「分子の車」きょうフランスで世界初のレース

「分子の車」きょうフランスで世界初のレース
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物質のもとになる分子を組み合わせてできた、大きさが100万分の1ミリという「分子の車」による世界でも初めてのレースが、日本時間の28日夜からフランスで開かれ、日本やアメリカなどから合わせて6チームが出場します。分子を組み合わせて機械的な動きをする極めて小さな物質を作る「分子機械」の分野は将来的にものづくりを根底から変える可能性があると注目され、今回のレースが研究発展の大きなきっかけになると期待されています。
「分子の車」による世界でも初めてのレースは、日本時間の28日午後6時からフランス南部のトゥールーズにある国立の研究機関で開かれ、日本からは茨城県つくば市にある物質・材料研究機構のチームが出場します。

日本チームの「分子の車」は、大きさが100万分の1ミリから100万分の2ミリほどで、炭素と水素と酸素の原子が合わせて88個つながり、草履のような形をしています。電気を流すと、草履のような形の外側の部分が人の手足のようにバタバタと動いて、前に進むということです。

フランスで開かれる「分子の車」のレースは、直径8ミリの丸い形をした金の板の上で行われ、板の表面にある微細な溝を利用して設定した長さが1万分の1ミリのコースで、準備を含めて36時間の制限時間内にどれだけ進めるかを競います。

日本のほか、フランスやアメリカ、スイスなどから合わせて6チームが出場する予定です。

分子を組み合わせて機械的な動きをする極めて小さな物質を作る「分子機械」の分野は、去年のノーベル化学賞の受賞テーマになるなど科学の新しい分野として注目され、将来的に私たちの暮らしや産業を大きく変える可能性があると考えられています。

たとえば、人の体の中の特定の細胞に薬を運ぶ機械や、人工的に光合成を起こして薬の原料になるたんぱく質を作る分子の工場、それに、非常に小型で大容量のデータを取り扱えるコンピューターの開発など、さまざまな応用が検討されています。

研究者の間や産業界では、今回の「分子の車」による初めてのレースが「分子機械」の研究を発展させる大きなきっかけになると期待されています。