八百比丘尼の伝説の地へ
そんな八百比丘尼の伝説の地のひとつ、福井県小浜市にある曹洞宗の寺「空印寺(くういんじ)」に行ってきた。なんと、この寺の境内には八百比丘尼が入定(にゅうじょう)したといわれる洞窟があるのだ。入定とは、生きたまま身を隠して静かに死を待つことである。
昔、このあたりは海だったそうで、洞窟は波の浸食でつくられた海蝕銅(かいしょくどう)だという。奥行きは数メートルほどで、なかには「八百比丘尼」と彫られた石碑があった。洞窟のなかは、昼間でも懐中電灯があったほうが安全なほど暗い。
空印寺の八尾比丘尼伝説とは
八百比丘尼の出生地や没地といわれる場所は全国各地にあり、伝説の内容も少しずつちがう。今回は空印寺の住職である岸本祐孝さんに、空印寺に伝わる話を教えてもらった。まずは簡単に紹介しよう。
西暦645年、若狭の勢村(現在の小浜市勢)の長者の家に、美しい姫が生まれた。姫が16歳のとき、父が竜宮のおみやげにもらってきた「人魚の肉」を食べてしまった。すると、そこからまったく歳をとらなくなってしまった。
120歳のときに、髪をそって尼の姿「比丘尼(びくに)」となり、諸国巡遊の旅に出た。最後は、生まれ故郷の若狭にもどり、空印寺の脇にそびえる後瀬山(のちせやま)の山のなかに庵を建てて暮らしていた。
一般的には、ちょうど800歳になったころ、洞窟に八百比丘尼がみずから入定したといわれているが、空印寺に伝わる話はすこしちがう。空印寺第5代の住職の夢枕に八百比丘尼の霊がたち、「魂のよりどころがなく苦しんでいる。助けてください」と懇願。当時の住職が、冒頭の洞窟に名前を彫った石を安置したところ、静まったと伝えられているそうだ。八百比丘尼は後瀬山のどこかで最期を迎えたことになっている。
101歳のお爺さんにある若者が質問した。「長生きっていいですよね?」老人は答えた。「長く生きるということは、沢山の死に出会う事。昔話が出来る家族も友人も居なくなってしまったよ。」
終わらないって苦しいと思う。
不老不死。まっぴらゴメンだ。
高橋留美子の漫画で読んだ
不老不死はともかく人魚の肉ってどんな味なんだろうか。食レポの記録がないのが残念だw