水曜日

伝統守り、次の世代へ引き継ぐべく奮闘する輝く女性に密着。 宇賀なつみアナが体当たりレポートで紹介、応援します。

放送日 2016/07/06

宮﨑知子(38)大正時代から98年続く旅館“元湯陣屋”4代目

大正時代から続く老舗旅館4代目女将

鶴巻温泉「元湯 陣屋」
住所/神奈川県秦野市鶴巻北2-8-24
TEL/0463-77-1300
◇紹介したお部屋
「牡丹の間」1泊2食付き ※大人1名3万5000円(税別)~
「松風の間」1泊2食付き ※大人1名4万9000円(税別)~
◇紹介した料理コース
「逸品会席コース」1万6000円(税別)

宇賀なつみアナウンサーが、伝統や文化を受け継ぎ、生き生きと輝く女性から、人生を素敵に過ごす秘訣などを伺う「継ぐ女神」。今回お会いしたのは、大正7年から、神奈川で98年続く老舗旅館「元湯陣屋」の4代目女将、宮﨑知子さん(38)です。

都心から1時間ほどで行ける鶴巻温泉にある「元湯陣屋」。もともとは三井財閥の別荘だった場所に立ち、敷地はおよそ1万坪になるといいます。その一室「松風の間」は、旧黒田藩の別邸を移築したもので、黒田家が明治天皇をお迎えするために作った特別な部屋。そして、陣屋に移った後、この部屋で行われてきたのが将棋のタイトル戦です。羽生善治さんが使った将棋盤と駒は、宮﨑家の家宝として大切に保管されていました。

家宝は宮本武蔵ゆかりの刀

ご自宅で見せていただいたもう一つのお宝は、初代のコレクションだという宮本武蔵の刀、2本です。刀にある「熊本作」の銘が示すのは、宮本武蔵が晩年を過ごしたといわれる熊本で刀鍛冶の河内守永國に作らせたことを記すもので、本物の証でもあるそうです。

2本あるのは、二刀流の武蔵ならでは。1本が脇差で、もう1本が刀です。ちなみに、この2本で高級乗用車2、3台は買えるほどの価値になるそうですよ。

“となりのトトロ”のモチーフになった木

その後、ロールスロイスに乗せていただき旅館へ移動した宇賀アナ。庭で見たのは「トトロの木」と書かれ大きな楠の木です。実は、陣屋3代目と宮崎駿監督はいとこ同士。宮崎監督は子どもの頃、こちらの木に登り遊んでいたそうで、映画『となりのトトロ』に出てくる木のモチーフになったといわれているそうです。

負債10億円“がけっぷち”から再生

大正時代から続く老舗「元湯陣屋」。その長男・富夫さんのもとに知子さんは嫁いできました。その頃、ご主人は大手自動車メーカーで働き、知子さんはもちろん、ご主人も継ぐ気はなかったといいます。

転機となったのは結婚から3年目。知子さんは義母から、ご主人には内緒で借金の告白をされます。負債額は、なんと10億円。返済できなければ、当時2歳だった子どもにまで借金を負わせてしまうかもしれないと思った知子さんは、義母にこう告げます。

「自分の息子に賭けてみませんか。お母様が育てた息子だから、きっといけますよ」。

返済には旅館再生しか道は残されていませんでした。知子さんから話を聞き、説得されたご主人も「もうやるしかない」。会社を辞め、夫婦で“がけっぷち旅館”の再生が始まりました。

まずご主人の発案でITを導入し、従業員全員にタブレットを持たせることにしました。アナログで効率の悪かったお客様の情報共有を迅速なものへと変化させたのです。そして知子さんは、旅館の立地の良さを生かして、ブライダル事業を提案。するとこれが大ヒットとなり、年間40組以上が結婚式を挙げ、それに合わせて両親や親せきの方も宿泊してくれるようになりました。

先ほどのロールスロイスでの送迎も知子さんのアイデアです。高級志向にすることで売り上げは増え始めたそうです。

“自分を褒められる”まで努力しましたか?

更なる旅館再生に向け、知子さんは“常識破り”とも呼べる数々のアイデアを打ち出していきます。例えば、「旅館なのに週2日は休館日」。スタッフがリフレッシュし接客などのパフォーマンスが向上すれば、お客様の満足度が上がり、リピーターが増えるという考えの元、行われています。実際に、お客様の大半がリピーターだそう。

4代目女将として無我夢中で過ごしてきた知子さん。そんな知子さんの取材を通して宇賀アナが心に残った言葉「女神の一言」は、「“自分を褒められる”まで努力しましたか? そう思うと、もう一歩頑張れる」です。

まだ再生の途中。それでも7年間必死につとめ、ようやく「少しだけ自分を褒めたい」とおっしゃる知子さんでした。

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