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待っているのは懲罰投票だ

2017/4/27付
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 情けなくて、やりきれない思いだ。閣僚の資質以前に、人間性の問題だ。東日本大震災の被害に関する今村雅弘前復興相(衆院比例九州)の「まだ東北でよかった」という発言である。安倍晋三首相がただちに事実上更迭したのは当然だ。

 今村氏はこれより先、東京電力福島第1原子力発電所事故で自主避難している人の帰還について「本人の責任」と述べて批判を浴びた。その名誉ばん回で所属する自民党二階派のパーティーで講演した際に飛び出した発言というから開いた口がふさがらない。

 閣僚の失言・問題発言は第3次安倍再改造内閣で相次いでいる。滞貨一掃で、資質に疑問符がつく政治家を閣僚にした首相の任命責任も厳しく問われる。

 閣僚だけでなく、先日も女性問題で中川俊直氏(衆院広島4区)が経済産業政務官を辞任、自民党を離党した。長靴を持たず職員に背負われて、その後内閣府・復興政務官を事実上更迭された務台俊介氏(衆院長野2区)もいる。

 中川、務台両氏をはじめとする自民党の当選2回の衆院議員には不祥事が目立ち、風頼みで当選した若手議員の資質が改めて問われている。

 背景には安倍1強体制のおごりやゆるみがあるのは間違いない。野党が弱体で自民党内でも対抗勢力がなく、政権へのチェックが働かない。謝罪の言葉はともかくとして本当に党全体で反省しているのだろうか。

 自民党の国会議員はなぜ2009年に政権の座からすべり落ちたかを思いおこすべきだ。長年の自民党政権に嫌気がさした有権者の「懲罰投票」だったとされるからだ(小林良彰著「政権交代」)。

 この国民にしてこの政府あり、と古人はいった。この選挙区の有権者にしてこの国会議員あり、などといわれては当該選挙区の有権者にとって迷惑千万だろう。

 われわれの懲罰の一票が集まれば何がおこるか、自民党は心しておいた方がいい。

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