『星降る夜のサンバ』を元気に唄って世の中を活気づけたい
──『クラッシャーカズヨシ』ですね。
酒井:はい。その『クラッシャーカズヨシ』のイベントをロフトプラスワンでやった時、NARASAKIさんに登壇してもらったんです。その時、特撮ファンのお客さんがNARASAKIさんに「どうもありがとう!」って大きな拍手と歓声を送ったんですね。その帰りにNARASAKIさんがいたく感激していて。「他人に曲を提供するのはどこかチャラいところがあると思ってたんだけど、今日は凄く嬉しい気持ちになった」って。それをきっかけに、僕がアニメや特撮の関係者を紹介していったらどんどん楽曲提供の仕事が舞い込んできたんですよ。今やももいろクローバーZやBABYMETALの曲を書いたり、いろんな映画の劇伴をやってますからね。で、この間NARASAKIさんに会った時に久保さんのことを話したら、「久保さんってクボブリュ?」って話になって(笑)。なんでも、NARASAKIさんは以前久保さんから電話でオファーをもらったことがあるそうなんですよ。ヴィジュアル系のバンドをプロデュースして欲しいって。
久保:サイコ・ル・シェイムかな? ちょっと忘れちゃったんだけど。まぁとにかく、純烈は何をやっても目立つ存在だから、その目立ち方について次の作品で真剣に考えたいですよね。ただ、後任の制作としてセールスは落としたくないんですよ。そのためにはまず純烈の持ってるお客さんを大事にしなくちゃいけないと思ってます。こうして話ができたから、今後は面白いことをやれる選択肢がたくさんあるのは間違いないんだけどね。
──いっそのこと、KERAさんに作詞を依頼するのはどうですか?(笑)
酒井:いいですね! それなら新宿ロフトでムード歌謡GIGをやりますよ!(笑)
久保:売れなくなってもいい?(笑) 僕ね、こうして有頂天が再結成できるのは当時売れてなかったからだと思ってるんです。そこがマイナーの素晴らしさでもあり、怖さでもあるんですけどね。
酒井:純烈にとっても、今までは売れないってことが大事な要素だったんですよ。メンバーは見た目がいいし、戦隊ヒーローものをやってたから単なるラッキー・ボーイに思われてしまうし、地道な下積みの苦労は凄く大事だったんですよね。でも、ここから先はしっかりと売ろう! ちゃんと売れなくちゃ! って腹を括ってるんです。それは久保さんと組んだ『星降る夜のサンバ』で大きな手応えを得たからなんですよ。こうしてメジャーに所属するアーティストとして勝負している以上、不況だろうが何だろうが結果を出していかなくちゃいけないとリーダーとして痛感しているし、久保さんみたいなディレクターさんとクリエイティブな作業をしていくことをずっと望んでいたんです。
久保:ちゃんと結果を出すのは大事なことだし、基本中の基本ですよね。演歌や歌謡曲のディレクターは月に2、3作やるだけで大変だし、制作だけで息切れしている人もいると思うんですよ。だけどこうして酒井君と話す機会を持てたから、今日から次作のことを一緒に考えられるよね。如何にして上にあがっていくかの話ができる。
酒井:そうですね。2015年の純烈は、今回の『星降る夜のサンバ』を明るく元気に唄って世の中を活気づけたいんですよ。もうそれしか頭にないですね。
久保:僕は勝手なイメージで、ギラギラしたミラーボール感を出したかったんですよ。それであんな曲になったんですけどね。
酒井:純烈はライブを見てもらってナンボだと思ってるんですけど、見てもらうまでのハードルが凄く高いんですよね。たとえばNHKで言えば『紅白歌合戦』や『SONGS』といった歌番組に出る以前に、まずはラジオ番組に出て名前を売らなくちゃいけない。そこからテレビ番組へ出るには越えるべき壁が凄く高いんです。それを越えるためには僕らのアーティスト・パワーをもっともっと上げなくちゃいけないので、まだまだ根気よく頑張りたいですね。
──久保さんがミラーボール感の次に純烈にやらせてみたいのはどんなことですか。
久保:純烈は歌と踊りの完成度が高いし、その踊りはジャニーズみたいな感じじゃないけど、引きの強い部分だと思うんですよ。そこをもっと打ち出したいですね。
酒井:そうですね。派手に踊って、見る人に元気になってもらうのが今は一番大事じゃないかと思ってるんです。
久保:次の作品は純烈にとって挑戦かもしれないね。全く新しいことを博打的にやるのか、ちょっと保守的なものを残すのか。カップリング曲で従来のイメージを覆すように暴れてみて、お客さんの反応を見てみるのもいいんじゃないかな。
酒井:「純烈、こんなことまでやったらマズいんじゃない!?」って思われるようなことをやってみたりして。
久保:まぁ、個人的に今はあまりハズしたくないって気はしてるけどね(笑)。