米国の政権は就任から100日間の実績が、力量を測る最初の目安の一つとさ…
商工組合中央金庫(商工中金)で、国の予算を使った「危機対応融資」をめぐ…[続きを読む]
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米国の政権は就任から100日間の実績が、力量を測る最初の目安の一つとされる。トランプ政権は、29日が節目である。
目玉とする政策は実現の見通しが立たない。政府機関の基盤固めも難航を極めている。その前途を危惧せざるをえない。
打ち上げた花火は華々しかった。この100日間に発した大統領令は、第2次大戦後で歴代最多とされる30にのぼる。
だが、中東など一部の国からの入国禁止は裁判所が待ったをかけた。医療保険改革制度(オバマケア)見直しは議会の反対で頓挫した。メキシコ国境の壁建設は財源のめどが立たない。
司法や議会がチェック役を果たしたことは、米国の三権分立が機能した証左と評価したい。
むしろ懸念すべきは、目先の成果を期待して、政策がもたらす影響の検討も関係者への説明も尽くさないトランプ流強権政治の「独走」である。
財源確保を後回しにしたまま打ち出した15%への法人減税案も、その典型だ。
保護貿易など支持層が欲する政策か、共和党の伝統政策か、軸が定まらない。一貫するのはオバマ前政権との違いを打ち出したい願望にほぼ尽きる。
政府機関の中枢を占める政治任用職と呼ばれるポストの8割が、いまだに指名すらされていないのも尋常ではない。
政策に通じた人材よりも側近や親族を重用したり、議会などとの調整を軽視したりするトランプ氏の稚拙な政治手法が政策の停滞と社会分断を招いているならば、ゆゆしき事態である。
大統領として米国全体の利益を目指す立場にあることを、トランプ氏はまず自覚すべきだ。
不透明で不確実な意思決定は対外政策にもつきまとう。
就任前は「米国は世界の警察官にならない」と主張していたが、シリアへのミサイル攻撃など軍事偏重に一転した。
悪化したロシアとの関係をどう立て直すのか。中東の混乱をいかに収拾するか。問題は、軍事と両輪をなすべき「外交」の具体像が見えないことだ。
同じことは、緊張が高まる北朝鮮情勢にも当てはまる。
事態打開を急ぐあまり軍事行動にはやらないか。安全保障と通商をてんびんにかけて、中国と「取引」するのではないか。そんな疑念がぬぐえない。
口では「外交圧力を強める」というが、担い手たる国務省の幹部ポストの大半が空席だ。
内政、外交ともに長期的な戦略を立て、手間を惜しまずに合意を目指す。それも大統領の基本動作と心得てほしい。
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