京大吉田寮、多様な個性感じて 廊下や中庭に写真展示
築100年を越える京都大吉田寮(京都市左京区)で、寮の住人や点景をとらえた写真展が開かれている。南丹市園部町出身の写真家野村幹太さん(37)=東京都=が3年かけて撮影した。学生の自治寮として知られ、老朽化しつつも趣ある建物には個性的な寮生が集っており、白黒フィルムに焼き付けた。
吉田寮は、1913年の建築。木造2階建ての宿舎3棟に、京都大の学生や院生、留学生らが暮らす。
野村さんは同志社大に在学中、寮の雰囲気にひかれたが、「怖くて」入れなかったという。写真専門学校などを経て29歳で写真家として独立し、寮の撮影を決めた。
2013年から定期的に通い、寮生や出入りする人ら約50人を撮影した。当初は独特の環境に抵抗もあったが、1年ほどたつと泊まり込むようになり、実像に迫るよう心掛けた。きせるでたばこを吹かす女性、飼っているクジャクを抱いた男性の写真は、一般の京大生のイメージとかけ離れている。野村さんは「人の役に立つことが評価される世間の価値観にとらわれていない。自分の好きな世界で生きているのが彼らの魅力」と話す。
写真展は、京都市内各地で開催中の国際写真祭「KYOTOGRAPHIE(キョウトグラフィー)」の関連展示として企画。廊下や中庭などに20枚を飾り、物干しに1・8メートル四方の写真をつるすなど寮の持つ雰囲気を展示に生かしている。
5月7日まで。午前11時~午後7時。無料。写真展の会場以外には立ち入れない。
【 2017年04月27日 11時52分 】