわけです。
主に関西地方のみですが、供花として花輪を飾るのではなく、樒というものを立てることがあります。
これは1基ずつ並べられるものですが、かなり大きく場所も取ります。
そのため紙や板に名前だけを書きだして張り出す、紙樒や板樒というやり方もあります。
最近は樒を立てる葬儀も減っていますが、地域色の濃い習慣です。
ただし樒の習慣が残っている地域でも、神式葬儀やキリスト教式葬儀には、樒は立てません。
樒はもともと仏教系の植物で、香りの強さからお香のような役割を果たしていました。
香を焚くこと自体が仏式葬儀のみのことですので、他宗教では樒は使わないのです。
2.供花の種類
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供花と一口に言っても、実はいろいろな種類があり、それぞれにそれぞれの役割があります。
どれもが故人に手向けられたものですが、どんな状況でどんな風に飾られるのか、それぞれの違いをご説明します。
2-1.枕花
これは葬儀に飾られる供花とは違い、亡くなった方の枕元を飾る花です。誰でも送ることができる供花とは違って、基本的には家族や親族などの身内か、故人と親しい友人知人などが、亡くなった直後に送るものです。
枕飾りの一本花とは違い、遺族以外の人も送ることができます。
一般に供花と言われる、葬儀の場に並べる花とは違いますが、故人に対して最初に手向けられるのが枕花です。
一番最初の供花と言っていいと思います。
故人の枕元に飾られるため、葬儀の時に並べる供花と違って、小さなサイズのものになります。
葬儀中もお棺の側に飾られ、葬儀後は四十九日の忌明けまで、手入れしながら飾るようにします。
家族や親族が頼む場合は1対で飾ることが多いのですが、友人や遠方の方が送る場合は1基のこともあります。
基本は白い花が中心ですが、特に故人が好きな花などがあれば、落ち着いた感じに仕上げてもらって、明るい色を入れることもあります。
葬儀に並べる花より、よりプライベートな供花といった感が強いです。
2-2.供花
いろいろな人から送られ、通夜や葬儀で並べて飾られるのが供花です。これにはいろいろな形式があり、手配する葬儀社や、地域によって違ってきます。
葬儀会場が葬祭場などでしたら、そこそこ大きなものが飾れますが、故人の自宅での場合なら、小さめのものを飾ることになります。
供花にはすべて、それぞれに送り主の名前が、木や紙の札で付けられます。
縁の深い順に、祭壇の近くになるように並べられます。
誰が送るかは決められているわけではありませんが、遺族、親族、故人の古い知己、故人の会社関係者、遺族の会社関係者などとなります。
2-3.花輪
最近はあまり見かけることは少ないのですが、昔は葬儀場の外に花輪が並べられていました。直径が1~2メートルあまりで、高さは3メートルくらいあります。
今でもお店の開店祝いなどで、大きな花輪が並べられていることがありますね。
あの花輪は、お祝いだけではなく、喪の際も並べられていたのです。
昔の花輪は造花でしたが、現在は生花が一般的です。
この花輪のかわりが、関西の一部では樒になります。
現在は外に花輪を飾れない式場も増えていて、供花としての花輪や樒は減っています。
地域差が大きいこともあり、花輪を送る場合は注意が必要です。
3.宗教による供花の違い
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故人を悼んで花を送るというのは、どの葬儀でもあることですが、宗教によって花が違ってくるのもあることです。
それほど厳密ではありませんし、実際に詳しいことは担当する葬儀社などでも教えてもらえます。
それでも知らないよりは知っている方が、何かしら役に立つかもしれません。
3-1.仏式葬儀での供花
仏式葬儀のお花でメインになるのは、やはり菊です。なぜ菊がお葬式の花に使われるようになったかは諸説ありますが、個人的に一番説得力があると思うのは、菊の香りに気持ちを落ち着かせる作用があるから、というものです。
今では日本の喪服は黒ですが、昔は白でした。
亡くなった方に着せる着物が白なのは、その名残でもあります。
地方によっては、喪主だけ白の着物という葬儀もあります。
そのため葬儀に飾られる花も、白い菊が中心になっています。
ただ昨今は白い菊はあくまで中心で、その他の白い花もたくさん使われています。
故人が菊はあまり好きでなかった場合など、菊をあえてはずして飾ることもあります。
真っ赤な花はさすがにありませんが、抑えた色調で、黄色や淡いピンクなどがアクセントになっています。
3-2.神式葬儀での供花
神式葬儀での供花は、基本的に仏式葬儀と同じような感じです。本来神式では、花ではなく榊を供えていました。
今は喪主のみが榊を供え、他は花を供えることが一般的になっています。
神式でも中心になるのは菊ですが、西洋花と呼ばれるカトレアなども使われます。
神式葬儀だからこの花と決まっているのではなくて、故人がどんな花が好きだったかに合わせて、葬儀社の方でアレンジしてくれることがほとんどです。
仏式葬儀で樒が立てられるように、神式葬儀で榊が立てられる場合があります。
これは地域のやり方でかなり限定されていますが、心当たりのある地域ならば、葬儀社に確認しておくほうが良いでしょう。
3-3.キリスト教式葬儀での供花
キリスト教式の葬儀の場合、基本的に菊は使われません。主になるのはユリやカーネーションでしょうか。
どちらも色は白です。
そして必ず生花が使われます。
仏式や神式と違って、大きなフラワースタンドではなく、籠に盛られた花が飾られます。
籠花には仏式や神式のように名前の書かれた札は貼られず、記名があっても小さなカードくらいになります。
仏式や神式の葬儀と一番違うのは、この籠花を送るのは、葬儀の場ではなく故人の自宅であることです。
キリスト教式では教会で葬儀が行われても、仏式や神式のような通夜はありません。
通夜と同じように故人を悼む夜はありますが、通夜そのものとは少し違います。
供花として送られた花を故人の周りに飾り、葬儀の時に柩と一緒に教会へ運びます。
そのため花は籠花のように運びやすいものになっているのです。
教会によっては直接花を送られても大丈夫なところもありますが、すべては葬儀を司る神父や牧師の方が決めることになります。
そのあたりをきちんと確認して、お花を送るようにしましょう。
4.供花を送る側のマナー
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供花を送るにあたって、いつ、どのように手配すればよいのでしょうか。
ここでは枕花ではなく、通夜や葬儀に送る供花について、どのようにすれば良いのかをご説明します。
4-1.いつ送るのか
どのような形であれ、訃報を耳にした時点で、通夜や葬儀の場所も知らされていると思います。いつどこにお花を送るかは、この通夜と葬儀の場所によってかわってきます。
通夜も葬儀も同じ場所で営まれる場合は、通夜に合わせて花を送ります。
通夜が始まる3時間前までには届くように手配しましょう。
通夜で飾られた供花は、そのまま葬儀でも飾られます。
通夜と葬儀の場所が違う場合は、葬儀場の方へ花を送ります。
通夜は夕方からから夜にかけてですが、葬儀は午前中がほとんどです。
供花の手配は前日のうちに済ませておきましょう。
葬儀も済んでしまって、後日亡くなったことを知った場合は、6章の葬儀後の供花についてを参考にしてください。
いずれにしても、できるだけ遺族に負担の無いような配慮が必要です。
4-2.誰に相談すべきか
親族であれば、親族間で供花をどうするかという話し合いが持たれるかと思います。各家で供える場合もあれば、親戚一同で供える場合もあります。
これについては、親戚の年長者の方などに相談しましょう。
親族以外の方が供花を準備する場合、まず葬儀が営まれる葬祭場に連絡します。
そちらで葬儀を担当する葬儀社を教えてもらえますから、まずはそちらに相談してみましょう。
普通の生花店や、今ならネットでも注文することはできます。
けれど葬儀社によっては、自社担当の供花以外は飾ってもらえない場合もあります。
葬儀社は葬儀全体を準備しますが、どんな花をどう飾るかも考えています。
供花についても、花の種類や置く形まで揃えることで、全体をまとめているのです。
どうしても送りたい花がある、どうしてもここに頼みたいという強い理由があるのであれば、葬儀社に頼めば可能かもしれません。
けれど特に問題なく、お花を供えたいというだけであれば、担当する葬儀社に相談して、そちらにお願いするのが一番だと思います。
故人とも遺族ともとても親しかったとしても、直接遺族に相談するのはやめておきましょう。
通夜も葬儀も、遺族はあれこれと慌ただしいのが普通です。
葬儀社は遺族の意向をきちんと聞いて、飾るお花の種類なども決めていきますから、遺族を煩わせずに葬儀社に尋ねて問題ないのです。
4-3.供花の費用の相場
ざっくりとした相場ですが、1基のみの場合、10,000円~20,000円あたりでしょうか。これは使われる花の種類や、供花全体の大きさによって違ってきます。
高くても30,000円を超えることはあまりありません。
2基1対で送れば、この倍の価格になります。
地方によって送られる花輪は、15,000円~20,000円あたりとなっています。
こちらのほうは大きさやお花も揃えているため、何種類かの中から選ぶのではなく、皆同じ値段で統一されている場合がほとんどです。
葬儀のやり方によっては、供花の大きさが制限されている場合もあります。
大きなお花をお供えしたくても、実際並べる場所がなければどうしようもありません。
そのため20,000円のお花を送りたくても、葬儀社から10,000円のお花でとなることもあります。
花輪も同様で、最近は外に花輪を並べてはいけないところもあります。
自分の知っている葬儀では花輪は必須であっても、それが可能かどうかはわかりません。
こういったことも含めて、必ず葬儀社に相談することが必要なのです。
4-4.供花のみを送る場合
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どうしても通夜にも葬儀にも参列できないといった場合、供花のみを送ることがあります。
それ自体は何も問題はないのですが、この場合、供花の代金をどのように支払うのか、しっかり確認しておきましょう。
葬儀のやり方はいろいろなのですが、供花やお供物を送った方は、通夜や葬儀の受付で代金をお渡しするといった場合があります。
うっかりそれを知らず、あとで葬儀社が遺族に料金を請求し、供花の分のお金が未払いになっていたりすると、意図せず大変失礼をしてしまうことになります。
供花の手配は電話でやり取りすることがほとんどかと思いますが、できればFAXかメールで、自分の名前を確認してもらうのもいいでしょう。
似たような名前の人がいたり、会社からであったら社名が間違えられていたりすると、いろいろ困ったことが起きる場合もあります。
通夜か葬儀に参列するならば、当日いろいろできることもありますが、供花のみ送るのであれば、よりきちんとしておくことをおすすめします。
4-5.供花辞退の場合
最近は香典やお供物、供花も辞退される葬儀が増えています。理由は様々ですが、小さな葬儀で静かにお見送りをすることを、遺族の方が選んだということです。
どの時点でそのことを知らされるかはわかりませんが、最低でも供花の相談のために葬儀社に連絡を取れば、遺族の意向を知ることができます。
こういった場合は、供花だけであっても、送るのは控えましょう。
せめてお花だけでも手向けたいと思うかもしれませんが、それはあくまで自分個人の気持ちであって、優先されるべきなのは喪家である遺族のお気持ちです。
どうしてもと思うのであれば、葬儀後にお花を送るのも供花になります。
この場合は一般的な供花とはまた違ってきますので、6章を参考にしてください。
5.供花を送られる側のマナー
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多くの方に見送られ、いただいた供花に飾られて故人を送ることができるのは、とてもありがたいことです。
喪家として慌ただしい中ではありますが、やはりいただいた側にもそれなりのマナーが必要です。
供花を送られた遺族として、どんなことに注意すべきかをご説明します。
5-1.供花の飾り方
供花をお断りしたのでなければ、親戚だけではなく、故人の友人知人や、会社関係の方から供花をいただくことがあります。祭壇を中心にして、左右にいただいた供花を飾りますが、これにはある程度の順番があります。
まず故人に一番近い身内の供花が、祭壇に一番近くなります。
具体的には子や孫といった直系の親族です。
その次が親戚になり、友人、会社関係となります。
社葬の場合は、親族の次が会社関係になりますが、会社関係の順番については葬儀委員長が決めることになります。
いずれにしても、喪主と葬儀社がよく話し合って、細かい順番を決めていきます。
数が多いからと言って、あいうえお順というわけにはいかないのです。
5-2.送り主の名前と金額を把握しておく
供花をいただいたなら、必ず送り主の名前と、供花の金額を把握しておきましょう。これは後日のお礼のためです。
香典のように手元に残るものは後から確認できますが、供花は葬儀が終わればわからなくなってしまうこともあります。
送り主が親戚であればすぐにわかりますし、故人の友人であれば遺族も良く知っている場合がほとんどです。
けれど故人の会社関係だけでなく、遺族の会社関係となると、うっかり把握しきれなくなってしまうこともあるかもしれません。
葬儀の規模が大きくなればなるほど、いただく供花の数も増えます。
葬儀が終われば、供花は片づけられてしまいます。
葬儀社に依頼された供花であればまだしも、外部の生花店から送られたものや、ネット注文されたものは、葬儀社でも把握していないことがあります。
供花の数が多い時には、供花に付けられた名札を保管するなどして、どなたから送られたものなのか、どのくらいの金額であるかがわかるようにしておくのがベストです。
外部の生花店などから送られた場合は、だいたいの目安でお返しの金額を決めるしかありません。
値踏みをするのは難しいかもしれませんが、安く見積もるよりは高めに見積もって、お返しの金額を考慮すれば大丈夫です。
5-3.供花のお返しはどうするの?
供花は香典と違い、特にお返しは必要ないとされています。それでもやはり、いただきっぱなしは気になるものですね。
基本は香典返しと同じ、金額の3割~5割が目安です。
もしも供花と香典をいただいたのであれば、香典返しの時に、供花の分も合わせてお返しします。
この場合は、香典の金額と供花の金額を合わせ、全体の3割~5割のお返しにします。
葬儀に参列してくださった方で、個人ではなく何人かで供花を送ってくださる場合があります。
そんな時も、やはり何かしらのお返しをすることをおすすめします。
例えば会社の方であれば、皆で食べられる個包装の日持ちするお菓子などを持って行き、お礼とともにお渡しすれば、この場合は十分です。
お1人お1人にお返しする場合は、タオルやハンカチのような軽いものを用意して、個別にお返しするといいでしょう。
いただいた供花の金額より多くなりすぎると、送った側にかえって気を使わせてしまいます。
もしもお返しに悩むようであれば、葬儀社の方に相談してみれば、良い知恵を貸してもらえるかもしれません。
5-4.供花のみいただいた場合は
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遠方であったり、どうしても都合がつかなかったりで、供花のみを送っていただくことがあります。
この場合は葬儀後1~2日中にお礼状を出しましょう。
その時一緒にお返しの品を送るのがベストです。
香典返しの時に、供花のみの方にも一緒にお礼の品を送ることもできますが、かなり時間があいてしまいます。
先にお礼状を送るのであれば、一緒にお返しも送るほうが良いでしょう。
お返しは香典返しと同じく、「志」の掛け紙になります。
関西地方では「粗供養」が使われることも多いようです。
香典返しと同様に、3割~5割の金額を目安にします。
会社関係では、供花のみいただいて参列はなしということがままあります。
すぐに会える相手であれば、お礼状やお返しを送るのではなく、直接菓子折りなど持って行って、お礼の言葉とともにお返しにあてましょう。
5-5.供花のお礼状
葬儀に参列された方に供花をいただいた場合、忌明けの香典返しと一緒にお礼をします。供花のみで会葬されなかった方には、お返しが忌明けになることはあっても、お礼状は先にします。
なぜ供花のお礼状が先に必要なのでしょうか? お渡しするタイミングはいろいろですが、葬儀に参列された方には、会葬礼状をお渡しするのが一般的です。
会葬礼状の文章や内容は様々ですが、葬儀に参列してくださったお礼を述べることで、供花や香典に対するお礼もなされたことになります。
お返しはまた別に行います。
一方で供花のみを送ってくださった方には、お礼がまだ済んでいません。
しかも喪家からなんの連絡もなければ、ちゃんと届いたかどうかも確認できないわけです。
この「供花をありがとうございました」と、「きちんと届きました」の両方の意味を込めて、葬儀後にお礼状を送るのです。
お礼状はハガキでかまいませんが、文体はあまりくだけたものではなく、きちんと礼をわきまえたものにしなければなりません。
ざっくばらんにお礼を言える相手であれば、電話すればよろしいのです。
わざわざお礼状が必要であるということは、それなりのお付き合いの方ということになります。
内容は丁寧なお礼状であっても、メールはやめたほうが良いです。
親しき仲にも礼儀ありで、冠婚葬祭ではやはりきちんと線引きをしておくべきです。
お礼を言うのは電話でも良いですし、お礼状ならハガキでも構いませんが、メールは失礼にあたるのが現状です。
葬儀社の方に相談しても良いかと思いますが、ネットで検索すれば、あちこちに例文が載っています。
その中から自分が良いと思った文章を選べば、特に悩む必要もありません。
パソコンで簡単に印刷できるものではありますが、できれば手書きが一番です。
一例として、宗教に関係なく出せそうな例文を1つ、載せておきます。
「、」「。」は、使っても使わなくてもかまいません。
記事では横書きですが、実際には縦書きにしてくださいね。
「拝啓 亡父 ○○○○ 葬儀の際には お心のこもったご供花を賜り 誠にありがとうございました
謹んで受け取り 飾らせていただきました
故人の最後を美しく見送くらせてくださったご芳情に 心よりお礼申し上げます
おかげ様にて葬儀も滞りなく執り行うことができました
故人生前中のご厚誼に深謝するとともに 格別なご高配に重ねて厚くお礼申し上げます
皆様方の 幾久しいご健康とご多幸をお祈り申し上げつつ お礼のご挨拶とさせていただきます
敬具
平成○○年 ×月 ×日
住所
喪主の名前」
5-6.供花を辞退する場合
密葬や家族葬だけではなく、大勢の方に参列していただく一般の葬儀であっても、近年は香典や供花を辞退することが増えています。辞退することは問題ではありませんが、参列してくださる方に、きちんとお伝えする必要があります。
最初に故人の訃報をあちこちに連絡する時、できれば香典や供花を辞退する旨お伝えしておきましょう。
参列する側も、訃報を聞いてから準備することになります。
先に連絡が回っていれば、わざわざ準備していただくこともなくなります。
連絡が漏れていたり、念のためにと一応準備して来られる方もあります。
通夜や葬儀の際には、受付でも辞退の旨を伝えてもらいましょう。
葬儀社で用意してもらえるのであれば、香典供花辞退の張り紙などを、目につくところに張っておくのもわかりやすいです。
供花のみの場合は、おそらく葬儀社に連絡があります。
そこで辞退するということを伝えてもらえます。
もしも外部の生花店などから直接供花を送られたなら、あえて話をややこしくすることなく、お礼とお返しをするのが良いでしょう。
6.葬儀後に供花を贈るなら
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葬儀後に訃報を知った場合や、香典や供花を辞退されたけれど気持ちだけでもといった場合、後からお花を送ることもできます。
これは後飾りとも言い、葬儀の時の供花ほど大きなものではありませんが、故人への供花の1つです。
6-1.葬儀後の供花の種類あれこれ
葬儀が終わった後に、忌明けまでの祭壇や仏壇に飾っていただくために、お花を送ることがあります。これを後飾りと言いますが、葬儀の時の供花と違って、自分で選んだ花を送ることができます。
故人が好きだと言っていた花が、葬儀には使いにくい場合でも、葬儀後であれば問題ありません。
ただし部屋に飾るということを考えて、大きすぎるものは避けましょう。
また葬儀の際にプリザーブドフラワーは送れませんが、後飾りとしてならば送ることができます。
むしろ手間が無い分、プリザーブドフラワーのようなものの方が、近年は多くなっているようです。
遺族が毎日花の世話をできるとは限りません。
生花を送るのであれば、花籠のようにすぐ飾れるものを選びましょう。
プリザーブドフラワーであれば、生花よりはるかに長く飾っておけます。
6-2.ネットでも供花は注文できる
生花を送るにしろ、プリザーブドフラワーを送るにしろ、生花店を回るのもなかなか難しいものです。特にプリザーブドフラワーを送りたいと思うのであれば、普通の生花店にはお悔み用のものはほとんどありません。
ネットであれば、生花はもちろん、プリザーブドフラワーでもお悔み用が選べます。
カードなども付けてもらえますから、お返しは不要であることなども含めて、お悔やみの挨拶とすることもできます。
近くであれば弔問に伺って、その時のお花を持参することもできますが、時間的にも距離的にも難しいこともあります。
こだわってどんどん時間がたってしまうようなら、ネットでお願いすればいいのです。
6-3.遺族の気持ちを最優先に
葬儀の際に、香典や供花を辞退されていたのであれば、後飾りであっても供花はやめておきましょう。よほど親しい間柄であれば、遺族にもわかっていただけると思いますが、自分が送りたいから送るというのであれば、それは遠慮すべきです。
故人を見送るにあたって、一番優先されるのは遺族の気持ちです。
どうしてもお悔みをと思うのであれば、きちんと確認した上で後日弔問に伺いましょう。
その時に簡単な飾り花を持って行けばいいのです。
供花が自己満足にならないように、十分考えて行動しましょう。
まとめ
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葬儀はどうしても慌ただしいものです。
そんな中であちこちからいただく供花は、とてもありがたいのが本来です。
けれど送る側が自分の気持ちだけを優先し、場違いな花や飾れないような花を送ってしまったら、それでなくとも大変な遺族の気持ちを、余計につらくさせてしまうかもしれません。
葬儀の場は、故人をお見送りする場です。
供花をするのは、故人に手向けるためです。
静かに、遺族の気持ちに寄り添って、お見送りするためにお花を送ることを、忘れないようにしたいものです。