私の前々回のコラムである

ぽんさんの中学校のPTA 何が問題?(4月28日)

に対してハンドルネーム『ナンバー8』さんから

「前回何かの記事で、PTAに不参加で卒業式にコサージュもらえず訴えを起こした話がありそこではPTAに参加していないのでコサージュをお金を払ってももらえない判例があったと思いますが、今回の憲法学者の方の論と違う部分があるとおもいます
その辺はどうお考えでしょうか? お聞かせください 」

というメッセージを頂きました。

すみません、ナンバー8さん、よく分からないんですが、これって、大阪の堺市の例ですよね?あれって、もう判決って出てたんでしたっけ?そして、ナンバー8さんがおっしゃるような判決が出てるんですか?どう確認しても出てこないんですけれど、勘違いされていません?

ええと…これは堺市の私学の中学校の話ですね。
はい。
そんな判決、どう考えても出ていないように思いますけれど、もし出てたとしたのであれば即刻控訴でいいと思います。
私学であっても公立であっても、学校の教育には学校教育法という法律があります。その137条に

学校教育法137条(学校施設の社会教育への利用)
学校教育上支障のない限り、学校には、社会教育に関する施設を附置し、又は学校の施設を社会教育その他公共のために、利用させることができる。


と規定されています。
参考までに、その基となっているのが憲法の

日本国憲法89条(公の財産の用途制限)
公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。

であり、類似法に

社会教育法44条(学校施設の利用)
学校(国立学校又は公立学校をいう。)の管理機関は、学校教育上支障がないと認める限り、その管理する学校の施設を社会教育のために利用に供するように努めなければならない。


が挙げられます。

すみません、理屈っぽくて、法律の話って面倒なんですけれど…要は

「保護者会」とか「PTA」って、サービスは児童「全員」を対象にする行動しかしちゃあいけませんよ

ってのがそもそもルールです。
堺市の中学校の例で言えば、「保護者会の」会員「限定』でのサービス等の提供は「公共のため」のものとはいうことは出来ず、学校は、非会員の子どもを排除する措置を取る場合は保護者会に対して学校施設の利用を拒まねばならなくなります。

しかしどの学校でもそうなのですが、保護者会は必ず、学校内の教室を「保護者会室」として利用していますし、行内の印刷機等を利用する権限を与えられています。

従って
「保護者」
が参加してこなかったからと言って
「保護者会とは直接関係のない児童」
が精神的な不利益に陥る可能性のあるケースは違法である可能性が高いです。

これはいじめ防止対策推進法15条2項に規定されている

(学校におけるいじめの防止)
学校の設置者及びその設置する学校は、当該学校におけるいじめを防止するため、当該学校に在籍する児童等の保護者、地域住民その他の関係者との連携を図りつつ、いじめの防止に資する活動であって当該学校に在籍する児童等が自主的に行うものに対する支援、当該学校に在籍する児童等及びその保護者並びに当該学校の教職員に対するいじめを防止することの重要性に関する理解を深めるための啓発その他必要な措置を講ずるものとする。


に違反している可能性が高いと言わざるを得ません。

ナンバー8さん、良かったら一度どのような判決になっているか、確認されてみてはいかがでしょうか?