比大統領 ASEAN首脳会議で南シナ海問題取り上げず

比大統領 ASEAN首脳会議で南シナ海問題取り上げず
ASEAN=東南アジア諸国連合の首脳会議が29日、フィリピンで開かれるのを前に、フィリピンのドゥテルテ大統領は、南シナ海で中国が造成した人工島などについて「議題として取り上げない」などと発言し、来月に予定されている自身の中国訪問を控え、中国に対する融和的な姿勢を示す狙いもあると見られます。
フィリピンの首都マニラでは、29日、ASEAN=東南アジア諸国連合の首脳会議が開かれます。

議長国であるフィリピンのドゥテルテ大統領は27日の記者会見で、南シナ海で中国が造成した人工島や、中国の主張を否定した国際的な仲裁裁判の判断について、「首脳会議の場で議題として取り上げないし、誰も中国に圧力をかけられない」などと述べました。

大統領の発言を裏付けるように、今回の首脳会議の議長声明の草案では、人工島や仲裁裁判の判断について直接の記述はなく、南シナ海をめぐる問題は中国への配慮がにじんだ内容となっています。

大統領は、中国から経済支援を得るために両国の関係強化を進め、去年10月には北京を訪問して習近平国家主席と会談し、南シナ海の問題を事実上棚上げして、巨額の支援を引き出しています。

大統領は、来月、北京で開かれるフォーラムに出席するため中国を訪問する予定で、今回の発言は、中国から引き続き経済支援を得るために融和的な姿勢を示す狙いもあると見られます。