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忖度と揚げ足取りで日本は回る

2017年4月28日(金)

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 今村雅弘復興相が辞任した。

 この4月の25日に、東日本大震災について「東北でよかった」などと発言したことの責任を取った形だ。後任には衆議院の東日本大震災復興特別委員長で、環境副大臣などを務めた自民党の吉野正芳氏が指名されている。

 当然の判断だと思う。
 ただ、辞任の経緯には、釈然としないものを感じている。
 以下、説明する。

 辞任の直接のきっかけとなった25日の発言が、無神経かつ粗雑な言葉だったことは間違いない。多くの人が既に指摘している通りだ。

 とはいえ、大臣を擁護する意味で言うのではないが、今村氏の発言の真意は、

 「地震が東北で起こったことはめでたいことだった」
 「東北が地震被害でめちゃめちゃになったことは歓迎すべき事態である」

 というところにはない。
 彼が本当に言いたかったのは

 「首都圏で同じ規模の地震が起こったらもっとひどい被害が出る」
 「われわれは東北での被害を教訓として、いずれやってくるであろう大都市の地震に備えなければならない」

 ということだったはずだ。
 講演の全文を読めば、今村氏の真意が東北の地震被害を寿ぐところにはないということは誰にでもわかる。

 とすれば、今回の不適切発言は、前回の

 「(自主避難は)本人の責任だ」
 「訴訟でもなんでも起こせば良い」

 という暴言の悪辣さに比べれば、ずっと罪は軽いのではなかろうか。
 少なくとも私自身はそう思っている。

 もっとも、既に1枚イエローカードを貰っている状況下で、失言に失言を重ねた結果が今回の辞任であったことを考慮すれば、レッドカードが出たことそのものは当然の帰結だ。私は、そのこと自体に不満を述べているのではない。

 私が納得できずにいるのは、むしろ、

 「前回の失言(および記者会見の一方的な中断という暴挙、ならびに東電株を8000株も所有していたという、そもそもの前提の部分にあった利益相反の不適格さ)の折に、すっぱりと辞任していなかったこと」

 だと言って良い。
 私の目には、不適格な大臣を任命権者のメンツのために延命していたことが、今回のみっともない辞任劇を招いたように見えるのだ。

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「忖度と揚げ足取りで日本は回る」の著者

小田嶋 隆

小田嶋 隆(おだじま・たかし)

コラムニスト

1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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