■推定原価は257米ドル
Switchの推定原価は分解調査の結果、タブレット本体と充電ドックが約167米ドル、2個のジョイコンが約90米ドル。合計は約257米ドルである。
これは実売価格から予想される原価より高額だ。特にジョイコンは小型なので原価はもう少し安いと予想していたが、片側の筐体(きょうたい)だけで20個近い小型パーツがある。
ジョイコンはパーティーゲーム集「1-2 Switch」の卓球ソフトのように単体で使ったり、Switch本体の両側に装着して両手で使用したりする。こうした様々な使い方を実現するために、レールやユニットのような部品点数が増加したのだろう。
家庭用ゲーム機のフルモデルチェンジのサイクルは、4年から5年に1度と言われる。Switchはテレビに接続したり、外に持ち出したりと様々な利用形態に対応し、先進的な電源機構、将来の拡張性などを備える。ゲーム機器として興味深い構造を持ち、ユーザーが長期間楽しむための工夫が随所に散りばめられている。
ゲーム機の外観やハードの完成度は確かに重要だが、成否は何と言ってもゲームソフトの品ぞろえにかかっている。今後どれだけの人気ソフトが登場するのか、注目される。
柏尾南壮(かしお・みなたけ)フォーマルハウト・テクノ・ソリューションズ ディレクター。1974年タイ・バンコク生まれ。1994年10月にフォーマルハウト・テクノ・ソリューションズ設立。顧客の多くは海外企業。情報通信機器からエアコンまで多種多様な製品の分解調査や分析、原価計算などを行っている。モバイル広告関連技術の特許も保有。著書は「iPhoneのすごい中身」(日本実業出版社)、「スマートフォン部品・材料の技術と市場」 (共著・シーエムシー出版)
[日経テクノロジーオンライン2016年3月29日付の記事を再構成]