洪水・氾濫の危険性 川の流域ごとに色分けして発表へ

洪水・氾濫の危険性 川の流域ごとに色分けして発表へ
k10010965751_201704290524_201704290653.mp4
去年の台風による被害などを教訓に、気象庁は、洪水や氾濫の危険性がどれくらい高まっているかを川の流域ごとに細かく色分けして示し、迅速な避難などに利用してもらうための新たな情報を、ことし7月上旬から発表することになりました。
気象庁は、川の上流で降った雨が下流へどれぐらい流れるかを示す「流域雨量指数」などを基準に洪水警報を市町村ごとに発表しています。

しかし、同じ市町村でも川の流域や場所ごとに危険度が異なるほか、去年8月の台風10号など、川の氾濫による被害が相次いでいることから、気象庁は、洪水や氾濫の危険性がどれくらい高まっているかを流域ごとに細かく色分けして示す新たな情報を、ことし7月上旬からホームページで発表することになりました。

情報は、全国のおよそ2万の河川を対象に1キロ四方ごとに発表され、地図上に危険性が高いほうから、紫色、薄紫色、赤、それに黄色で示されます。このうち、紫色は洪水や氾濫などの重大な災害がすでに発生していてもおかしくない状況を示しているほか、薄紫色は3時間後までに流域雨量指数が警報の基準を大きく超え、洪水や氾濫が起きる可能性が高いことを示しています。

気象庁予報課の高木康伸予報官は「危険性の高い色が表示された場合は危ないところから離れるなど安全確保や避難の判断に活用してもらうとともに、上流の危険度にも注意し、早め早めの行動を心がけてほしい」と話しています。

去年大雨被害の小本川で検証すると

洪水や氾濫の危険性を色分けして示す新たな情報をもとに、気象庁は、去年8月30日に台風10号による大雨で氾濫した岩手県岩泉町の小本川について、危険度の高まりがどの程度早く把握できるかシミュレーションしました。

この台風では、川沿いにあった高齢者グループホームでお年寄り9人が死亡するなど大きな被害が出ましたが、シミュレーションの結果、川が氾濫したと見られる時間帯のおよそ5時間前にあたる午後1時に、グループホームより上流側の広い範囲で3時間後までに洪水注意報の基準を超えると予想される「黄色」が表示されます。

その後、午後2時にはグループホームより上流側の一部で、3時間後までに洪水警報の基準を超えると予想される「赤」が表示されます。その後、危険度はさらに高まり、午後3時には、グループホームより上流側のほとんどで3時間後までに洪水や氾濫が起きる可能性が高いことを示す「薄紫色」が示されるほか、そのおよそ2時間後の午後4時50分には、最も危険度が高く氾濫などの重大な災害がすでに発生していてもおかしくない「紫色」が表示されます。そして、氾濫が起きたと見られる午後6時ごろには、上流側だけでなくグループホームの下流側を含む広い範囲が「紫色」になりました。

気象庁は「3時間先までの危険度を予測しているので、今、自分がいる場所だけでなく、上流側の危険度にも注意し、早めの安全確保に活用してほしい」と話しています。