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 三井物産はサーモンの陸上養殖事業に乗り出す。養殖に使う海水の濾過(ろか)システムを開発したベンチャー企業の株式80%を9億円で取得し、2018年春に千葉県内で養殖場を操業する。早ければ19年に販売を始め、20年には年間1500トンの出荷を見込んでいる。

 養殖サーモン市場は、チリとノルウェー産が約8割を占める。年間を通じて15度程度の水温が求められ、夏に海水の温度が上がる日本には適さなかった。世界的に養殖できる広さの海が不足し、需要の高まりに供給が追いつかない状況だ。

 今回つくるプラントは、養殖に使う水槽の水をほとんど入れ替えずに濾過(ろか)できる「閉鎖循環式陸上養殖システム」を採用する。人工の海水を使い、バクテリアの力で水中の毒素を分解する仕組みだ。

 冷凍せずに販売する「生サーモン」市場をねらっており、担当者は「安全でおいしい生サーモンを、外国産と同等の価格で提供したい」と話す。将来的には温暖なアジア圏にも養殖場を広げたい考えだ。(鬼原民幸)