アンチHuaweiの私が「Huawei nova」に惚れた理由

2017.04.29 端末レビュー ライター:__agar

おそらく100台以上はAndroid端末を使ってきた私ですが、数ある中には「合わなかったなあ」と感じるものもどうしてもあります。


私の場合、そんな中で買うのを避けるようになっていたメーカーの1つがHuaweiでした。

Huawei端末を嫌っていた理由

見方を改めるに至った理由を語る前に、まずは背景である「アンチ」になった理由を語っておきたいと思います。
主観も入っていますしあまりオブラートに包んでいないので、読みたくない方は次の章まで飛ばしてください。


ルーターなど他に選択肢がないものはちょくちょく買っていましたが、スマートフォンでHuaweiを買ったのは、記憶の限りでは「STREAM S(302HW)」が最後でした。

人が物を嫌っている理由としてはありがちですが、少し古い物がきっかけなのはお許しください。
弁解させていただくとすれば、古い情報だけで否定してきたわけでは決してありません。新製品などの情報には一通り目を通していますし触れてもいます。あくまで「きっかけ」です。


嫌っていたポイントは主に3つ。

1.ハードウェアの質感
2.癖の強いソフトウェア
3.過剰に持ち上げる風潮

他にも細かい理由はいくつかあって、例えばすべての機種ではないので主な理由には入れませんでしたが、多くの機種で(事実上の)独自SoCを採用している点などもネガティブに思っています。



1番の「ハードウェアの質感」については、以前はお世辞にも質感が良いとは言えない、チープな外装の機種が多かったと感じます。

実用面ではあまり関係のない点ですし、気にしない人も多いのは分かっています。あくまでそういうことが目についてしまうスマートフォンマニアの意見とご理解ください。

プラスチックを多用した筐体だった時期まで遡らずとも、今に至る躍進が始まった頃は例えばアルミを筐体に使っていてもその処理や他のパーツの仕上げなどでお世辞にも高級感があるとは私には思えませんでした。

少し3番とも関係してきますが、そういったものを「アルミを使っていて高級感が~」などと評価している人につい「本当に?」と冷ややかな目を向けていました。



2番の「癖の強いソフトウェア」については、細かく言えばさらに2つの理由があります。

まず1つが、人それぞれですが、標準的なAndroidのUIとは異なる独自色の強いUIが合わないと感じています。

こちらは最近の機種に関しても感じていて、具体例を挙げるとすれば、EMUI 4.1までの「通知とショートカットのページを分けた通知領域」「iOSコンプレックス?と言いたくなるような横スクロールのアプリ履歴」などは「どうしてわざわざ弄って使いにくくするの…」と思ってしまいました(そういった意味ではEMUI 5.0はとても好きです)。

これに関しては個人の好みやこれまで使ってきた機種などによって感じ方がだいぶ変わると思うので完全に主観です、一旦置かせてください。

そして次に、かつての「Emotion UI」は好みの問題を抜きにしても、出来の良い物とは感じられなかったことです。

私はAOSPで無ければ嫌!というわけではなくて、しっかりした独自の世界観や便利さを打ち出せていれば独自色の強いUIも大アリだと思っています。

ですが以前使った頃のEmotion UIは、フラットデザインが大きな流れであったAndroid 4.4の時代に陰影をふんだんに使った少々古さを感じるデザイン、時代に沿ったデザインをしている他のアプリと合わないデザインをわざわざしていたり、スクロールなどのアニメーションに不自然さを感じたりと、「大がかりにカスタムしている割には稚拙」という印象を持ちました。



3番の「過剰に持ち上げる風潮」については、今というよりは一昨年あたりの急激な伸びの中で、実際の物の出来以上に持て囃されているなと感じる場面が多々あったことです。

あまりこういう言い方はしたくありませんが、口を開けばやれキャリアは土管になれだのMVNOに変えない人は損だのと唱えるような無理解な層、あるいはまともに使ってもいないものを勧めるようなアフィリエイター…そんな人々が担ぎ上げて行く様を見て私のHuawei嫌いは決定的なものになりました。

novaを買おうと思った理由

過激な言い方をすると誤解も当然生まれるので重ねて言いますが、嫌っているとは言っても「Huaweiだから絶対買わない」という話ではなくて、良いと思う物にはちゃんと目を向けているつもりです。


結果的に今回novaを買うまで長いこと買わなかったのですが、Mate Sなどはかなり購入しようか迷いました。
大きさを感じない持ちやすさがありその上美しいボディにとても惹かれたのですが、強気な価格設定が引っかかって買わず…

価格がこなれてきた頃には、他機種の例からすると珍しくこの機種に限ってはアップデートされないことが濃厚になってしまっていたので手を出せませんでした。初期OS(Android 5.1)で満足な時期のうちに買っておくべきだったのかな…?

今年のベストバイガジェット Advent Calendar 2016

また、私事ながら毎年12月に「今年のベストバイガジェット Advent Calendar」というブログ企画を開催しているのですが、昨年は5人/25人がHuaweiスマートフォンを推薦するという「ステマか!?」というような事態でした。

この時は「さすがにそこまで言うなら買ってみようか」と、当時ホットだったP9のRED(1000台限定のはずなのに未だにAmazonで売っているのは一体…)を年始にヨドバシで実施されていたY!mobile SIMセットの特価で買おうとしました。
いわゆる総合的なアレで買えませんでしたが。


だいぶ話が逸れましたが、novaを買った理由の話に戻ります。

・5.0~5.2インチディスプレイ
・コンパクトな筐体
・USB Type-C
・Snapdragon 625以上のSoC
・指紋認証対応
・4G+3GのDSDS対応
・国内キャリアで満足に使えるLTEバンド

このあたりの仕様を満たす機種を探していてストライクでしたし、デザインもオーソドックスかつ持ちやすそうで気に入ったので買ってみようという気になりました。
存在を知ったのが国内発表の数日前だったのですが、気が付くと柄にもなく楽しみに情報を追っている自分がいました。

遠因としては、私の推しメーカーは別にあるのですが、その最新機種があまりにも不甲斐ない出来で「(実名は伏せます)に4万出すぐらいならその金でnova買ってみようやないかい!!」と思ったことにも背中を押されましたね。


価格がかなり落ち着いてきた4月末にAmazon購入。

実は本当はミスティックシルバーを買うつもりでいたのですが、私が買ったタイミングでは本体単品しか在庫が無かった(エントリーパッケージ付きのほうが数千円安いです)ので、迷っていた第2候補のチタニウムグレーにしました。

ベゼルがすごく狭い機種というわけではないので、前面が黒のほうが締まっていて良いかな?と今は納得しています。

novaの気に入っている点

これまで嫌ってきたところの反対と言ってしまえばそれまでなのですが、いよいよ本題である私がHuawei novaに惚れ込んでいる理由を紹介します。


・素晴らしいサイズ感
基本的にスマートフォンの歴史は大画面化の流れとともにあります。
そして、かつて5:3や3:2のスマートフォンが淘汰されていったのと同じように、21:9という新たな武器を手にして画面サイズと本体幅の両立をより高い次元でも実現できるようになった最新のハイエンドスマートフォンは、さらに大画面化の道を今進んで行こうとしているわけです。

そんなわけで、廉価機種ならばともかく、ある程度以上のスペックと手頃なサイズを兼ね備えた機種というのはどうしても常に選択肢が少ないです。

私は以前は「ハイスペックでコンパクト」な機種が好きだったのですが、2017年の今、アプリのデザインやそれによる画面の情報量などを考えると、Androidの場合4.7インチや4.5インチ、あるいはそれ以下と言ったサイズはもう小さすぎるのかなとも思っています。

筐体をコンパクトにまとめつつ5.0~5.2インチ程度のディスプレイを収めた機種こそが、今の基準でのコンパクトさと十分な画面の広さを両立した最適解の1つであると私は考えます。
こればかりは好みの問題ですけれどね。


そして、novaはまさにそれなのです。
5.0インチで幅69.1mmと数値上で見てもそこそこ手頃なサイズですし、実際に手に取った印象としては背面のカーブが持ちやすさに良く効いています。

Snapdragon 625搭載のミドルレンジモデルではありますが、昨今のスマートフォンの性能向上と、コンパクトなスマートフォンに求める役割・用途を照らし合わせるとこの程度でも十分にかつて求めた「ハイスペックコンパクト」と遜色ない働きはできると感じます。
S625はそこそこのパフォーマンスで電池消費も抑えめ、好きなSoCの1つですね。


・美しく、技術力の高さを感じる外装

表は2.5Dガラス、裏はアルミというよくある構成。言ってしまえばそれだけなら今時は有象無象の中華端末でもやっています。
ですが、私はnovaを手に取ってかつてのイメージとは180°異なる質の高さを感じました。

背面の大部分を占めるサンドブラスト加工されたアルミに関しては、かつてフレームなどのアルミを採用し始めた頃のような粗さは感じませんし、外周のダイヤモンドカットはエッジが綺麗に出ています。
細かいパーツやアンテナラインの部分にも段差や隙間の類は見受けられず、どこと比べても遜色ないクオリティーだと思います。S社のX…シリーズには見習って欲しいくらいです。

側面はヘアライン加工になっており、ユニボディでありながら背面と表情を変えてあります。
Huaweiの他機種でも見られるこのギラギラした光沢のあるヘアラインは正直あまり好きでなかったのですが、novaのように部分的に使ってあるとなかなか良いですね。


個人的に、外装で一番気に入っているのは背面上部のここ。
ラウンドしたアルミとガラス、側面に入った樹脂のアンテナラインが隙間なく平らに、完璧な精度で組み合わさっています。
さらに、アルミ部分の中でもサンドブラスト加工の背面、ダイヤモンドカットのエッジ、ヘアライン加工の側面が勢揃いしていて凄まじい情報量。
無駄に眺めたり撫でたりしたくなっちゃいます。

他にも、電源ボタンの側面だけに赤いラインを入れてあるなんて小技も効いています。そこまでしても気にして見る人が一体どれだけいるのだろうと思ってしまいますが、こういった積み重ねが確実にnovaの質感の良さにつながっているとおもいます。

こんなに手間のかかった凝った外装のスマホはなかなか無いと思います。
外装だけ見たらまずミドルの機種だとは思えません。


・品のある挙動

私自身、Huaweiのスマートフォンにこんな評価を下す日が来るとはまったく思いませんでしたが、カタログからは読み取れず、語る人も少ないことなのであえて言及しておきたいです。

一番言いたいのは、マニアしか気にしないもののどんな高級感のある機種でもこれがダメだと幻滅してしまうもの、そう、「バイブ」です。

ホームボタンなどのタッチ操作時のバイブが特に良いですね。
動作音はほとんどせず、正しく操作できたことだけが分かる程度の控えめな強すぎないフィードバックを返してくれます。
とても心地良いですね、ずっと気にして見ていますがこの点に関して「これは!」という機種は滅多にないので感動しました。再確認するために無駄にボタンを押す日々がしばらく続きそうです。

また、効果音の類もとても良いです。
カメラのシャッター音、音量調整時の確認用の音、画面ロック音…
普段使っていないものまで色々と聴いてみましたが、こちらもバイブと同じでどれも主張しすぎない、かつ役目を十分に果たすような心地良い音たちでした。

これらを意識して見る人は本当に私のようなおかしなマニアぐらいだと思いますが、意外と下手をすると積み上げた「高級感」を崩してしまう要素なんですよね。こういったところまで気を配れるのは立派だと思います。


・通信面の使い勝手の良さ

LTE B1/3/5/7/8/18/19/28/38/40対応で、国内大手3キャリアのどこで使ってもメインバンド・プラチナバンドを押さえられます。
通話を考えても、au VoLTE対応ですしdocomo網ならFOMAプラスエリア対応。非常に使い勝手の良い構成だと思います。

さらに4G+3GのDSDS対応にも対応。最近は増えてきているとは言え、au LTEも対応している機種となると限られています。
novaなら、例えばdocomo音声+UQ mobileデータというような使い方もできますね。

TD-LTEには対応していないことや、CAの組み合わせが1-18,1-19の2通りに留まることなど完璧ではありませんが、Androidでキャリアを問わず使える汎用性の高い機種を求めるならばかなり良い方でしょう。

ちなみに、ホットスワップ(電源を入れたままでのSIM入れ替え)も可能でした。


・便利な機能

Android 7.0/EMUI 5.0のアップデートが始まっていますが、私の端末にはまだ配信されていないのでAndroid 6.0/EMUI 4.1での評価となります。

あまりEMUIに良いイメージを持っていなかったので、ハードウェアが気に入ってnovaを買いつつもソフトウェアに関しては我慢して使うことになるんだろうな…と購入時は思っていました。

ところが、フタを開けてみると意外と楽しく使っています。
デザイン的なところで気に入らない部分はやはりあるものの、実用的かつ珍しい機能が豊富なのが楽しめている理由かなと思います。

バッテリーマネージャーの「保護されたアプリ」(設定しておかないと通知が来なくなるHuawei端末の洗礼)などイラッとすることはありますが、気に入っている機能もあります。


一番気に入っているのは指紋センサーを使った機能です。

以前の機種から付いているので使っている方にはお馴染みの機能だと思いますが、指紋センサーに触れてスライドすることで通知パネルを開閉したり、ギャラリーの写真の移動ができるというもの。

単なるおまけ機能レベルではなく、非常にレスポンスが良く実用的なのが印象的でした。つい他の機種でもやろうとしてしまいそうですね。

ソフトウェアに関しては、今気に入っていない点のいくつかがEMUI 5.0になれば変わるのでアップデートを受け取れる日が非常に楽しみです。

まとめ

購入前に思い描いていた通りの素晴らしいハードであったと同時に、思わぬ面も見ることが出来たので本当に買ってみて良かったと思います。
メーカー問わず久しぶりにかなり気に入った機種で、しばらくメインで使って行く予定です。

(ストレージ問題などで何やら物議を醸していますが)P10、買ってみようかなあ…
PANTONEのトレンドカラーを使った「Greenery」が日本でも出れば欲しいのですがはてさて。