プレイレポート
遊んでいるうちにどんどん気付く,Nintendo Switchと「マリオカート8 デラックス」の相性の良さ
本作は,Wii U用ソフト「マリオカート8」(2014年5月29日発売)本編と,2度にわたって配信された有料追加コンテンツ(以下,DLC)の内容,そしていくつかの新要素を追加した,まさに“デラックス”の名にふさわしいボリュームの作品だ。
今回は新要素を中心に本作の概要をまとめつつ,実際にプレイしてみて気付いたことなどを紹介していきたい。
「マリオカート8 デラックス」公式サイト
「スプラトゥーン」シリーズからガール&ボーイが参戦
「バトル」の新ルールはどれもが異なる個性を持つ
本作では新キャラクターとして,「スプラトゥーン」シリーズのプレイヤーキャラクターである「インクリング」の「ガール」と「ボーイ」が追加されている。どちらも中量級で,キャラクターのカラーリングが3種類ずつ用意されているのも特徴的だ。
プレイ中に飛び出すボイスはもちろんスプラトゥーンそのもの。ジャンプアクション時にはスプラシューターを構えて見せたり,イカの姿に変身したりと,スプラトゥーンシリーズのファンならにやりとしてしまうこと間違いなしだ。
このほか本作では,「マリオカートWii」以来の登場となる「キングテレサ」(重量級),「カロン」(軽量級),「クッパJr.」(軽量級)も追加されている。
前述のとおり,マリオカート8用DLCの内容も含まれているため,「タヌキマリオ」(中量級),「ネコピーチ」(中量級),「ほねクッパ」(重量級),「リンク」(重量級),「むらびと」(男の子)」(中量級),「むらびと(女の子)」(中量級),「しずえ」(軽量級)も操作可能だ。
マリオカート8では,「グランプリ」で金のトロフィーを獲得するごとに新キャラクターがアンロックされる仕組みだったが,今回はそういった苦労をすることなく,最初から「マリオ」や「ルイージ」といった定番キャラクターを含む42キャラクターを選択できる。
グランプリや「VSレース」「タイムアタック」で使用できるコースは,全部で48種類(12カップ)。それぞれ「50cc」「100cc」「150cc」に加え,マリオカート8では150ccの全コースで金のトロフィーを獲得しなければアンロックされなかった「ミラー」,そして無料の追加コンテンツとなっていた「200cc」も初期から選択できる。
なお,「カート」「タイヤ」「カイト」といったマシンのカスタムパーツに関しては,従来どおりプレイを重ねて獲得したコインの累積値に応じて開放される形だ。
このほか,本作の大きな目玉となるのが,「バトル」モードだ。マリオカート8では,「ふうせんバトル」を8種類のコースでプレイできたが,本作ではさらに「パックン VS スパイ」「ドッカン! ボムへい」「あつめてコイン」「いただきシャイン」という四つのルールが追加された。コースの数は前作と同じ8種類だが,その内容はバトル専用のものに一新されている。
すべてのモードをひととおりプレイしてみたが,どれも異なる戦略性とテクニック,そして何より運の要素が戦況に大きな影響を与えるという印象。一人でこつこつ遊んでも楽しめるし,誰かと一緒ならば盛り上がることは間違いない。本作の持つパーティーゲームとしての側面が,色濃く反映されたルールやコースのデザインであるように感じられた。
「ハンドルアシスト」機能によって
難コースでも快適な走行が可能に
このシリーズで遊んだことのある人ならば,レース中にスピードを出しすぎていてカーブを曲がりきれずにコースアウトしてしまったり,あるいはドリフトですべりすぎて壁にぶつかってしまったり……といった経験があるはずだ。それによって大幅なタイムロスを招いてしまうのはもちろん,ストレスだって溜まってしまう。
ところが,このハンドルアシストがオンの状態(デフォルトではオン)だと,壁にぶつかりそうになったときに,自動的に減速しつつハンドルを切ってくれるのだ。それも,プレイヤーに違和感を味わわせないような,絶妙なさじ加減のハンドルの切り方である。
例えば,「レインボーロード」のように壁がないどころか路面がつるつるすべり,気を抜けばすぐに落下してしまうようなコースすら快適に走行できるのには,かなり驚かされた。
もちろん,「パックンフラワー」や「ドッスン」といった障害物や,ほかのプレイヤーからの攻撃を避けられるわけではないが,それでもコースアウトの心配なく走れるのは嬉しいものである。未経験者と一緒に遊ぶような場合でも,ハンドルアシスト機能を使ってもらえば,過剰な接待プレイをしなくて済みそうだ。
ただ,ハンドルアシスト機能がオンの状態だと,コースのショートカットをしようとしたとき,かなり正確なライン取りをしていないと(つまり,強引にショートカットしようとすると),正規のルートに向けてハンドルが切られてしまうといったこともあった。
このほか本作では,ドリフト後に発動可能な「ミニターボ」に,3段階目の「ウルトラミニターボ」が追加されているのだが,これはハンドルアシスト機能をオンにしているときには使用できないなど,決して万能な存在ではない。前述のとおりハンドルアシスト作用時には自動的に減速もするため,少しでも速く走りたい場合はオフにしたほうが良いのは明らかだ。
しかし,その前の段階において,コースの形状や特徴を体に刻み込む必要があるときに,ハンドルアシストをオンにして走破を繰り返すといった使い方は良さそうだ。なお,タイムアタック時にはハンドルアシスト機能を使用することはできない。
また本作では「マリオカートWii」やマリオカート8同様,スティックではなくコントローラそのものを傾けることで「ジャイロ」機能によるハンドル操作できる。ジャイロ機能は,一つのJoy-Conを使う場合でも,二つのJoy-Conをグリップに取り付けた状態でも,Nintendo Switchの携帯モードを利用しているときでも,Nintendo Switch Proコントローラーを使っているときでも使用できる。
どの状態であれ,ジャイロの感度は鋭すぎず,かといって鈍すぎることもなく,レースゲーム特有のカーブ中に思わず体が傾いてしまう感覚にぴったり合致するといった印象を受けた。ロケットスタートを狙ってタイヤを空転させているときや,コインやアイテムを獲得したときにはたらくJoy-ConのHD振動も相まって,レースをフィジカルに楽しませてくれる。
細かく操作をするのであれば,やはりスティック操作に分があるというのは従来と同じだが,今回は初めてスティック操作とジャイロ操作の同時利用が可能になっている。スティック操作に集中するあまり,思わずJoy-Conを傾けてしまったらその動きも検知されて,予想だにしない方向へ……といったこともなく,快適にプレイできるようにするための調整が,かなり綿密に行われている様子だ。
今回は試すことができなかったが「Joy-Conハンドル」使用時の,より直観的な操作性にも期待ができそうである。
さらに本作には,「オートアクセル」機能も用意されている。この機能をオンにすると,文字どおりボタンを押すことなく,アクセル操作が自動で行われるようになるというもの。極論,ハンドルアシストとオートアクセルの両方をオンにしておけば,Joy-Conを持たずともゴールが可能だ。現実にも訪れつつある自動運転の時代が,本作に訪れたとでも言えば良いだろうか。
これらの各機能は,マシン選択時やレーススタート後に[+][−]ボタンを押すと表示されるオプションメニューから,オン/オフの切り替えができる。
Nintendo Switchの各モードでプレイ可能
マルチプレイの選択肢も多様だ
本作は,Nintendo Switchの「TVモード」「携帯モード」「テーブルモード」といった各モードに対応している。
TVモードでは,Wii U版マリオカート8を上回るフルHD解像度で遊べるほか,画面を2分割しての2人同時プレイに加え,画面を4分割しての3〜4人同時プレイ(コントローラは人数分用意する必要がある)まで楽しむことができる。
45型のTVで試してみたところ,遠方のディテールがWii U版に比べるときっちり描画されているほか,光沢のあるオブジェクトの艶も増しているようにも感じられた。画面を4分割してプレイしているときに,処理落ちするようなこともない。
テーブルモードでは,画面サイズが小さい分,視認性に関してはTVモードより劣るものの,解像度が720pであることが気になるようなことはなかった。また,このモードでも画面を2分割,あるいは4分割しての2〜4人でのマルチプレイに対応しているが,4分割となるとさすがに表示領域が狭く,また,4人でNintendo Switchを覗き込むにはプレイヤーそれぞれの距離が相当近くなるため,とくに夏場ともなるとあまり快適に遊べなそうだ。
一方,携帯モードは1人でのプレイが前提となるが,Nintendo Switch本体を手に持つと,テーブルモード時よりも目と画面の距離が近くなる分,迫力は増す。本体左右に取り付けたJoy-Conでの操作感も良好で,ニンテンドー3DS用「マリオカート7」以来,約5年半ぶりとなる携帯機用マリオカートの新作に触れているような気にすらなった。
このほか,マルチプレイ時の選択肢が幅広いのも本作の特徴だ。前述のとおり,TVモードやテーブルモードでは,Joy-Conを2組用意すれば,1台のNintendo Switchで4人同時プレイを楽しめるが,TVモードおよびテーブルモードでのローカル通信プレイ時には,1画面は2分割までしか対応しない。
仕様上,ローカル通信プレイは最大8人まで参加できるが,TVモードやテーブルモードの場合,最低でも4台のNintendo Switch本体と4組のJoy-Conが必要となる。携帯モードの場合は,1台のNintendo Switchを使用できるのが1人のみという制限はあるものの,8台を持ち寄れば最大8人でローカル通信プレイができる。
なお,ローカル通信プレイは,誰かが作ったロビーに参加する形となり,ロビー内ではMiiと固定メッセージを使った簡単なコミュニケーションも行える。今回,インターネット通信プレイは試せていないのだが,ほぼ同様の形でロビーを作り,最大12人が同時に参加できるという形になる模様だ。
ゲームとしての大きな変化こそないが
Nintendo Switchとの相性の良さは抜群
正直なところ,マリオカート8の経験者にとっては,ゲームの面白さという点において想像の範疇を超えるものではない。ただ一方で,時間を忘れてついつい繰り返し遊べるような作品であることもまた事実である。そういう意味で,Wii Uやマリオカート8を持っていないが,Nintendo Switchは購入したという人には躊躇なくオススメできる。
その一方,あくまで個人的な感想に過ぎないが,Nintendo Switchというプラットフォームと本作の組み合わせに,想像を上回る相性の良さと新鮮さを感じた。
これは本作の,というよりNintendo Switchそのものの特徴でもあるのだが,本体の電源を入れてからゲームのタイトル画面が表示されるまでの時間が短く,なおかつ中断もしやすい。しかも,そのときどきの気分で,据え置き機として遊ぶこともできるし,携帯機として遊ぶこともできる。もっとも,ここまでは「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」(Nintendo Switch / Wii U)をNintendo Switchでプレイした人ならばすでに体験済みだろう。
これに加え,本作ではNintendo Switchが1台しかなくても,近くの人にJoy-Conを片方渡すことで,TVモードでもテーブルモードでも2人同時プレイが楽しめるという点が,頭では分かり切っていたはずのことなのに,妙に新鮮かつ楽しく感じられた(携帯モードで遊んでいた状態からテーブルモードに移行するにあたって,Joy-Conストラップを装着する手間の存在にも気付かされたのだが……)。
ともあれ,一つの画面を2人で共有して気軽に楽しめる仕組みが用意されているプラットフォームだからこそ,ハンドルアシストやオートアクセルなど,初心者でも快適にプレイできる仕組みに大きな意味を感じられた。“いつでもどこでも誰とでも,気軽に楽しめるマリオカート”。それが本作の目指したところであるとするならば,きちんと形になっていると言い切って良いだろう。「Nintendo Switchは購入済みだけど,マリオカート8はさんざんWii Uで遊んだし……」と思っている人でも,このあたりを一度体感してみる価値はあるはずだ。
「マリオカート8 デラックス」公式サイト
- 関連タイトル:
マリオカート8 デラックス
- この記事のURL:
(C)2017 Nintendo
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