赤毛のアン 新作映画に込めた思いインタビュー

赤毛のアン 新作映画に込めた思いインタビュー
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赤い髪とそばかすでおなじみの『赤毛のアン』。両親を亡くした少女・アンが、美しい自然があふれるカナダのプリンスエドワード島に住む兄妹に引き取られ、成長していく物語です。30年ぶりに新たに映画化され、来月から公開されます。

アンの内面や、彼女を取り巻く大人たちの心の機微を、こまやかに描いたこの映画。原作者・モンゴメリの孫、ケイト・マクドナルド・バトラーさんが、製作総指揮をつとめています。

来日したケイトさんに、小学生以来『赤毛のアン』の大ファンだという中條誠子アナウンサーが、映画へのこだわりを聞きました。
100年以上愛され続ける『赤毛のアン』。その魅力の1つが、主人公アンの好奇心と想像力です。しかし、そんなアンの想像力の裏には、それまでに預けられた家や施設などでのつらい経験がありました。
孤独で不安な毎日の中、希望を見いだすために想像力をふくらませていったのです。

そんなアンの姿は、原作者・モンゴメリ自身の幼いころと重なると、ケイトさんは言います。1歳で母親を亡くし、父親とも離ればなれになってしまったモンゴメリ。そんなモンゴメリの孤独が、アンを生み出す原動力となったのです。

ケイトさん
「祖母は、自分の経験をもとに物語を組み立て、そこにフィクションの要素を加えました。原作を読み返すと、行間から祖母の子ども時代の悲しみがはっきり伝わってくるのです。祖母は、愛されたいと、熱望していたのだと思います」

原作を繰り返し読んだケイトさん。今回の映画化では、アンを受け入れるマシューやマリラも、ていねいに描いたと言います。

ケイトさん「おもしろいことに、『赤毛のアン』は読み返すたび新しい発見があります。大人になった今読むと、どちらかというとマリラの視点から見てしまいますね」

アンが来たことで、マシューとマリラの気持ちは揺れ動きます。本当は働き手となってくれる男の子を探していた2人。手違いでやってきたアンに最初は戸惑うものの、次第になくてはならない存在になっていきます。

中條
「私の好きなシーンで、カモメのシーンがあるんですけども、″アンがカモメはいいな、空から陸も海も1日中見ていられるから″と言ったあとの、マシューとマリラのはっとする表情、こういうアンの言葉にどんどんどんどんひかれていくという」

ケイトさん
「言葉にしなくても、それぞれの気持ちが伝わるシーンですよね。彼らの目や表情だけで引き込まれてしまいます。この映画は、人と人との関係を描いたものだと思うのです」

時代をこえて愛され続ける『赤毛のアン』。ケイトさんは、祖母・モンゴメリが生んだ作品の魅力を、伝え続けたいと言います。

ケイトさん
「赤毛のアンが書かれたのは非常にシンプルな時代でした。だからこそ当時の人々は、今より大きな想像力を持っていたのではないでしょうか。私は、祖母の業績をとても誇りに思っています。この映画は、私たちの愛がこもった作品です」

(中條)
『赤毛のアン』は、ライフステージごとに新たな発見があったり、共感できるポイントがあります。子どものころはアンが好きだった!という方も、今回の映画では、大人側の気持ちにも共感できるのではないかと思います。