北海道むかわ町の山中で見つかったハドロサウルス科恐竜の化石を調べている北海道大とむかわ町立穂別博物館の研究チームは28日までに、頭部から尾部までの体長が推定約8メートルの全身骨格と確認され、国内で発見された恐竜の全身骨格としては最大と明らかにした。恐竜全身の化石が見つかったのは、全国2例目という。
国内では、より大きな恐竜の歯の化石などが発見されているが、研究チームは「全身の骨の発見は非常にまれ。日本の恐竜研究史上、最大級の発見だ」としている。
化石が見つかったのは白亜紀後期、約7200万年前の地層で、当時は水深80~200メートルの海底だった。ハドロサウルス科恐竜は植物食で、化石となった個体は海岸近くに生息していたとみられる。2003年に地元の化石収集家が尻尾の骨を発見。13年から北大などが発掘調査を始め、千点以上の骨が見つかった。
27日には、これまでに部位の特定を終えた約190点を町の施設に並べ、報道陣に公開。突き出た口の一部や大きな後ろ脚を含め、迫力ある姿を復元した。研究チームは新種の可能性もあるとして残りの骨の部位特定を進め、全体像に迫る。
国内で初めて見つかった恐竜の全身骨格は、福井県勝山市で07年に発見された肉食の獣脚類の小型恐竜(体長約2.5メートル)。今回確認されたハドロサウルス科の全身骨格は世界でも珍しく、正式に命名されたのは、戦前にロシア極東のサハリンで見つかった恐竜「ニッポノサウルス・サハリネンシス」のみという。
研究グループのメンバーで、北大総合博物館の小林快次准教授は「世界的にも貴重な化石だ。海岸線にどういった恐竜世界が広がっていたのか、解明していきたい」と話した。[共同]