NASAの使い古し宇宙服在庫が枯渇、2024年のISS退役までもたない恐れ。近年は内部水漏れや手袋破れも発生
お古のおさがりはもう限界
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きたる有人火星探査時代に備え、NASAはすでに次世代の宇宙服の開発を進めています。しかし、新しい宇宙服は実用段階にはまだまだ数年の期間が必要とされます。一方で、現在使用しているNASAの宇宙服は在庫が残り少なくなっており、新型完成までもたない可能性が出てきました。
現在、NASAが使用している宇宙服は基本的に40年ほど前、宇宙開発競争の時代に設計製造されたの。その多くはまだ大きな問題なく使えているものの、もともとの耐用年数は15年とされ、もはや「寿命」という言葉を無視して使い続けている状況にあります。
さらに近年では、グローブの破れにはじまりスーツ内で何かが燃えているような感覚があったとする報告、果てはEVAの最中にヘルメット内に水が溢れ出てきて溺れそうになった事例も発生。一方で船外活動(EVA)に不可欠な生命維持装置は全18台のうち7つが故障しており、残すところは11セットしかないなど、細心の注意を払って管理しているはずの宇宙服にも「ほころび」が目立ちつつあります。
NASAの監察本部(OIG)に提出された報告書によると、現状でNASAが所有する宇宙服ユニットはISSが退役をむかえる2024年まで持ちこたえられない可能性が指摘されています。
なぜここまで宇宙服が少ないのかといえば、原因は予算削減のあおりかもしれません。報告書は、問題がこれ以上深刻化しないためにもNASAの有人探査計画に次世代宇宙服の「設計、生産、テストのための正式な計画」を含め、早期の開発が必要だとしました。また、いまある お古のおさがり を繕いながらやりくりするのにかかるコストと新型宇宙服の開発実用化のコストを比較すべきだとも提案しています。
NASAにとっては予算削減が必至命題だっただろうことは理解できるものの、小さな穴ひとつであの世行きの現場で実際に作業をしなければならない飛行士を思えば、さぞかしコスト比較に「自分たちの命の値段も上乗せしといてくれ」という気持ちではないかと同情せざるをえません。